犬の避妊手術
避妊手術を行う目的
メスの犬を飼育している場合に飼い主さんの選択が必要な避妊手術。次のような目的で避妊手術を検討することがほとんどです。
- 子宮に起因する病気の予防のため
- 愛犬の望まない妊娠を防ぐため
- 発情によるストレスをなくすため
避妊手術をする一番大きな要因として挙げられるのが、「子宮内膜炎」「子宮蓄膿症」「乳腺腫瘍」といった子宮に起因する疾患にかからないようにすることです。高齢になってからこれらの病気となってしまった場合、手術自体が難しい場合があります。また、どれも命に関わる病気ですが、避妊手術を行っておくことで防ぐことができます。これらの特定の疾患の予防として愛犬の避妊手術をするといったケースがあります。
他にも、繁殖を望んでいない場合も避妊手術を行います。飼育できない新たな命が産まれることは不幸を招く要因にもなります。犬を飼育し始めた当初より繁殖を望んでいない場合、前述した病気のリスクを下げるためにも早めに避妊手術をすることが多いようです。
また、メス犬は発情期には興奮状態となり、落ち着きがなくなってしまいます。ホルモンバランスが通常時と異なることもあり、神経質な状態が続くこともあります。発情期にはこういった様子が定期的に表れるため、飼い主さんのストレスとなってしまうこともあります。もちろん犬自身もストレスを感じやすく、気が立った状態になります。本能による行動とはいえ、発情によるストレスを減らすことを目的として避妊手術を行うケースもあるのです。
避妊をする時期
避妊をする時期としては、メス犬が発情を起こすといわれる生後7ヶ月の2ヶ月前後が適しているといわれています。つまり生後5〜6ヶ月頃もしくは生後8〜9ヶ月頃です。
また、病気の予防を考えた場合、乳腺腫瘍を予防する場合は初めての生理の前に手術をすることが効果的なのだそう。そのため病気のリスクを軽減することが目的であれば、子犬を飼育し始めたらすぐに避妊の有無を検討することが望ましいと考えられます。
犬の避妊手術の流れ
避妊をするかどうかの選択については、さまざまな観点から獣医師さんとも話し合った上で飼い主さんが選択する必要があります。検討の結果、避妊手術をすることになった場合、次のような流れで避妊手術が行われます。
事前準備
事前準備としては、事前検査が行われることがほとんどです。血液検査を行うことで、犬の体調に問題がないかを確認します。大体、術前1週間前にこの事前検査を行うことが多いようです。この際に発情(ヒート)の兆候がある場合、避妊手術は発情後に先送りされます。
全身麻酔を使う手術となるため、犬の健康状態を最も優先させた上で手術の日程を決めていくことになります。
手術前日
手術日が決定し、手術を受ける前日は絶食をさせます。手術の時間によっても絶食時間は異なるため、絶食する時間についてはそれぞれ動物病院で指定されたものに従うことになります。
手術当日
開腹手術と腹腔鏡手術によっても当日の流れが異なります。開腹手術を受ける場合は、ほとんどの場合が1泊~2泊の入院となります。腹腔鏡手術の場合、入院はせずに当日の退院がほとんどのようです。病院によって異なりますので、かかりつけの病院でしっかり確認してください。
手術後
避妊手術では縫合がありますので、1週間~10日後に抜糸が必要となります。犬が傷口を舐めないように手術後と抜糸後はエリザベスカラーなどをつけて過ごします。また、手術後の1週間程は激しい運動や散歩は避けるようにいわれます。痛みできつそうな場合は痛み止めなどの処方がもらえる場合もあるようですので、愛犬の様子をよく観察するようにしましょう。
準備しておくもの
避妊手術については飼い主さんが事前にどうするのかをよく検討したうえで行われることと思います。また、長期にわたる入院ではないため、よく検討することと、時期を決める以外には飼い主さん側で特別に用意するものはありません。
費用については、犬種(犬の大きさ)や病院によっても異なります。小型犬の場合は3万円前後、大型犬の場合は5万円前後かかるといわれています。この金額に内服薬代金やエリザベスカラー代金が別途必要になることがほとんどです。 また、行政からの補助金が出る市区町村もあります。決して安い費用ではないため、事前に確認を行うようにしましょう。
まとめ
避妊手術をした場合のデメリットとしては、太りやすくなる、被毛に変化が出る、ドッグショーへ出場できないといったものがあります。また、全身麻酔をすることのリスクや繁殖ができなくなるといった点をよく検討する必要があります。
繁殖を望まない場合、病気のリスクを考えると避妊手術を行うことの方がメリットがあるように思います。効果を考えると犬を飼育し始めて早い段階での検討が必要なため戸惑う飼い主さんも多いと思いますが、ぜひよく検討して決めてくださいね。