毛替えとは?
新しく生えてきた被毛は一定の期間成長を続け、成長が止まると休眠期に入り、新しい毛が生え始めると抜け落ちる、「毛周期」と呼ばれるプロセスを繰り返します。個体・犬種によって差はありますが、概ね春と秋の2回犬の毛は抜け替わります。
犬の毛は、オーバーコートとアンダーコートの両方が生えているダブルコート犬種と、オーバーコートのみを持つシングルコート犬種に分かれます。シングルコート犬種には毛が伸び続ける犬種もいて抜け毛は少なめですが、ダブルコート犬種は換毛期に大量の被毛が抜ける犬種がほとんどです。
換毛期の代表的なケア方法
通常、換毛期には3段階で抜け毛を処理してゆきます。先ずはシャンプー前に、櫛目の粗いコームを使ってもつれもほどきつつ、大まかに抜け毛を処理していきます。次にシャンプーで被毛と地肌を洗浄した後、スタンドドライヤーで定点に温風を当てながら、スリッカーで全身の抜け毛を処理してゆきます。
最も時間のかかる作業にフォーカス
抜け毛の処理で1番時間がかかるのは、スリッカーを使った作業です。
この作業では、ドライヤーの風を絡んだ抜け毛が見える状態にセットしスリッカーでひっかけ抜き取りますが、ごく小さな範囲しか見えないので少しづつ移動しながら全身を仕上げてゆき、同時に完璧に乾かしてゆくという地道な工程ですからとても時間がかかるわけです。
私の製造業サラリーマン時代、作業工程の改善を始める際には、問題の大きい順番で改善策を検討しテストしました。改善期間の短縮と改善効果の最大化を狙える効率の良いメソッドですから、これを使ってスリッカー作業を改善します。
ようするにスリッカーを使う回数を減らす!
圧倒的にスリッカー作業が問題ですから、次はその原因を浮き彫りにするために‘ナゼナゼ分析’という方法を使います。
なぜ、スリッカー作業に時間がかかるのか?
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処理すべき抜け毛が多いから
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なぜ、抜け毛が多いのか?
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前工程で効率よく処理されていない
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なぜ、前工程で処理されないのか?
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コーム・シャンプーでは細い死毛が処理不能
分析の結論は、スリッカーで処理する被毛の量を減らせばスリッカーを使う回数が減り時短可能とでました。
泡ごとブラッシング
何度かのテストを経て実現した画期的な改善策を次にシェアします。
ズバリ、シャンプー工程で抜け毛をゴッソリ処理する一石三鳥の裏ワザですから、是非試して欲しいと思います。
まずは純植物性のコロイドシャンプーを全身に馴染ませながら洗浄作業をすすめ、全身にシャンプーが行き渡ったところで、早速裏技を使います。
何をしているか、分かりますか?
泡の上からスリッカーでブラッシングしている画像です。
こうすることにより、スリッカーの‘くの字’に曲がった歯の間に泡がギッシリ詰まって、歯の間を通る被毛に抵抗が生まれ、コームやシャンプーでは処理出来なかった細い抜け毛が効率よく処理できます。
一石三鳥の裏技ですからメリットは他にもあります。
たとえば、毛に泡が付いたままですから、被毛の摩擦を和らげダメージから守ってくれます。それに、スリッカーに絡まった抜け毛はフワフワ空中に舞わず抜け毛は絶対に散乱しません。
しかも、スリッカーを使ってる間もコロイド粒子が汚れの分解を続けていますから、洗浄効果は上がって、すすぎまで早くなるおまけ付きです。
この作業でしっかり抜け毛を処理すればスリッカー工程は格段に時短ができ、被毛の密度が薄くなっていますからドライヤーの温風が通リやすく、ドライングも早く終わります。
いつものシャンプー作業で簡単にテストできますから、是非お試しあれ!