避妊手術は大きく分けて2つ
女の子の避妊手術、具体的には大きく分けて、2つの手術方法があります。
1つは卵巣と子宮、両方を摘出する、卵巣子宮摘出術。
そしてもうひとつは卵巣のみを摘出する卵巣摘出術。
今回はそれぞれのメリットデメリットを解説させていただき、避妊手術を受ける際の参考にしていただければと思います。
まず、卵巣子宮摘出術ですが、名前の通り、卵巣と子宮の両方を摘出してしまう手術方法です。
実は日本の動物病院で実施されている避妊手術のほとんどが、この卵巣子宮摘出術なのです。しかし、繁殖を抑制するだけであれば、卵巣さえ摘出すればそれで良いのですが、なぜ子宮まで摘出するのでしょう?
その理由は、避妊をしていないわんちゃんに多くみられる病気を対策するためと言われています。
その病気とは子宮蓄膿症と呼ばれ、子宮に膿がたまってしまい、手遅れになると死亡することがある病気です。特にお産の経験がないわんちゃんでの発生が多く、そのため、この病気の予防という意味合いも含めて、卵巣だけでなく子宮も摘出することが勧められています。
一方、卵巣だけを摘出する卵巣摘出術はどうでしょう。
卵巣子宮摘出術では、子宮に膿がたまる病気を防ぐために子宮も摘出する、ということでしたが、卵巣摘出術では、子宮は体に残したままです。
じゃあ子宮蓄膿症のリスクが残ってしまうのでは?
実は、近年の研究により、子宮蓄膿症は、卵巣から分泌されるホルモンが原因で、子宮に炎症が起こり、その結果、子宮蓄膿症になってしまうことがわかりました。つまり、卵巣を摘出さえすれば、子宮に炎症を起こすホルモンが分泌されませんので、子宮蓄膿症にはならないことがわかったのです。
ですので、現在では卵巣だけを摘出しても子宮蓄膿症にはならないと考えられています。
しかし、この手術方法は卵巣子宮摘出術に比べてまだまだ実施している病院が少ないので、本当に子宮蓄膿症にならないか、データがまだ十分ではありません。
一体どっちの手術方法がいいの?
ここで、もう1つ考えておくポイントがあります。
それは獣医師の技術です。
特に避妊や去勢といった手術は、動物病院で数多く実施される手術ですし、基本的には健康なわんちゃんに施す手術ですので、絶対に失敗は許されません。ですので、獣医師は基本的に慣れた術式を好みますので、それに合わせていただくのが一番かもしれません。。。
ちなみに私は、もし体に残せるのものなら残したい、不要に切除はしたくないということで、現在は卵巣摘出術を実施しています。もう10年以上、その術式を行っていますが、今のところ子宮蓄膿症の発症はありません。
実は一昔前までは、卵巣摘出術は、古い術式だ!!ということで、動物病院を選ぶ基準の一つとして「卵巣摘出術を行っている病院はダメ、卵巣子宮摘出術を行ってる病院を選びましょう」というものありました。
しかし、今は上記の通り、決して卵巣摘出術が古い考えに基づいているわけではありませんので、この記事が、避妊手術方法の参考だけでなく、新しい病院選びの参考になれば幸いです。
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50代以上 女性 ラテママ