犬に牛乳を飲ませても大丈夫?与え方には注意して!

犬に牛乳を飲ませても大丈夫?与え方には注意して!

漫画や映画などで子犬にミルクを与える描写をよく見かけるため、犬に牛乳をあげるのは普通では?と思っている方も多いかもしれません。ですが実は、牛乳は犬に飲ませることをあまりお勧めできない飲み物なのです。

犬に牛乳をあげてはいけない理由

牛乳を舐めようとしている犬

栄養価の高い牛乳ですが、犬に飲ませることはお勧めできません。ただし、犬にとって有害な成分が牛乳に入っているということはなく、少しなめただけでも絶対にダメ!というわけではありません。

それでは何故飲ませない方がいいのか、理由について解説していきます。

乳糖不耐症による下痢を引き起こす

牛乳には、乳糖(ラクトース)という成分が多く含まれています。乳糖の分解には、ラクターゼという消化酵素が必要なのですが、犬の体はラクターゼの保有量がとても少ないため、飲んだ牛乳が完全には分解されず、下痢や腹痛の原因となってしまうのです。

こうした体質を乳糖不耐症と言い、離乳期を迎えた犬はほぼもれなくこの体質を持っています。なお、生まれたばかりの子犬は、母乳の分解の為ラクターゼを多く分泌しており、母乳を飲んでお腹を壊すことはありません。

ただし、ラクターゼの分泌量が成犬よりも多い子犬であっても、人間用の牛乳に含まれる乳糖量は母乳よりも多いため、やはり消化が追い付かず、下痢になってしまう可能性が高いと言えます。

ちなみに、乳糖は加熱しても分解されることがありません。犬用のご飯に牛乳を加熱して加えた、などといった場合にも、乳糖不耐症を引き起こす可能性は十分にありますので注意してください。

アレルギー反応を起こす可能性

牛乳に含まれるたんぱく質が原因で、アレルギー症状を引き起こす場合があります。牛乳アレルギー持ちの犬が牛乳を飲んでしまうと、皮膚に発疹が出たり、嘔吐や下痢といった症状が現れます。

飲ませたのが少量であったとしても、異変を感じた場合はすぐに動物病院に相談してください。

栄養分の過剰摂取

牛乳に含まれる栄養分と言えば、真っ先に思いつくのがカルシウムです。カルシウムは、丈夫な骨や歯の維持に必要不可欠な成分のため、いくら摂取しても大丈夫だと思ってしまいがちですが、たとえ体にいい成分であってもとりすぎはNGです。

犬があまりに多量のカルシウムを摂取すると、シュウ酸と結合してシュウ酸カルシウム結石を形成する恐れがあります。

ストルバイト結石など、結石症の治療中の子や、以前尿結石を発症したことのある子には、カルシウム過多にならないよう、牛乳を与えることは避けましょう。また、牛乳は高脂質かつ高カロリーのため、肥満の原因となってしまいます。

「うちの子は牛乳好きだし、飲んでもお腹は大丈夫そうだから栄養補給のために飲ませよう!」という場合にも、1日に必要なカロリー量を超えないよう、与える量には十分注意してください。

犬に牛乳を与えたいときは

哺乳瓶を咥えている犬

犬が牛乳を飲むことで、下痢やアレルギー、肥満などの健康面のリスクを伴う可能性があることは前述した通りです。

しかしそれでも、栄養面から見て愛犬に牛乳を飲ませたいという場合には、どのようにすれば安全に飲ませることが出来るのでしょうか。

水で薄める

人間用の牛乳を飲ませる時には、牛乳の倍以上の量の水で希釈しましょう。また、与え方にも注意が必要です。

冷蔵庫で冷やした状態の牛乳をそのまま飲ませてしまうと、お腹が冷えて調子を崩してしまう原因になります。牛乳を犬にあげる時は、常温に戻しておくか、または温めてから飲ませるようにしましょう。

低脂肪牛乳を与える

人間用の牛乳の中でも、低脂肪の物を飲ませることで、脂質やカロリーが通常の牛乳よりも抑えられるため、肥満防止のメリットを得られます。

ペット用ミルク(犬用ミルク)を与える

犬猫用に成分調整がされたペット用ミルクであれば、製造過程で乳糖を大幅にカットしているため、乳糖不耐症の犬であってもお腹を壊すことがなく、飲ませるにはお勧めです。

また、犬用ミルクは高タンパクで高カロリーの幼犬用や、低脂質低カロリーのシニア犬用など、成長ステージごとに成分配合が異なるものが用意されています。

幼犬の栄養補給、成犬・シニア犬の健康維持にもピッタリなので、愛犬の成長ステージにあった犬用ミルクを与えるようにしましょう。

ヤギミルクを与える

ヤギの生乳から生成されたヤギミルクは、犬の母乳に成分が近く、牛乳に比べ乳糖の量が少ないため、飲んでもお腹を壊す心配があまりありません。

さらに、犬のアレルギーの原因となる成分がほとんど含まれていない為、アレルギー発症のリスクも抑えられます。体力が落ちているシニア犬にとっても、手ごろな栄養補給として飲めるのでお勧めです。 

犬に乳製品を与えてもいい?

舌を出している犬

牛乳が多く含まれている生クリームやアイスクリームといった加工品には、乳糖が多く含まれているため、下痢を引き起こす要因となります。

一方、ヨーグルトも牛乳が原料ではありますが、発酵の際に乳糖の一部が分解されていること、また、ヨーグルトに含まれる乳酸菌が乳糖の分解の助けになってくれることから、お腹を壊す可能性は比較的低いと言えます。

同じく、発酵食品であるチーズも、製造の過程で乳糖が分解されるため、犬に与えても問題ありません。ただし、チーズには多量の塩分が含まれているため、人間用ではなくペット用のチーズを与えるようにしましょう。

人間用のチーズを与える場合には、モッツァレラチーズなどのフレッシュチーズを選ぶと、塩分やカロリーを抑えることが出来ます。

これらの乳糖がカットされた乳製品は、適量を食べさせる分には構いませんが、あくまでも含まれる乳糖の量が比較的少ないというだけで、乳糖不耐症のリスクが0であるわけではありません。

毎日かつ大量にあげることはお勧めできないので、食べさせる量はしっかりと管理しておく必要があります。

犬が牛乳を飲んでしまった時の対処法

犬とドクター

健康な犬が少量の牛乳を舐めた程度であれば暫く様子を見て問題ありません。

それでは、明らかに大量の牛乳を飲んでしまい、さらに下痢や嘔吐などの症状が出てしまった場合には、飼い主はどのように対処すればいいのでしょうか。

動物病院に相談する

犬の健康状態にもよりますが、通常3kgの小型犬が約15~20mlの牛乳を飲んでしまうと、下痢の症状が出始めてしまうと考えられています。

より大量の牛乳を飲んでしまうと、その分症状も重くなってしまいますので、明らかに牛乳を飲み過ぎている場合には、早急に動物病院へ連れて行きましょう。

病院へ行く前に既に下痢や嘔吐などの症状が出ている場合には、吐しゃ物や便を持参し、いつから、どのくらいの頻度で、どのような症状が出ているかを細かく伝えてください。

症状が出ていても、「たぶん牛乳を飲ませたことが原因だろうから少し様子を見よう」などと思っていると、実は急性膵炎などの症状の似た全く別の病気が隠れていたり、アレルギー反応を起こして症状が一気に悪化したりといった危険性があります。

素人判断は処置を遅らせる要因になるので、異変を感じたらまずは病院に相談するようにしてください。

下痢が続く場合は断食を

下痢が続いているが、すぐには病院に連れていくことができない…そういった場合には、ごはんやおやつを暫く抜いてください。

食べて下痢を繰り返してしまうと、過度の下痢による脱水症状を招いてしまい、大変危険です。

まとめ

舌を出している犬

人間にとっては、給食でも出されるほど栄養のある飲み物として重宝する牛乳ですが、犬にとってはお腹の調子を壊す要因となってしまうため、安易に与えるのはお勧めできません。

牛乳が持つ栄養を愛犬に摂取させたい場合には、ペット用ミルクなど犬が飲んでも問題のないものを選ぶようにし、与えすぎには注意して、適量をあげるようにしましょう。

愛犬の健康を思って与えたものが、逆に愛犬の体を害してしまったという悲しい事態にならないよう、乳製品の与え方には十分な注意を払うようにしてください。

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