犬にとって里芋は食べてもいい食材!
手作りごはんやおやつとして、里芋は犬が食べても大丈夫な食材です。
ただし、いくつかの注意点があるため、与える前によく確認しましょう。
生の里芋はNG!加熱済みであればOK
犬に「生のままの里芋」は絶対に与えないでください。
生で与えてしまうとシュウ酸カルシウム結晶によって里芋中毒を引き起こす可能性があるため、必ず加熱処理後に与えましょう。
もし、愛犬が生で大量の里芋を食べてしまった場合や、少量でも食べた後に具合が悪くなった場合は、すぐに獣医師の診察を受けてください。
生の里芋の中毒症状
里芋には、シュウ酸カルシウムという成分が皮に近い部分に大量に含まれており、この物質の結晶(1本の長さは0.1mm程度)が針状になっています。
生で食べてしまうと、口や喉、胃の粘膜にこの結晶が刺さることで刺激され、嘔吐やよだれを垂らすなどの中毒症状を引き起こします。
人間も皮をむいたときや里芋を洗うときに手がかゆくなるのは、この成分が皮膚に刺さることによる影響です。このシュウ酸カルシウムは、わずかな量の摂取でも症状が出ることがあります。
さらに、大量に摂取してしまうと喉や胃粘膜への刺激が重度となり、場合によっては呼吸困難を引き起こすことも考えられますのでご注意ください。
里芋の茎や葉にも多く含まれているので、あわせて注意が必要です。
また、主成分のデンプンも生で食べてしまうと消化されにくいため、消化器症状が出る可能性があります。
生の里芋を食べたときに起こりやすい症状には以下のようなものがあります。犬だけでなく、人も同様の症状を引き起こすと言われていますので注意しましょう。
- 口や喉の痛み
- 皮膚炎
- 嘔吐
- 下痢
- 元気がなくなる
- 消化器障害
- 呼吸困難
犬への里芋の上手な与え方と調理ポイント!
シュウ酸は、いわゆる「アク」と呼ばれるえぐみ成分でもあります。
アクは下茹ですることによって取り除きやすくなるため、愛犬に里芋を与えるときには人が食べるときと同じように、下処理をしてから与えてください。シュウ酸とカルシウムが結合したシュウ酸カルシウムは皮近くに多く含まれているため、皮をむいてから茹でた後、ぬめりをよく取ってから与えるとシュウ酸カルシウムの量が大幅に減ると言われています。
また、人ではゴロッとした大きなサイズで食感を楽しむことも多いですが、犬には1つ1つ小さく切ってからあげましょう。
犬の食べ方は基本的に「丸飲み」であり、よく噛んで消化しやすくした後に食べるということをしません。
大きいまま与えてしまうと、詰まったり消化しにくくなり嘔吐や胃腸の不調を起こしやすくなります。
参考文献:さといもの煮物を食べたら喉に刺すような痛みを感じたのですが、どうしてですか|農林水産省
里芋を使った犬用レシピ
里芋を使って愛犬用のごちそうを作るときにおすすめのレシピもご紹介します。ちょっとした楽しみや、トッピングとして活用してみてくださいね。
ふっくら里芋ぶりまんじゅう
里芋のねばりを利用して作る和風ごはんレシピ。EPAとDHAが豊富なブリを使って、より健康に役立つかもしれません。
うまみたっぷり鮭と里芋のきのこスープ
里芋をつぶせばとろみも出る温かいスープ。寒い日のトッピングや、老犬の食べやすさアップにもおすすめです。
犬に与えてもいい里芋の量
いつものドッグフードのトッピングの材料やおやつとして里芋をあげるのであれば、1日に摂るべき総カロリーの約10~20%までに抑えておきましょう。
たとえば、5kgの成犬が一般的に必要とする1日のカロリーは「約330kcal」です。
ここから、里芋のカロリー【53kcal/100g】で照らし合わせてみると、
Mサイズの里芋なら1個40gほど、Lサイズでも1個70gほどなので、人の食べる量と比較してみると「1回量が少ない」と思ってしまうかもしれません。
しかし、犬は人よりも体が小さく、里芋以外の食材も合わせておやつやトッピングとして与えていることがほとんどのため、「少なめ」が適量だと思っておきましょう。
里芋を付け加えた分は、メインのドッグフードをその分減らすことも必要です。
参考文献:文部科学省 日本食品標準成分表「いも及びでん粉類」
犬に里芋を与えるときの注意点
尿路結石症
シュウ酸とカルシウムが出会うことで体の中で硬い石となり、尿道や膀胱を傷つけたり、閉塞させてしまう尿路結石症という病気があります。
里芋をたまに食べる程度であれば問題のないことがほとんどですが、これまでにシュウ酸カルシウム結石ができたことがある犬は、再発予防のためにも避けた方が良いでしょう。里芋を避けるだけでなく、専用の療法食以外に何か与えたい場合にはかかりつけの獣医師に相談しましょう。
アレルギー
どんな食材でも体が過剰に反応すれば、食物アレルギーとして何らかの症状が現れることがあります。
里芋や近縁種であるタロイモなどは西洋文化ではもともと食べられていないので、犬に与えることも世界的に見れば一般的ではありません。そのため、里芋が犬で食物アレルギーの原因となるかは不明ですが、人間では里芋に含まれるアセチルコリンによって、アレルギーに類似した反応が起こることが知られています(仮性アレルギー)。仮性アレルギーでは口周りのかゆみや赤みなどが見られます。
犬の食物アレルギーの症状には皮膚のかゆみや赤みなどと、下痢や軟便などが見られます。
消化不良(特に子犬や老犬)
生で与えることが原因の消化不良や里芋中毒だけでなく、子犬の場合は胃腸の機能が未発達であることが原因で、たとえ茹でたり小さくカットしていても消化が追いつかないことがあります。
老犬では、加齢によって消化・吸収機能の衰えが原因となることが多いでしょう。
子犬や老犬の場合は、下痢や軟便、嘔吐が成長を邪魔したり、体力を奪うことにつながりやすいため、食べ慣れないものを与えるかは慎重に決めてあげてください。
犬が里芋を食べることで期待できる健康効果
里芋に含まれる成分
- 食物繊維 → 便通改善
- ガラクタン → 免疫力向上、ガン予防
- フィトステロール → コレステロールの吸収を抑制、がん予防
- ビタミンB1 → 疲労回復
- カリウム → 利尿
- グルコマンナン → 免疫力アップ
- ビタミンC・E → 老化予防
里芋にはネバネバとした食物繊維の一種である、ぬめり成分(ガラクタン)が入っており、胃の粘膜を保護する働きが期待されています。
肝臓や腎臓の機能を高め、消化を促す効果もあり、便秘解消などにも役立つと言われています。
里芋には他にも健康に役立つ成分が多く含まれていますが、これは人間で言われていることであり、犬ではどの成分がその程度有用なのかはまだ不明と言われていますが、人間と同じ健康効果を期待できるものもあるでしょう。
さらに、芋類の中では水分が多めで糖質が少ないので、比較的低カロリーで与えやすい食材と言えます。
手作りごはんがメインの家庭で、1度にたくさん食べたい子には、肥満予防として適量の里芋はよいかもしれません。
まとめ
里芋の原産地はインドから東南アジア地域が原産地だと言われており、縄文時代には海を越えて日本に渡ってきたそうです。
縄文時代の主食であったとも言われており、非常に歴史の深い健康に良い成分を多く含む優れた食材とされています。
里芋は人間も犬も生では食べられませんが、加熱処理後に柔らかくすりつぶすなどすることで、犬にとっても有益な食材のひとつとなるかもしれません。
調理をする飼い主さんと犬へのシュウ酸カルシウムによる悪影響には気を付けて、日々のメニューに上手に取り入れてみるのも良いでしょう。