犬の避妊手術(去勢手術)の補助金事業について

【獣医師監修】犬の避妊手術(去勢手術)の補助金事業について

犬の避妊手術(去勢手術)の補助金が出ることをご存じの方もいるかもしれません。公益財団法人日本動物愛護協会が2016年1月から「犬および猫の不妊去勢手術助成事業」をスタートしました。今回は犬や猫の避妊手術(去勢手術)に助成金を出すという事業をご紹介します。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

犬の避妊手術(去勢手術)の補助金事業がスタートした背景

ケージに入った猫

犬や猫の不妊去勢手術については賛否両論ありますが、この事業は犬や猫の不妊や去勢手術を推奨する事業です。
なぜ推奨するような事業がスタートしたのか、それは殺処分される犬や猫が後を絶たないからです。

環境省の発表によると、平成26年度の犬の殺処分頭数は21,593頭、猫の殺処分頭数は79,745頭で合計101,338頭にのぼります。平成6年以降、殺処分頭数は年々減っていますが、未だに毎年10万頭以上の命が失われています。

犬の殺処分頭数を大きく上回る猫は、その半数以上が子猫と発表されています。
小さな命が毎年5万頭近く殺処分されているのは本当に悲しいことです。
また、野良猫による糞尿被害や、野良猫にエサを与えることによる地域トラブルも社会的な問題となっています。

不妊去勢手術に対しては賛否両論ありますが「動物の愛護及び管理に関する法律」や「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」の中で、適正に飼えない場合は繁殖できないようにする努力義務が飼い主に課されています。

社会的な問題や法律等の背景があり、動物愛護の観点から問題解決のひとつの手段として不妊去勢手術が推奨され、その手術費用を助成する、という事業が始まっています。

書類を書く人

事業の具体的な内容は?

基本的に地域猫が対象ですが、飼い犬や飼い猫の手術を受ける人も受けられます。
メスの不妊手術の場合10,000円、オスの去勢手術は5,000円の助成金が支払われます。

申請方法は、まず、飼い犬や猫の不妊去勢手術を動物病院で行い、手術後一か月以内に指定された書類を日本動物愛護協会へ郵送します。
FAXやE-mailでは申請できませんので注意が必要です。

協会が書類の審査をし、助成金交付が決まったら、交付額が申請者にハガキで知らされます。
申請できる頭数は年度あたり各世帯犬1頭、猫1頭に限られていますが、地域猫活動をされている方は、5頭まで可能とのことです。

ただし事業の予算に限りがあり、予算がなくなり次第申請受付をストップするとのことなので、申請前に確認した方がよさそうですね。

犬の避妊手術(去勢手術)の補助金事業 実施地域について

2016年1月に始まった公益財団法人日本動物愛護協会の事業以外にも、同じような助成事業を行っている自治体や団体があります。
幾つか例を挙げてみましょう(平成28年1月現在、各自治体や団体のHPの情報を元にしています)。

東京都の場合

市区町村単位で不妊去勢手術に対する助成制度があります。
実施されている場合は自治体のHPに詳細が掲載されています。以下に一部、例を挙げます。

対象動物 金額
世田谷区 飼い猫 オス3,000円、メス6,000円
飼い主のいない猫 オス5,000円、メス10,000円
中央区 飼い主のいない猫 オス17,000円まで、メス20,000円まで、妊娠中25,000円まで
新宿区 飼い猫 オス2,500円、メス5,000円
飼い主のいない猫 オス4,000円、メス9,000円
文京区 飼い主のいない猫 オス15,000円、メス25,000円、妊娠中30,000円
台東区 飼い主のいない猫 オス5,000円、メス10,000円
町田市 飼い犬 オス3000円、メス6000円
飼い猫と飼い主のいない猫 オス2500円、メス5000円

神奈川県の場合

市町村単位で助成制度があります。実施されている場合は自治体のHPに詳細が掲載されていますが、以下に一部、例を挙げます。

対象動物 金額
横浜市 飼い猫と飼い主のいない猫 オス5,000円、メス5,000円
川崎市 飼い猫と飼い主のいない猫 オス2,000円、メス3,000円
相模原市 飼い犬 オス3,000円、メス4,000円
飼い猫 オス2,800円、メス4,000円
厚木市 飼い猫 オス2,500円、メス4,000円
鎌倉市 飼い猫 不妊去勢手術費用の20%の金額に相当する額。ただし、オス2,500円、メス4,000円が上限

千葉県の場合

公益社団法人千葉県獣医師会と公益財団法人千葉県動物保護管理協会が毎年、動物愛護週間に合わせて不妊・去勢手術普及助成事業を実施しています。
対象は飼い犬と飼い猫で、助成金額は5,000円です。毎年希望者多数で抽選が行われています。
抽選に当たり、指定された動物病院で手術を受けた場合に限り、助成されます。

なお、自治体などが実施する事業の場合も予算に限りがあるため、予算がなくなり次第、申請できなくなります。
手術前に必ず担当窓口に確認した方が良いですね。

犬(猫)の避妊手術(去勢手術)の補助金に関する疑問

猫の母子

助成の対象は猫が多いのはなぜ?

 上記に挙げた例を見ても解るように、助成の対象になるのは猫であるケースが多いといえます。
猫は交尾をするとほぼ100%妊娠し、一度に3~6頭の子猫を出産します。
猫の殺処分頭数が多いのも、繁殖力が高いことが原因と考えられます。

他にも事業はあるの?

 不妊去勢手術助成事業以外にも、猫の問題解決のために環境省が推奨する「地域猫活動」や、日本獣医師会が行っている「マイクロチップを利用した犬や猫などの個体識別の普及推進事業」があります。

「地域猫活動」は特定の地域に住んでいる飼い主のいない猫を調べ、行動範囲や行動パターンの把握、えさやりのルール作り、不妊去勢手術の実施などを行うことで、生きている猫を保護しながら不幸な命を増やさないよう地域ぐるみで行う活動のことです。

「地域猫活動」個人で行うことは難しく、自治会や有志で団体を作り、飼い主のいない猫を保護・管理する必要があります。こうした団体を設立する方法の説明会や、活動援助などを行う自治体も徐々に増えてきています。

「マイクロチップ普及推進事業」は日本獣医師会が行っています。これは犬や猫にマイクロチップを装着し、マイクロチップの情報と飼い主の情報をデーターベースに登録することで、迷い犬や猫などが飼い主の元に戻れるようにしよう、という事業です。海外では飼い犬のマイクロチップ装着率が90%を超える国もあります。

まとめ

光の中の猫

犬の飼養頭数の減少や、譲渡会、保護団体の活動などによって殺処分される犬や猫は年々減少傾向にありますが、殺処分ゼロにはほど遠いのが現状です。
小さな命を守る、動物に優しい社会を築くために何ができるか、どんなサービスを利用できるのか今一度、考えたいですね。

<参考HP>

公益社団法人 日本獣医師会

環境省

公益財団法人 日本動物愛護協会

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ユーザーのコメント

  • 投稿者

    40代 女性 oomiya

    飼い主のいない猫に対して助成制度があることはとても良いことだと思いますが、飼い主のいる猫に対してもあるのは意外でした。猫の不妊去勢手術は、どの程度の飼い主さんが行っているものなのでしょうか。私は犬を飼っているので、犬のことしかわかりませんが、犬の場合は私の周辺の飼い主さんは半数以上の方が行っています。それでも私は少ないと感じていますが…。私はペット同士での交配や素人が行う繁殖にはあまり良いイメージを持っていないので、軽々しく「一度は子供を産ませてあげたいの」などという犬の飼い主さんの発言に驚いてしまったことがあります。
    助成金が出るようになった背景には、やはり人間の勝手で増えすぎて手に負えなくなっている経緯があるのだろうと思います。自分で責任を持って世話を出来ないのならば、不妊去勢手術は当然行うべきものだと思います。
  • 投稿者

    女性 らぶり

    この記事のように、不妊去勢手術助成事業のことが詳しく書かれているととても役に立ちます。とても参考になりました。犬や猫を飼っている方は、皆さん最初に不妊去勢手術について悩むと思います。これから子どもを産ませようとしていたり、ブリーダーさんのようなお仕事をしている場合はそのままで良いと思いますが、子どもを作らせたり、産ませる予定が無い家庭の場合はやはり去勢手術を考えた方が良いかもしれません。我が家にもメス犬がおり、家族中で手術をさせるかどうかとても悩みましたが、結果手術を行いました。手術台もタダでは無いので、助成金があるととても助かります。手術をするお金が無いからと言って放置してしまうと、犬や猫の数が増えて後に大変なことになるかもしれません。助成金制度を上手く利用して、愛犬や愛猫ちゃんを守ってあげたいですね。
  • 投稿者

    30代 女性 まろんママ

    地域猫の不妊手術助成があるのはテレビで取り上げられることなどもあって知っていましたが、家庭のペットが対象になるものもあるですね!不妊手術は賛否両論あると言いますが、私は繁殖する機会もないし、ヒート中などのストレス軽減のために不妊手術を受けさせています。私は受けさせて当たり前と思っていましたが、近所ではわりと受けさせていない子もいて、ヒート中で散歩の時他の犬との接触が気が気じゃない…などと言っているのを見ると犬も飼い主さんも大変だな、と思ってしまいます。手術を受けることに特別なリスクがあるというわけではないなら、受けた方がストレスフリー&健康のためにもいいのに、と。そもそも一般人が繁殖するというのもあまりいいことと思えないので、家庭犬の不妊手術にも助成が出るようになればもっと普及するのにな~と思ってしまいます。
  • 投稿者

    30代 女性 すず

    飼い主のいない猫や犬に対いて助成金が充てられるのはとても良いことだと思うのですが、飼い主がいるのに助成金というのはちょっと違うような気がします。そこまでしないと、飼い主は不妊去勢手術を行わないということなのでしょうか。むろん、経済的な事情で不妊去勢手術が行えないと見受けられますが、それなら飼うなよ、と言いたくなります。
    責任を取れないような飼い方しかできないというのならば、動物を飼う資格がない人だと思ってしまいます。
    飼い主がいるのに充てられたその助成金で、もっと他の命をつなぐことができるのではないか、と勘繰ってしまうのですが…。
    しかし、実際に充てられているということはそれが実状なのでしょうね。愛犬・愛猫にお金をかけられない、だけど飼う、そういう人がいるんですね。
  • 投稿者

    20代 女性 シーナ

    基本的には不妊去勢手術肯定派なので、助成事業もすごくいいなと思います。できれば飼い犬や飼い猫にも多少の恩恵があればいいなと。もちろん自分の飼っている子や地域の動物、ひいては日本全体のペット事情を考えれば助成などなくてもやるのが当然だと個人的には思いますが、さすがにその思想をすべての人に持てというのは乱暴だということもわかります。人間の子供の予防接種などでさえ、普及率をあげるために国や自治体から助成金が出るのですから、任意では手術が広まらない現状というのは否めないのだと思います。もちろんしっかりとした考えを持ったうえで手術を受けさせないという選択をするのはいいと思いますが、ただかわいいからと無責任に繁殖する人などが増えないことを願います。
  • 投稿者

    女性 Kanako

    私の愛犬は、7か月の時に去勢手術を行いました。とても悩んだのですが、婦人科系の病気を防げるということと、将来子どもを産ませるということも考えていなかったので、行うことにしました。手術の時に剃ったお腹の毛があまり綺麗に生え変わっていないことを除いては、手術をさせてよかったと思っています。ドッグパークなども去勢手術をしていないと連れて行くことが出来ないですよね。うちの愛犬はドッグパークも好きなので、結果手術をさせて良かったと思っています。この時にかかった費用ですが、自費でした。このような助成金があるということを友人から聞いたのですが、もう既に手術後だったのです!一応、事業に連絡してまだ申請できるか聞いてみたいとは思っていますが、とても良い制度だと思いました。
  • 投稿者

    女性 ひまわり

    避妊手術 に補助金が出るとは知りませんでした。確かに地域猫の避妊が進めば殺処分が減るのでとても良い制度だと思います。最近では地域猫活動も活発になっていますし手助けになるといいですね。私も初めて知りましたが、市によってはわんちゃんにも補助が出るようなので、活用してみるのも手かもしれませんね。
  • 投稿者

    女性 ゴン吉

    助成金制度があるなんて知りませんでした。不妊手術は飼い主がはっきりしない猫には必要なことだと思います。うちにもどこの子かわからない猫と子猫が住みついてしまったことがありとても困りました。
    飼い主がいる犬や猫に対しても助成金が出るということは、不妊去勢手術についての意識を持ってもらうという意味合いでは成功だと思います。
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