秋田犬と柴犬の歴史の違い
秋田犬と柴犬は、諸説ありますが同じ祖先ではないかと言われています。それぞれの歴史の違いを見てみましょう。
秋田犬の歴史
秋田犬のルーツは、秋田県大館地方でマタギ犬として活躍していた「大館犬(おおだていぬ)」と言われています。熊や猪と闘うため、マスティフやグレートデンなどの洋犬の血統が用いられていたそうです。
1931年になると、秋田犬と呼ばれるようになるのと同時に、天然記念物として認定されました。現在では「ジャパニーズ・アキタ」「ジャパニーズ・グレート・ドッグ」の名で人気を集めています。
柴犬の歴史
柴犬の起源は、先住民族が日本に移住した際に連れていた犬種だとされており、縄文時代から狩猟犬として人間の手助けをしていました。また、日本固有の6犬種の中でもっとも古い犬種とされています。
過去には洋犬との混血が進み、絶滅の危機に陥った事もありましたが、1928年の日本犬保存会設立により犬種保護運動が高まり、柴犬を愛する人々の努力により現在の姿を保っています。なお、1936年には天然記念物に指定されています。
秋田犬と柴犬の大きさの違い
秋田犬(あきたいぬ)と柴犬(しばいぬ)は大きさが全く違います。秋田犬は「大型犬」で、柴犬は「小型犬」に分類されているので、並べて見ると一目瞭然の違いがあります。
秋田犬の大きさ
秋田犬は日本の天然記念物に指定されている日本犬です。日本犬には秋田犬と柴犬以外にも国の天然記念物として指定された6犬種とその他の地方の土着犬(地犬)がいますが、その中でも唯一の大型犬です。
- 天然記念物 指定6犬種
- 秋田犬 (大型犬)
北海道犬(中型犬)
四国犬 (中型犬)
紀州犬 (中型犬)
甲斐犬 (中型犬)
柴犬 (小型犬)
柴犬の大きさ
柴犬も前述したように天然記念物に指定されている日本犬です。こちらは大型犬の秋田犬とは違い、日本犬の6犬種の中でも一番小さく、小型犬に属しています。
柴犬のオスでは体高は38㎝から41㎝ほど、体重は9kgから11kgほどが平均のようです。メスでは少し小さく、体高は35cmから38cmほどで、体重は7kgから9kgだそうです。秋田犬と比べると体高は半分ちょっと、体重は1/3以下の大きさなのですぐ見分けがつきます。
【 豆柴について 】
ジャパンケネルクラブ(JKC)などによる公認犬種ではありませんが、近年人気の小さめの柴犬どうしを掛け合わせて生まれた「豆柴」の平均サイズは、体高が30cm前後、体重が5~6kgとかなり小さめです。
これよりもさらに小さな「極小豆柴」や「小豆柴」と呼ばれる柴犬もいるようですが、こちらも正式な犬種ではありません。豆柴や小豆柴に関しては規定があるわけではなく、必ずこのサイズになるとは限らないので注意が必要です。
どのような犬種でも同じですが、飼う際には「思ったよりも大きくなった」ということもあることを頭に入れておきましょう。
秋田犬と柴犬の顔つきの違い
顔だけを見ても、秋田犬と柴犬にはそれぞれ特徴があるのがよくわかります。
- 秋田犬
- 耳が分厚く前に倒れ気味
目・鼻・口が中心寄りで顔が幼い印象 - 柴犬
- 秋田犬より耳が薄い
目・鼻・口が離れ気味でキリッとした印象
秋田犬も柴犬も耳は三角形の立ち耳ですが、秋田犬の方が耳が分厚く、前に倒れ気味なのが特徴です。対して柴犬は、秋田犬より耳が薄く前には倒れていません。
また、秋田犬は目・鼻・口が中心に寄った配置で、どちらかと言えば幼い印象を与えるでしょう。時には「困り顔」にも見えるほど、体は大きいのに独特の愛嬌がある顔つきをしています。
柴犬の場合は、目・鼻・口のパーツが秋田犬に比べて離れ気味なので、キリッとした印象になることが多いはずです。映画の「マメシバ」シリーズなどで親しまれているように、くるくると変わる愛くるしい表情が特徴です。
ただ、柴犬の中にも地方による違いや血統登録団体による違いがあり、場合によっては同じ「柴犬」と呼ばれる犬であっても全く違う顔つきや体つきのことがあります。
秋田犬と柴犬の性格の違い
秋田犬と柴犬は、共に飼い主に対しての忠誠心がとても強い犬です。特に秋田犬は「忠犬ハチ公」でも有名な話ですが、一度ご主人様と認めると裏切ることなく最後まで従順で、しっかり言うことを聞く賢い犬と言われています。
一方、柴犬も飼い主の前でだけ見せる表情と、外での顔にはギャップがあることが多く、それが長い間ファンを魅了し続けてきたポイントとも言えるでしょう。
秋田犬の性格
- 飼い主への忠誠心が強く勇敢
- ベッタリしないしっかり者
- 自分の中のこだわりを貫く頑固者
- 見ず知らずの人に警戒心が強い
秋田犬は、ご主人様と認めた相手に対しては忠実な行動を取りますが、見知らぬ人や犬には警戒心が強いため、しつけを間違えると大変です。大型犬の扱いに慣れていて、かつ日本犬の性格の特性をよく理解している人が向いているでしょう。
大昔にはマタギ犬(熊猟犬)として活躍していましたが、やがて土佐犬やマスティフなどとも交配されて大型化し、闘犬だった時代もあったようです。家庭犬としての改良を重ねてきたとはいえその気質は十分に残っています。
秋田犬のことを根本から理解して、家族以外の人や動物にも慣れるしつけができる飼い主さんでなければ、危険な場合もあるかもしれません。
柴犬の性格
- 愛嬌があって甘えん坊
- 明るく運動が大好き
- 物覚えが良く、しつけしやすい
- 飼い主以外の人に警戒心が強い
柴犬の性格として、飼い主に対して忠実で賢く、物静かな印象を持つ人も少なくありません。確かにそのような気質もあり、飼い主にとっては最高のパートナーになってくれるでしょう。見た目のかわいさと相まって、犬を飼ったことがない人も「柴犬を飼ってみたい」という人が非常に多く見られます。
ですが、秋田犬と同じく元は猟犬として活躍しており、物音やにおいを鋭く感じとる能力を持つことから、家に近づく危険を知らせる番犬としても重宝されていた犬種です。そのため実は、柴犬というのは頑固で気難しい部分や、警戒心などから吠える・噛むといった行動をとりやすい子も多いのが実情です。
日本犬に多く見られる気質のようでありますが、いざという時には自分で判断し獲物となる動物に攻撃をしかけることもあったため、他人や他の犬(特に同性の犬)に対して警戒心や恐怖心を持った時には、「逃げる」という方法ではなく「攻撃する」という手段につながりやすいタイプが多いこともあるようです。
もちろん非常にフレンドリーなタイプの柴犬もいます。しかし、原始的なタイプの犬で飼い主ともある程度の距離を保って外で飼育されてきた歴史が長い日本犬は、ベタベタと甘えたりせず濃密なスキンシップを好まない、知らない相手には常に警戒する犬も多くいます。
ドッグランや公園で犬同士の喧嘩になってしまったり、近づいてきた子供に噛みついてしまったりと思わぬ事故が起きやすい犬が多い犬種でもあるので、人や犬とコミュニケーションを取る時には念のため注意しましょう。
【 初心者に向いているのはどっち? 】
犬と暮らすのが初めてという人が飼うのであれば、どちらも難易度は高めではありますが、秋田犬よりは扱いやすい小型犬である柴犬と暮らすことをおすすめします。
実は、秋田犬と柴犬のどちらの方が飼育しやすい性格かと言われると、双方あまり初心者向きの犬種ではありません。秋田犬も柴犬も、幼い頃からのしつけにしっかりと時間をさくことが求められます。それに加えて、秋田犬は大型犬ということもあり、パワーのコントロールや十分な運動も必要です。
秋田犬と柴犬の寿命の違い
- 秋田犬:10~12年
- 柴犬 :13~15年
犬の寿命は一般的に、大型犬よりも小型犬のほうが長いという傾向があります。秋田犬(大型犬)の平均寿命は「10~12年」、柴犬(小型犬)の寿命は「13~15年」となり、柴犬に比べると、秋田犬は3年ほど平均寿命が短いということになります。
まとめ
秋田犬と柴犬の違いは、まず大きさです。秋田犬は大型犬で柴犬は小型犬、という並べてみるとはっきりとした違いが見られます。体高は2倍近く、体重は5倍くらい違うこともあるので、まずは大きさで判断すると間違いないでしょう。
でも、性格はちょっと似ている感じで、日本犬として、原始的なタイプの犬としての共通点があります。秋田犬も柴犬も小さなうちから、特にしっかりとしつけをしておく必要のある犬種です。