犬が誤飲誤食したときの症状と対処法
犬の誤飲誤食による事故は、基本的に動物病院で診てもらうことが大前提となります。しかし、緊急を要する状況になったら、飼い主さんが応急処置を行う必要があります。ただし、吐かせる処置は病院で獣医師さんに任せるようにしましょう。
緊急性が低いものの症状と対処法
犬が中毒症状を起こさない食べ物や詰まる恐れがない小さな物を誤飲誤食したような場合、無症状で経過し便とともに排出されることがあります。しかし、「食欲がなくなる」「繰り返し嘔吐する」「発熱」といった症状が出ることもあるのでしっかり様子を見ることが大切です。
また、ある程度の大きさのものを飲み込んでしまっている場合、消化管を通る際に障害を起こす危険があるので吐かせるといった処置はせず、念のためかかりつけの病院に連絡して指示を仰ぐとよいでしょう。
緊急性が高いものの症状と対処法
犬が食べ物以外の異物を誤飲誤食してしまったなど、異物が詰まって窒息しかけているような緊急を要する場合は、早急に応急処置を行う必要があります。「ヒモ状のもの」「鋭利なもの」「タバコ」「人間の薬」「プラスチック」など、犬が中毒を起こしたり内臓を傷つけたりする恐れがあるものを誤飲誤食すると、緊急事態になります。
こういった場合、食欲がさらに低下し、咳き込んだり激しく嘔吐したりといった症状を見せるようになります。
応急処置としてすぐに気道確保が必要な場合もあります。犬が飲み込んだものの形状や成分、誤飲した量などで危険度が異なり、それぞれの状況に応じて吐かせる必要があるのかなど対処法が変わります。
犬の吐かせる方法を知る前に確認すること
犬に吐かせる前に、まずは本当に犬が誤飲誤食してしまったのかを確認しましょう。飼い主さんがしていると思っていても、犬は実際には食べておらず、床に落ちているようなケースもあります。犬が誤飲誤食をしていないのに病院で緊急処置を行ってしまうと、犬にとって余計な負担をかけることになるのできちんと確認しなければなりません。
また、犬が何を飲み込んだかが分かれば、病院へ行ったときに誤飲誤食の状況を伝えやすく、獣医師さんも対処がしやすくなります。
犬の誤飲から吐かせる方法について
人間だったら指を無理やり突っ込んだりマッサージをして吐かせることもできます。しかし、犬の場合はそうはいきません。そこで、具体的な犬の吐かせ方をみていきましょう。
3パーセント溶液のオキシドールを使う(過酸化水素)
オキシドールを犬に飲ませると、胃酸に反応して胃の中に酸素ガスが大量に溜まります。それにより、嘔吐が誘発され胃の内容物を吐き出します。犬の体重1キログラムあたり1~2ミリリットルを目安に、スポイトなどを用意して飲ませる方法が一般的ですが、犬が嫌がって飲まないときは、オキシドールに牛乳を適量混ぜると与えやすくなるようです。
オキシドールは消毒薬や殺菌剤として怪我をしたときに使用されているものですが、生き物の体の中に入ると酸素に分解され消化されるといわれています。しかし、オキシドールがないからといって、家庭で使われることの多い消毒薬「マキロン」を代わりに使用して吐かせるのは絶対に避けましょう。マキロンはオキシドールとは全く異なる成分でできており、犬にとっては毒となるので注意しましょう。
また、オキシドールは刺激があるため、胃の中に傷がある場合や犬の体格や持病によっては状態をさらに悪化させてしまう可能性があります。そのため使用する前には、その犬にあった最適な量を獣医師へ電話で相談することをおすすめします。犬が吐いた後は、胃の状態を元に戻すためにもこまめに水分補給を行い、ゆっくりと休ませてあげましょう。
オキシドール(過酸化水素水)は、消化管に対する刺激が強く、粘膜面が潰瘍をを起こすことがあります。このような症状が起こるので、投与するときには自己判断せず必ず獣医師に確認し指示を仰いでください。動物病院で診察を受けることを最優先と考えてください。
塩で吐かせるのは危険
食塩水を飲ませて犬に吐かせる方法は、塩の過剰摂取により引き起こされる塩中毒の危険性があるので良い方法とはいえません。塩の量を間違えると死亡してしまいます。基本的には吐かせる処置は病院で行ってもらうことをおすすめします。
病院では、犬の嘔吐が続かないよう吐き気止めの注射を使ったり、脱水にならないための点滴を行うこともあります。また、これらの方法で取り出せなかった場合、入院をして開腹手術が必要になります。
犬に吐かせる処置が必要な場面
異常な頻度で吐くとき
犬が自宅にあるぬいぐるみに穴を開け、中に入っている綿などを大量に食べてしまったなど、誤飲誤食したものがお腹に詰まった場合、頻繁に嘔吐するような行動が見られます。これは異物が体内に残っていることにより、腸閉塞などの病気を引き起こす可能性があるためです。その場合、病院で異物を吐かせる薬を投与してもらったり、重度な場合には開腹手術が必要になります。
毒性の強いものを誤飲したとき
犬にとって毒性の強いものは、誤飲誤食に気づいた時点ですぐに処置が必要になります。犬にとって毒になるものは、以下のようなものが挙げられます。
これらの異物が体内に吸収されると死へのリスクが高まるため、誤飲してから胃で消化吸収されるまでの30分~1時間以内を目安にオキシドールを使って吐かせましょう。
犬の誤飲で病院に行く前に知りたいこと
異物が詰まった場所や飲み込んだものによっては入院が必要となるケースがあります。そのため、誤飲の状況を正確に病院で伝えられるよう、病院へ連れて行く前には犬が何をどれくらい食べてしまったのか確認しておく必要があります。
犬が誤飲誤食したものと同じものがあれば実物を持参し、嘔吐物があればあわせて持っていきましょう。それから、犬の様子をメモしておくことも大切なことです。
また、誤飲したときの費用は、小さい異物を誤飲した場合と大きな異物を誤飲した場合で異なります。吐かせる処置がおよそ8000円前後、レントゲンや内視鏡といった処置が必要なケースでは3~4万円前後の料金になることもあるようです。
犬に吐かせる処置が危険な場合もある
犬が飲み込んだものによっては、飼い主さんが吐かせる処置を行うと危険なものがあります。画鋲や竹串、針といった鋭利なものは、犬の食道や胃の粘膜を傷つけたり穴を開けてしまったりする危険性が高まるので絶対に吐かせてはいけません。
また、食用油を飲み込んでしまったときも、吐かせることで油が気管に入り肺炎を引き起こす危険が高まるため避けましょう。このように誤飲誤食したものによっては、無理矢理吐かせることで症状が悪化する恐れがあります。そのため、吐かせる処置はなるべく病院で行ってもらうことをおすすめします。
まとめ
犬の誤飲誤食が分かったら、飼い主さんの落ち着いた対応がとても大切です。緊急の場合は気道の確保、吐かせるといった応急処置を行い、早急に病院へ連れて行きましょう。その際は、犬が何をどれくらい飲み込んでしまったのか、状況を正確に獣医師さんに伝えることが重要となります。
また、飼い主さんは日頃から犬が誤飲しそうなものを置きっぱなしにしないなど、誤飲をさせない環境作りを心がけましょう。
ユーザーのコメント
女性 雀3号
高濃度の塩水はとても危険と言われていますが、すぐに吐き出してくれれば問題ないそうです。ですが、誤飲したものによっては塩水を飲ませることで、例えばタバコのニコチンなど有害物質の吸収を早めてしまったりするものもあるので、獣医師に一度確認してからの処置が賢明です。
オキシドールを飲ませる方法が今のところ一番心配が少ない方法だと言えます。
犬の体内に消毒液を入れても大丈夫なのか不安になりますが、オキシドールを入れることで胃に酸素ガスが発生します。そのガスがゲップを誘発し嘔吐させることができます。オキシドールは酸素に分解されるので塩水を使うより安全です。
いざという時のために、用意しておくと安心ですね。オキシドールは3%溶液であることを確認して購入してください。「2.5~3.5w/v%の過酸化水素を含む」とあれば大丈夫です。
女性 さえか
女性 ポム
20代 女性 あめたま
我が家の愛犬も成犬に成長するまでは沢山の物を口に咥えてしまいました。
幸い、口にしてしまった物は食品が殆どで身体に異常をもたらす物はありませんでした。
しかし、愛犬が何かを口に含んだ時に「何を食べたの!?」と怒りながらワンちゃんの口を無理やり開けたりしていました。
本記事を読んでその行為はかえってワンちゃんの誤飲を防ぐ為には良くないという事を知り、反省しています。
ワンちゃんの行動範囲に誤飲の恐れのある物を置かない事が大鉄則ですが、万が一何かを飲み込んでしまった場合は頭ごなしに叱る事をせず、適切な処置を施そうと考えました。
20代 女性 てとまる
また、普段は人間が食べるものは落ちていても口にしなかったので、ビーフジャーキーに反応するとも思っていませんでした。我が家の愛犬のように普段は落ちている食べ物を食べない犬でもどんなことが起きるか分からないので気をつけた方が良いと思います。
誤飲をしてしまった時の対処法は当時は知らず医者に連れて行くしか無かったのですが、この記事を見て誤飲をした時の為にもオキシドールを用意しよう思います。
40代 女性 SUSU
ダックスの男の子と暮らしていますが、我が家でもパピーの頃は本当に目を離さなくて、お風呂に入る時でさえ、飼い主が見ていられない時はゲージに入ってもらっていました。
ハンガー、スリッパなどの定番の物から、電池、はさみ、クリップ、何かの錠剤まで・・・気づいたら咥えていて青くなったことはたくさんあります。
ただ、我が家のダックス君はとても食いしん坊なため、オヤツを見せればすぐにパッと離してくれたので、飲み込んでしまったということはありませんでした。
記事にもありますが、何かまずいものを咥えている場面に遭遇した場合、大声を出したり、「だめ!出しなさい!」と叱ることも逆効果です。
しつけ本には「アウト!」や「出しなさい!」というコマンドを覚えさせると誤飲を防ぐことが出来るとありますが、現実はなかなか思うようにはいかないと思います。
普段から飼い主がリーダーであるようにしつけを行っていれば、このような場合でもコマンドを徹底させることが出来ると言いますが、犬にとっては、自分が先に見つけた物であり、それを有無を言わせずに取り上げられようとすれば不信感が募り、とにかく急いで食べてしまおう!という思考回路になるのは当然かもしれません。
例え犬にとって良くない物であったとしても、犬が最初に見つけた物は犬の物です。それを取り上げようとするのではなく、「こっちと交換してくれない?」と交渉する方がうまくいくと思います。
普段からの信頼関係があれば、よほど魅力的なものでない限り「いいよ。」と言ってくれます。
我が家では最近、いわゆる叱るしつけはせず、お互いに共存しながら生活をしています。
やめてほしいことは怒るのではなくお願いをする、代わりの物を提案するようにしています。子供としてしつけるのではなく、パートナーとして暮らしています。
この方法を取り入れて数年が経ちますが、巷でよく言われている立場が逆転して我儘に・・・ということはありません。
この記事を読んで「そういえば最近、誤飲や散歩中の拾い食いがないな。」と気づきました。
以前は、散歩中に落ちているお菓子やゴミを何でも食べていましたが、無理やり取り上げることをしなくなった現在、ワンコの方も急いで口に入れることをしなくなりました。
家の中に何か落ちていても、匂いを嗅いでゆっくりとチェックをした後、立ち去っています。「落ちているよ。」と教えてくれることもあります。散歩中にお菓子が落ちていた時も、ゆっくりとチェックして食べずに立ち去るようになりました。
ワンコは人間とは比べものにならない程の嗅覚を持っています。自分の身体にとって良くないものも判断できると言われており、本来であれば食べられない物を食べることはありません。
誤飲をさせないように、家の中を片づけることが基本ですが、パピーの頃ならまだしも、成犬になっても何でも口にしてしまう精神状態にさせないことも大事だと思います。
女性 ラルフ
とにかく何でも食べる子で、目の前にあるものは噛むか食べるかだったようです。
手術した時は、叔母のストッキング、自分で噛み潰したゴムボール、大量のティッシュペーパー。
どれもどこのワンコでも有り得ますよね。
手術で何とか除去出来たもののお腹は手術跡だらけです。お陰で7歳になった今は落ち着いてきたようで誤飲は無くなったそうです。
留守の間に誤飲していたら飼い主は発見が遅れます。もし目の前で誤飲した時は慌てないのが一番ですが、むやみに手を突っ込んだりは危険です。
犬種によっては非常に気道が狭く短い子が居るので窒息して死に至る恐れがあります。
また記事にはピンセットで…とありますが素人がやると喉を傷つける危険性が高くなります。
オキシドールも効果あると確かに聞きますがこれも飲ませる量が難しく、人間でも同じですが、誤飲した際は呼吸を確保しておかないと誤飲から誤嚥(肺に酸素以外のものが入る事で肺が機能しなくなり死に至る可能性がある)に繋がります。
このような事から、決して無理に取り出そうとしたり吐かせようとはしない方がよろしいかと思います。
まずはこのような事にならないように、ワンコの届くようなところに誤飲しそうなものはおかない事、留守する時は普段興味を示さないものでも十分に気をつけてください。
誤飲したら飼い主の責任です!ワンコも人間の赤ちゃんと同じだと思ってくださいね。
ワンコが悪い訳ではないのでむやみやたらに叱るだけでなく、ワンコのおもちゃだけに興味をもたせるようにする事も大切です。
万が一、誤飲したら行きつけの動物病院か、時間外であれば時間外対応の動物病院に早く連れて行きましょう。
30代 女性 ハッピー
20代 女性 まる
女性 ぬかづけ