犬の健康のために若い時から検査は必要?
愛犬の命を病気から守る為には、早期発見し早期治療する事が大切です。血液検査などの健康診断は目には見えない体の変化に気づいてあげる事が出来ます。
動物病院に勤めていると、「うちの子若いからまだ健康診断とかいいよね?」とよく聞かれます。
確かに若いうちで何も症状がなければ検査は必ずしも必要ないかもしれません。でも、今後何か異常があった時に健康な時のデータがあると比較しやすくなります。
以前は正常値だったのに今回はこの値が高いとか、以前からやや高めだった子が今回も同じように高ければ大きな問題はないなど、比較出来る検査データがあればより正確です。できれば毎年してあげると良いと思いますが、若いうちは何年かに一度に検査を受け、シニア期に入れば毎年してあげるといいと思います。
検査の種類と検査によって解る事
血液検査
一般的に健康診断といえば血液検査が多いと思います。血液検査から解る事はたくさんあります。
- 貧血や血小板などの血液の状態
- 電解質(体のミネラルバランスの値)
- 血糖値
- 肝臓
- 腎臓
- コレステロールや中性脂肪
- タンパクの値
- 炎症の値
- 甲状腺などのホルモンバランス
動物病院によって検査の項目は違うと思うので、検査をする前にかかりつけの先生に確認してみて下さい。
尿検査
尿検査で解る事は
- 尿の比重(おしっこの濃さ)
- PH
- 尿糖やケトン体(糖尿病の検査)
- 尿タンパク
- 黄疸
- 潜血
- 尿結石
尿結石や糖尿病は尿をみるとわかります。尿結石は早めに食事療法や薬で結石を溶かす事が出来るので、おしっこを取るだけのワンちゃんに負担をかけない検査です。普段からおしっこの色や量は確認しておかしいと思えば、朝の尿を持ってきてもらえればすぐに検査する事が出来ます。
レントゲン
レントゲンから解る事は
- 心臓の大きさや変形の有無
- 肺炎や肺水腫など肺の状態の確認
- 骨の変形や骨折などの骨の異常の有無
- 腹水や胸水などの水が溜まっていないか。
- 食道や気管などの変形がみられないか。
- 内臓に出来た腫瘍
若いうちに健康な状態でレントゲン撮影をしておくと、高齢になり心臓の肥大がみられた場合などに、健康な状態のレントゲンがあれば比較になります。
エコー検査
エコー検査で解る事
- 心臓の内部の動き
- 胃や腸の動き
- 膀胱結石や膀胱炎
- 内臓に出来た腫瘍
- 胆石や胆汁など体内に溜まった老廃物
レントゲン検査では内部の動きなどが見ることが出来ませんが、エコー検査では内部の動きがリアルタイムで解ります。そのため、レントゲンで異常があった箇所のより詳しい検査が出来ます。
CTやMRI
大きな動物病院だと検査出来る所もあります。
ただCTやMRIになると麻酔をかけないといけません。どうしてもワンちゃんは動いてしまい検査出来ないので、麻酔で寝かせてからの検査になるので健康診断でする場合は飼い主さんと相談します。料金も高額になります。より詳しい検査なのでレントゲンやエコーでは見ることが出来なかった病巣を見つける事が出来るので、原因がわからない場合はこの検査についてお話する事があります。
まとめ
健康診断をするタイミングとしては、毎年春頃フィラリアの検査をする際に行うと良いと思います。健康な時のデータを残しておいて、また次のフィラリアの検査の時期に血液検査を行い、その時にもし何か異常や気になる箇所があればより詳しい検査のレントゲンやエコーをしてあげるといいと思います。
ただ全ての病気を検査でみつける事は出来ません。急変することもあります。
今年の検査は異常がなかったから大丈夫と思わずに、普段の生活でしっかりと体を触ってあげて、腫瘍などの出来物がないか、便の色やおしっこの色や量、食事の量や体重・呼吸の状態などをチェックしましょう。おかしいと思ったらすぐ獣医師に相談してください。
私達は飼い主さんのお話から、どの検査を行うか判断します。そのため、不安に思う事があれば相談してほしいです。言葉が話せない愛犬の体の変化に気づいてあげてほしいと思います。