犬がとうもろこしを食べてもいい?量や芯には注意が必要

犬がとうもろこしを食べてもいい?量や芯には注意が必要

犬が好んで食べることが多い、甘くておいしい「とうもろこし」ですが、体に害はないのでしょうか?また、生のままや芯を与えても問題はないのでしょうか?この記事ではとうもろこしの与え方や注意点について現役獣医師の監修を元にご紹介します。

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記事の監修

東京農工大学農学部獣医学科卒業。その後、動物病院にて勤務。動物に囲まれて暮らしたい、という想いから獣医師になり、その想い通りに現在まで、5頭の犬、7匹の猫、10匹のフェレットの他、ハムスター、カメ、デグー、水生動物たちと暮らしてきました。動物を正しく飼って、動物も人もハッピーになるための力になりたいと思っています。そのために、病気になる前や問題が起こる前に出来ることとして、犬の遺伝学、行動学、シェルターメディスンに特に興味を持って勉強しています。

犬がとうもろこしを食べても大丈夫!

とうもろこし

結論からお伝えすると、犬にとって「とうもろこし」は食べていい食材です。ただし、与え方と量に注意する必要のある食べ物です。与える場合は栄養素や成分、期待できる健康効果や分量を考慮して与えることが重要です。

とうもろこしは、直接与える以外にも犬の食生活に関わってくる食材です。 たとえば、犬のメインな食事として流通しているドッグフードにも実はとうもろこしが利用されています。

とうもろこしなど穀物に含まれるデンプンにはフード形成を助ける役割があります。 また、とうもろこし自体に含まれているビタミン・ミネラルなどの栄養素も有益なため、適切に加熱処理されたとうもろこしが加えられています。そうした理由から、とうもろこしなど穀物はドッグフードに使われる機会が多いです。

炭水化物

とうもろこしは犬にとっても大切な炭水化物を多く含んでいる穀物です。炭水化物は犬にとっても効率よくエネルギーとなる貴重な栄養素です。また炭水化物中の繊維質は、腸内環境を改善し便秘や下痢を防ぐことが期待されます。

ビタミン

穀物であるとうもろこしも、ビタミンを豊富に含んでいます。とうもろこしに含まれているビタミンとして代表的なのは、ビタミンB1とB2です。どちらもエネルギー代謝において必要であるため、犬にも積極的に摂取させたい栄養素といえます。

ミネラル

とうもろこしにはカリウムやマグネシウムなどのミネラルも含まれています。 カリウムは過剰になったナトリウムを体外に排出する役割があり、心臓負担軽減に貢献します。不足することは多くありませんが下痢や食欲不振時には欠乏症が懸念されます。

マグネシウム役割はは骨を安定させたり体の代謝に必要になったりするミネラルです。犬が病気を患った際に不足しないよう補給する機会も多い栄養素です。

一方で、とうもろこしにはリンも多く含まれています。骨や歯を形成するために必要な栄養素ですが、慢性腎臓病を患っている犬の場合は摂取量に気を配る必要があります。そのため、腎臓病などを患っている犬には、とうもろこしを与えるのは控えた方が無難です。

犬に与えても良いとうもろこしの量

とうもろこしの粒

犬にとうもろこしを与える時は、その量に注意しましょう。与え過ぎはカロリーオーバーになります。基本的には、おやつ代わりやドッグフードにトッピングする程度にして、主食に影響がないように注意しましょう。

犬はとうもろこしを大量に摂取すると消化不良を引き起こし、下痢や嘔吐などの症状が現れることもあります。ですので、犬の一日の必要カロリーの10~20%以内におさまる量が良いでしょう。一日の必要カロリーというのは、ドッグフードを主食に与えている場合の「ドッグフード以外に与えるもの」の総量です。

茹でたとうもろこし100gのカロリーは99kcalですので、愛犬の体重などから必要カロリーからを計算し、とうもろこしを含めたトッピングや間食の量を決めてあげてくださいね。

カロリーを計算するのはちょっと…という場合には、小型犬でしたら「ひとつまみ(親指、人差し指、中指の3本の指で軽くつまんだ量)」までが良いのではないでしょうか。

犬へのとうもろこしの与え方

ペーストされたとうもろこし

とうもろこしは犬が食べてもいい食材ではありますが、どのようにして与えるのがよいのでしょうか?

加熱する(調味料不使用)

犬にとうもろこしを与える時は、必ず柔らかく茹でてから与えましょう。通常、生のとうもろこしを茹でる時は「塩ゆで」をすることが多いですが、犬に与える場合は調味料不使用で茹でるようにしましょう。

茹でた後すり潰す

犬にとうもろこしを与える時は、柔らかく茹でた後にすり潰して与えるようことをオススメします。とうもろこしの粒の皮の部分は不溶性の食物繊維でできているため、お通じに良いとも言われていますが、全く消化されずにそのまま出てきてしまうことも多いでしょう。そのため、すり潰してペースト状にするのもいいかもしれません。

生のとうもろこしは与えてはいけない!

犬にとうもろこしを「生のまま」で与えるのはよくありません。消化不良による下痢や嘔吐を引き起こしてしまう可能性があります。

犬にとうもろこしを与える際の注意点

とうもろこしを咥える犬

とうもろこしは食べ方を間違えると、思わぬ事故に繋がってしまう可能性がある食材です。愛犬に与える前に、以下の点に注意をしましょう。

とうもろこしの芯(穂軸)は与えない

注意をしなければいけないのが「芯」です。とうもろこしの芯は、犬にとって誤食しやすいものとして挙げられることが多く、中にはとうもろこしの芯を食べてしまったことによって、亡くなってしまったワンちゃんもいるそうです。

とうもろこしの芯は、たとえうまく飲み込んだとしても、食物繊維の塊であるため上手く消化できず、様々な症状を引き起こす可能性があります。喉に詰まらせる可能性はもちろん、消化器官に詰まってしまうこともあります。

高カロリーなので大量に与えない

とうもろこしは、野菜の中でもカロリーが高く、肥満の原因になる可能性もあります。たまにとうもろこしを与えた程度で肥満になることはありませんが、肥満気味の犬には頻繁には与えないほうが無難です。

また前述したように、消化不良を起こしやすい食材でもあります。大量に与えるのは控え、一日にあげる目安の量を守りましょう。

下痢しやすい犬には与えない

食物繊維を多く含むとうもろこしは、犬によっては消化不良の原因となる可能性もあります。実際に、とうもろこしを与えた後のウンチには、粒がそのまま残っていることも少なくありません。

とうもろこしの過剰摂取は、犬の胃腸に負担を掛けることもあります。食べ物の変化で下痢をしやすい子などには、無理にとうもろこしを与える必要はありません。

アレルギーを引き起こす可能性がある

とうもろこしを与えると、アレルギーを引き起こす場合があります。犬の食物アレルギーでは、皮膚がかゆくなったり赤くなったりする、便の回数が多い、嘔吐や下痢、軟便を繰り返すなどの症状が見られます。

愛犬に初めてとうもろこしを与える際は、少量ずつ様子を見ながら与えるようにしてください。少しでも体に異変が現れた場合は、早急にかかりつけの病院で受診してください。

犬のアレルギー検査では、とうもろこしに対する反応も検査できますので、「食物アレルギーがあるかも」「とうもろこしにアレルギーがあるかも」と思った場合にも動物病院に相談しましょう。

コーン缶などの加工品は避ける

犬にとうもろこしを与える際の注意点として、犬に与えるとうもろこしの種類に注意しなければなりません。一言に「とうもろこし」と言っても、生や冷凍のとうもろこし、コーン缶など様々です。コーン缶を使う場合には、塩分や糖分が含まれていないものを選びましょう。

また、とうもろこしが原材料であるからと言って市販のコーンスープやポップコーンを犬に与えるのは避けましょう。コーンスープには玉ねぎが使われていることが多く、塩分も多く含み、ポップコーンも油分と塩分、味によっては砂糖も多く含まれるからです。ただし、家庭で調理した味付けをしないポップコーンであれば犬に与えることができます。

犬がとうもろこしの芯を誤食した時の対処法

犬がとうもろこしの芯を誤食したとき

犬にとうもろこしの芯は絶対に与えてはいけません。万が一、犬がとうもろこしの芯を誤食してしまった場合は、適切な対処を行う必要があります。

誤って食べたときの症状

犬がとうもろこしの芯を食べて消化管のどこかで詰まった場合、以下のような症状が現れます。

  • 嘔吐
  • 下痢、血便
  • 便が出なくなる
  • 腹痛
  • 腹部膨満
  • 元気消沈
  • 呼吸困難

これらは、とうもろこしの芯が喉や腸に詰まってしまうことで引き起こされます。呼吸困難は、とうもろこしの芯が食道で詰まってしまい気管を圧迫すると起こることがあります。

飲み込んでしまうのが問題がない芯の大きさでも、いつまでも胃の中にとどまってしまい、胃の不調を引き起こすこともあります。また、異物が腸を塞いでしまう「腸閉塞」を引き起こした場合、外科手術が必要になり、治療の開始が遅れると最悪の場合死に至ることもあります。

誤って食べたときの対処法

犬がとうもろこしの芯を食べてしまった、特に芯を丸飲みしてしまった場合、症状がない場合でも早急に動物病院を受診、または獣医師に電話で相談しましょう。

食べてしまった芯が小さい、または芯を噛み砕いて食べてしまった場合は、問題なく便と一緒に排泄されることもありますが楽観はできません。ただ、この判断は必ず獣医師に行ってもらうことが重要です。

また、腸閉塞の場合、数日間はいつもと変わりなく元気であることも少なくないため、芯を食べた直後に症状がないからといって油断してはいけません。早急に動物病院を受診すれば、必要に応じて催吐薬などを投与してもらうことも可能ですが、とうもろこしの芯は直径が太いので吐くことが難しい場合が多かったり、吐かせない方が良い場合もあります。

犬がとうもろこしの芯を誤食してしまった時、自宅で無理に吐かせようとするのは非常に危険です。芯が喉に詰まってしまうなど、かえって状況が悪化する可能性もありますので、まずはかかりつけの獣医師に指示を仰ぎましょう。

ドッグフードに含まれるとうもろこしについて

ドッグフード

ドッグフードには、とうもろこしが含まれていることがあります。一般的にドッグフードに含まれているとうもろこし由来の原料には「とうもろこし粉」「コーンミール」「コーングルテン」「コーンスターチ」などがあります。

ドッグフードに含まれるとうもろこし類に関しては賛否両論あり、安い「かさ増し」のための材料として使われることもあれば、良質なたんぱく源としてコーングルテンが使われていることもあるようです。ですので、とうもろこしが使われているドッグフードが全て悪いということはありません。

特定のドッグフードが犬の体質に合わない(下痢や軟便が続く、吐くことが多いなど)場合、とうもろこしを使っていないフードが体に合うこともあるでしょうし、とうもろこしにアレルギーを持つ犬もいます。

とうもろこしが使われているフードを食べている犬で問題がない場合、フードに含まれている材料だからといってとうもろこしをフード以外にたくさん与えるのはよくありません。必要な全ての栄養素をバランスよく摂取することが大切ですので、とうもろこしの量が多過ぎる食事は栄養が偏りますので注意してください。

とうもろこしに含まれる成分そのものは、犬にとって害のあるものではありませんが、犬用の総合栄養食を食べさせていれば、とうもろこしを積極的に食べさせる必要もありません。

栄養価が豊富なとうもろこしだからこそ過剰摂取することによってカロリーオーバーになってしまったり、豊富な食物繊維から消化不良を起こしてしまう可能性もありますので注意しましょう。

まとめ

とうもろこしを好んで食べるわんちゃんは多く、おねだりされるとつい食べさせてあげたくなる気持ちはよく分かります。しかし、与え方には十分注意したいですね。

そして、芯の誤食は非常に危険なので、飼い主さんがとうもろこしを食べる時は絶対に盗み食いされないよう注意しましょう。

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