ペットホテルに預けられた『ボロ雑巾』のようなヨーキー

私が以前勤めていたペットホテルでのお話です。その時に預かったヨーキーちゃんがあまりにもひどい状況で…今でも忘れられない衝撃的な出来事でした。

顔の見えないヨーキー

（※写真はイメージです。）

ペットホテルに１週間ほどの宿泊と、トリミングも一緒に予約されたのはヨーキーちゃん。飼い主のお母さんも普通の人でして、電話口ではなんの違和感もありませんでした。

宿泊予約の日、送迎車がお迎えに行きホテルにやってきたヨーキーちゃんは目を疑う姿をしていました。

顔はどこにあるの？

毛は伸び放題でツヤも何もなくベタベタ、伸びた毛についたおしっこやうんちが悪臭を放ち一般家庭で飼われている犬とはかけ離れた姿でした。「この子は悪質ブリーダーから保護されたの？」そう言われてもおかしくないほど汚れていました。

そして驚いたことに、送迎員が飼い主さんから聞いたのは「この子は外飼いだから」という言葉でした。

ヨーキーを外飼いしてる？

そのヨーキーちゃんを預かったのは冬。
雪があまり降らない土地とは言え、寒さは厳しいものです。夏も外なのか、など私を始めスタッフは疑問と疑念ばかりでした。外飼いで糞尿まみれ、それだけ汚いのであればノミの問題もあります。

案の定というか、トリミング中にわかりましたが、やはりノミまみれでした。さぞ身体がかゆかったことでしょう…。

宿泊中は念のため他のわんちゃんにノミがうつらないよう、隔離スペースでのお預かりでした。性格はとても穏やかで人懐っこかったのに、あまりにも汚いためホテル内のドッグランでも遊ばせてあげられずかわいそうでした。

ヨーキーちゃんをトリミング

ベタベタの脂に糞尿の匂いは何度洗い流してもなかなか落ちませんでした。あまり洗いすぎてもわんこの皮膚を傷めてしまうので匂いは仕方なく、少し残りました。

身体の毛玉はほどききることは不可能だったので、バリカンで短く刈り上げました。シャンプー後にも関わらず、短く刈り上げた毛の間からは大量のフケが出てきました。そして大量のノミも(この時点でほぼシャンプーにより死んでいますが…)。
ノミを除去、毛の長さを整え足まわりの伸びきった毛もすっきりカット、お尻まわりもうんちが付かないように短めにカットしました。

最後はお顔です。身体の毛が短いので耳の飾り毛も残さず、耳の輪郭を出してボーイッシュに。目にかぶっている毛は短かく短かく、ここで初めて目が出てるのが見えたんです。小さめのつぶらな瞳をしていました。お顔の輪郭はまんまるく、可愛くなるように。

トリミングが終わると、もうほとんど別のわんちゃん。ベタついて重かった毛もなくなり足取りも軽やかでした。まだ少し匂いは残ってるけど、なんの嫌悪感もなく抱っこしてあげられるのがとても嬉しかったです。

チェックアウトを済ませた送迎員からは、飼い主さん喜んでたよ〜と。喜んでくれて良かったと同時に、「またああなってしまうのかもしれない」と思うと悲しくなりました。

ペットも家族です。

外飼い、室内飼いの考え方は個々の家庭によります。大型犬だから外飼い、大型犬だけど暑さに弱いから室内飼い、いたずらがひどいから外飼い、小型犬だから室内飼いなど。マンションでスペースがないため室内飼いの方も多いですね。

それはご家庭の考え方次第であって、今回のヨーキーちゃんに疑問は感じましたがそこは特に問題ではないと思います(もちろん寒さ、暑さ対策は必ずあるものとして)。

問題なのは糞尿をちゃんと片付けているのかということです。放置されれば当たり前に悪臭を放ち、虫も湧き不衛生極まりない状態。そして手入れされず伸びた毛にまとわりつき、その子自体も不衛生に。

ヨーキーちゃんはトリミングが必須な犬種ですが、わざわざシャンプーしなくてもキレイに維持することはできます。

ピンブラシで梳かしてあげれば毛の表面のゴミや汚れはとれます。
スリッカーで皮膚を叩くように梳かしてあげれば皮膚のマッサージにもなります(強く叩きすぎると皮膚に血が滲みますので力加減は必要です)。毛玉もスリッカーで取れますし、コームで少しずつほどいてもいいでしょう。

耳掃除も見える範囲の汚れをコットンで拭ってあげるだけで違います。

目まわりの毛が伸びてきたor目頭の目ヤニが固まって取れない場合、目頭の毛をすきバサミで少しずつ切ってあげると違和感なくお顔がすっきりします。

…ざっと挙げただけでもこれだけの維持方法があるんです。挙げたものはヨーキーちゃんだけでなく、他のわんちゃんにも使えるケア方法です。ハサミを使わなくとも、ブラッシングだけでもトリミングもしくはシャンプー後の日持ちは格段に違います。ぜひこの記事を読んで下さった皆様には試していただきたいです。

まとめ

今回お話ししたヨーキーちゃんやその飼い主から私たちが学べるものはいったい何でしょうか？少しでもいいので、考えて欲しいと思います。ペットも家族ということを忘れずに、日ごろのお手入れは行っていってくださいね。そして、わんちゃんを飼う上で必要なことをしっかりと勉強しペットを不幸にしない飼育を心がけていただきたいです。