①トイレ中に飼い主を見つめる心理
うんちをしているとき、愛犬にじーっと見つめられることはありませんか?うんちをしているとき、背中を丸めて踏ん張ったポーズのまま、ちょっとばかり情けないような顔で飼い主の顔を見つめる犬はとても多いんです。
見つめられると「何か言いたいことがあるのかな?」と思ってしまいますが、うんち中に送られる視線にはあるメッセージが含まれているのです。そのメッセージとは「周囲を見張ってて!」というもの。うんち中というのはとても無防備で何かあってもすぐに動くことができません。
そのため、何らかの危険が起こる可能性がある屋外では、うんちをする場所にこだわる犬も少なくありません。無防備な状態のとき、信頼できる飼い主さんにまわりを見張っててもらいたいと「頼みます!!」という気持ちで見つめてくるのだと考えられています。
②トイレの前にクルクル回る心理
トイレをする前にその場をクルクルと回るという行動をする犬もいます。クルクル回った後、場所を定めてトイレをし始めるのですが、その行動にもいくつかの心理が隠れていると考えられています。
そのひとつが足元の草を踏み固めることで陰部やお尻の穴などデリケートな部分に草などが当たらないようにしていたというもの。足元に危険な虫がいたり、穴などがないか確かめているとも言われています。
また、最近では犬がトイレ前にクルクルと回る理由について、ドイツとチェコの共同研究チームがある説を唱えています。犬がトイレをするとき南北の軸に沿おうとしており、そのために地磁気を探り当てようとしているのではないか、というものです。ただし、なぜ南北の軸に沿ってトイレをしようとしているかまでは明らかになっていないようです。
③トイレの後に砂をかける心理
犬がトイレの後に後ろ足で砂をかけるように地面を蹴るという行動は多くの犬に見られるものです。この行動はいわゆるマーキングの一種で、自分の排泄物のにおいをより遠くに届けるため、そして足の裏から出るにおいを地面にこすりつけることで自分のにおいをより強く残すためだと言われています。
そのため、この行動は家の中のトイレではほとんどせず、公園や道など外で排泄したときに多く見られます。これは本能的なもので、特に縄張り意識の強くない犬でも自然と行うので、周囲に迷惑をかけるような状況でなければ特に叱ったりやめさせたりする必要はないでしょう。
④飼い主から隠れてトイレをする心理
家の中で飼い主から隠れてトイレをしようとする犬がいます。特にトイレトレーニング中の犬に多く見られる行動で、ソファの影やカーテンの裏に隠れて排泄をしてしまったり、飼い主が部屋にいないときだけにトイレをしたりします。その行動には「トイレをして怒られるのが怖い」という心理が隠れていることがあります。
トイレトレーニング中、犬が失敗したときなどについ怒ってしまったり慌てて大声でやめさせようとしたりする飼い主さんは少なくありません。そのとき、犬はなぜ叱られたのかを理解できず排泄自体を悪いことだと勘違いしてしまったり、飼い主の見えるところでしてはいけないと思い込んでしまったりすることがあるのです。
⑤他の犬と同じ場所にトイレをする心理
公園やドッグラン、散歩コースの道などで他の犬がおしっこをした場所に上からおしっこをする犬もいます。これまでは自分の縄張りであることを示すために他の犬のにおいを消していると考えられてきましたが、現代の犬の場合、必ずしもそうではないと考えられるようになっています。
縄張り意識というよりも、あくまでにおいによる情報交換やあいさつの意味でトイレの場所を重ねていると考えられているのです。
まとめ
トイレというのは自然な行為であるからこそ、トイレ中やその前後に起こす行動には本能的な行動が多く見られます。無防備なときだからこそ飼い主さんに周囲を見守っていて欲しいと考えたり、においによるマーキングや他の犬とのコミュニケーションのツールに使ったりすることもあります。
それらの行動は多くの場合、無理にやめさせたり叱ったりする必要のないことです。行動の心理や理由を考えつつ、あたたかく見守ってあげてくださいね。