逆さまつげとは?
逆さまつげとは本来は外側に向かって生えている毛がなんらかの原因で内側に向かって生えてしまっている状態のことです。目の周りに生えている毛が、眼球の角膜表面に傷をつけたり炎症を引き起こしたりするもののことを言います。涙が多かったり、目を引っ掻いていたりすることが多いとこの逆さまつげかもしれません。逆さまつげには「睫毛重生(しょうもうじゅうせい)」と「睫毛乱生(しょうもうらんせい)」と「異所性睫毛(いしょせいしょうもう)」の3パターンがあります。
眼瞼内反症(がんけんないはんしょう)
逆さまつ毛の原因の一つとして眼瞼内反症(がんけんないはんしょう)があげられます
症状
何らかの理由でまぶたが正常な位置から外れてしまい、特に下のまぶたが内側に反り返ります。
また、逆にまぶたが外側に反り返った状態は眼瞼外反(がんけんがいはん)と呼ばれています。
内側に反り返ったまぶたは、眼球の角膜を常に刺激してしまう状態になってしまいます。
症状としては以下のようなものがあります。症状の中に逆さまつげがあります。
- 結膜炎や角膜炎の症状
- 前足で目をこする
- 目ヤニが増える
- 涙が増える
- 逆さまつげ
原因
主な原因としては遺伝が考えられます。まぶたの構造異常があっておこります。眼瞼内反症になりやすい犬種として以下のものがあげられます。
- チャウチャウ
- イングリッシュブルドック
- ラブ
- ゴールデン
- ロットワイラー
- グレートデン
- ブルドッグ
また遺伝の他にも他の眼の疾患などでも眼瞼内反症を起こすことがあります。
また、極端に体重が減った場合、眼球が入ってる眼窩(がんか)と呼ばれる部分の脂肪が減り眼球自体が少し後ろに下がったような状態になります。そのため、前の少し開いた部分にまぶたが入り込んでしまうといった状態になってしまい眼瞼内反症を起こすことがあります。
治療法
主な治療法は2つあります。
1つはまつげを抜くことです。角膜炎や結膜炎を引き起こしているまつげ自体を抜いてしまい炎症が起こることを防ぎます。
そして2つ目は内反矯正手術です。まぶたの変形が重度の場合には手術を行います。まぶたの下や横の皮膚を切り取って縫い合わせるといった方法です。そうすることで内反したまぶたを正常な状態に戻すことができます。
異所性睫毛(いしょせいしょうもう)
症状
- 角膜炎や結膜炎の症状
- まばたきの増加、減少
- 涙が多くなる
- 目ヤニが多くなる
- 目の周辺が濡れる
睫毛の生える位置が本来の場所より目の内側に生えているので、常に睫毛が角膜に接してしまいます。そのため、目に傷をつけてしまい、痛みや違和感を感じてしまいます。ひどくなると炎症を起こしたり、角膜に潰瘍を作ってしまう場合もあります。
原因
こちらも眼瞼内反症と同じく遺伝でなることが多いようです。
マイボーム腺からでたまつ毛が、まぶたの内側を覆う眼瞼結膜(がんけんけつまく)を貫通して生えてしまいます。
治療法
点眼薬などで症状を緩和させたり、抗生剤と角膜保護剤を点眼して、角膜に潰瘍を作るのを防ぐという方法があります。
しかし、根本的な治療ではなく、原因となるまつげの部分は改善されていないため、ほぼ一生点眼をする必要があります。
根本的な治療としては、定期的にまつげを抜くことや、まつげの生えている部分を外科的に切除するなどの処置があります。
まつげを抜いたりすることは勝手にはしないでください。必ず病院で獣医さんに相談しましょう。
早期発見するには?
逆さまつげになると涙が多くなる、充血する、前足で目をこすりたがるなどの症状が出ます。
なかなか目をじっと見る機会はないと思いますが、日々のお手入れの中で涙は出ていないか、目の周りの毛の色は変わっていないか、左右の目で変化はないかなどをチェックしてみましょう。
なりやすい犬種の子もいますが、他の犬種の子がならないというわけではありません。定期的なチェックや、トリミングを行う際の目の周りのケア、動物病院での定期的な目のチェックなどを行いましょう。
おやつなどで楽しみながら目の周りに触れられるように練習していきましょう。
日々のチェックをしやすくすることで早期発見ができます。
そして万が一病気が発見されても、その後の点眼などの処置がずっとやりやすくなります。
まとめ
逆さまつげを放置しているとひどい角膜潰瘍になると穴が開いたままで治らなくなってしまったり、細菌感染で視力を失うこともあります。
逆さまつげはピンセットなどで抜き取る治療を続けると毛根が弱くなり、生えにくくなることもありますが、暴れたりしてしまい継続できないことが多くあまりおすすめはできません。
逆さまつげがひどい場合には手術をすることもありますので、手術を治療の選択肢のひとつとして考えておいても良いかと思います。
まずは逆さまつげを放置せず、きちんと動物病院で診てもらって下さい。
獣医さんと相談して現状の確認や今後の治療方針を共有していきましょう。