過食がもたらす愛犬への悪影響
犬が過食してしまう理由について
どれだけ与えても喜んで食べる姿に、犬には満腹感がないのではないかと、思わず首を傾げたくなることがありますよね?
でも、犬にもちゃんと満腹を感じることが出来るのです。
しかし、満腹感はお腹ではなく、満腹中枢が感知するものなので、ドックフードのように食べやすい物を一気に食べた場合、脳に伝達がいくまでに時間がかかってしまいます。
そして、犬には元々食いだめの習性があるため、常に胃袋に食べ物を蓄えようとします。
食べ物をねだれば貰えることを覚えてしまうと、食欲が旺盛な犬であれば、ひっきりなしに食べ物を要求するようになるでしょう。
その他にも、治療のために服用している薬の影響で、満腹中枢が正常に働かなくなるケースや、高齢で認知症になった犬が、異常な食欲を見せることもあるそうです。
犬の過食は、要求吠えや肥満に繋がり、肥満から様々な病気を誘発する危険性があります。
過食がもたらす病気
過食で余分に摂取したカロリーは、脂肪となり体内に蓄積して、心肺機能の低下にも繋がり、心臓への負担も増えます。
過食の犬は、肥満傾向の場合が多く、増えすぎた体重を支えている関節や靭帯、椎間板を痛めやすくなり、椎間板ヘルニアを併発する危険性も出るため、ダックスフンドやコーギーなどの胴の長い犬種は、特に注意が必要です。
脂肪が気道を圧迫して、呼吸がしづらくなったり、手術や検査が必要になった際、麻酔が効きにくくなる心配も出てきます。
食べ過ぎによる消化不良などで、嘔吐や下痢などのわかりやすい症状の他にも、過食や多飲の兆候で、注意しなくてはならない病気がいくつかあります。
過食や多飲で疑われる病気
- 糖尿病
- クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)
- 膵外分泌不全症
- 水頭症
その他に、避妊・去勢手術をすると食欲が増加するという説もあります。
手術によりホルモンのバランスが崩れたり、繁殖に必要なエネルギーの消費量が減ることで、基礎代謝が低下して、太りやすくなるのは確かです。
認知症になった犬が常に食べ物を欲して、若い頃にはしなかった、要求吠えをするようになることもあるそうです。
愛犬の過食の対策法
食事による対策
欲しがるだけ与えることはやめて、愛犬が一日に必要なカロリーをきちんと計量して、その分だけを与えるようにしましよう。
同じ犬種でも、体格や運動量、年齢で一日に必要なエネルギー量は異なります。
過食で太りぎみの場合、現在の体重ではなく、骨格に合った適正体重でのカロリー設定が必要です。
そして、つい与えてしまうおやつですが、ドックフードに比べて少量で高カロリーの物が多く、家族がそれぞれ好き勝手に与えてしまうと、一日の摂取総カロリーは、恐ろしい数字になってしまうでしょう。
小さなジャーキーひとつ分を消費するには、小型犬でも1㎞以上歩かなければなりません。
おやつなどで摂取する食事以外のカロリー分は、一日に与えるフード量の調整をおこなうことで、過剰なカロリー摂取を避けることが出来ます。
だからといって、急激に給与量を減らすことはストレスの原因になったり、逆に体内に脂肪を貯めこむ結果になってしまいます。
一日に与えるフードの分量は変えずに、食欲を満足させてあげることが最善の方法なので、どうしてもおやつをやめられない場合、一日分のフードから数粒をおやつの代用にすれば、給与量は変えず、面倒なカロリー計算の必要もなく、余分なカロリーも取らずに済むでしょう。
市場にはたくさんのダイエットフードが出回っているので、一日の給与量やカロリーなども参考に、愛犬に合うフード選びをしてあげてください。
そして、フードの与え方も改めて見直して、早食い防止のフードボールの活用や、一日に与える量を小分けにして、食事の回数を増やすなどの工夫も効果的です。
その他にも、食事の時間を早めたり、落ち着いて食べられる環境作りなど、いくつかの方法を組み合わせて、愛犬が満足感の得られる食べ方を見つけてあげてください。
早食い防止のフードボール4選
グリーン グリーンフィーダーミニ(Green Mini)コノコ (KONOKO) ゆっくり食べれる食器M
食器 ペット 犬猫 用品 ボウル 早食い防止食器 肥満解消 ゆっくり食べる 皿型 パープル Sサイズ
アウトワードハウンド (OUTWARD HOUND) FUN FEEDER MINI オレンジ
運動による対策
食べ物に執着してしまう犬も運動をすることで、自然と食欲から気持ちが逸れたり、ストレスの解消にもなったりします。
そして、筋肉がつくことでカロリーの燃費量も増え、蓄積された脂肪が減ったり、脂肪が体に付きにくくなるなど、ウエイトコントロールの助けにもなってくれるでしょう。
運動直前にカロリーを摂取すると痩せにくくなるので、少なくとも散歩の6時間前までに食事を済ませると良いと言われています。
難しく考えず、散歩のあとの少し落ち着いた頃に、食事を与えれば良いということです。
小型犬に散歩は必要がないと思われている方もいますが、ストレスの解消や健康を維持するためにも、運動は食事と同じくらいとても大切です。
しかし、急激に運動量を増やすことは、心臓や足腰への負担になるので、毎日少しずつ歩く距離を増やしていくことが理想的だと言えるでしょう。
3㎏の小型犬が1㎞歩いた時の消費カロリーは、わすが6kcalです。
健康的にダイエットをさせるには、長いスパンでの計画を立て、焦らずに取り組む必要があります。
まとめ
一言に過食と言っても様々な原因があり、もし疾患によるものならば、早急に治療をする必要があります。
人間と違い犬の場合は、飼い主に与えられる食事が基本になるので、過食による愛犬の病気や肥満は、飼い主の責任であり、誤った健康管理が原因となるでしょう。
肥満しなければ、寿命は15%延びるという説もあります。
可愛いから、欲しがるからといって、過剰に与えてしまう食事やおやつで、愛犬を病気にさせてしまっては本末転倒です。
愛犬の過食が気になったら、原因を知ることから始めて、その子に合った食欲を抑える工夫や、消費エネルギーを使う運動(散歩)の時間を増やす必要があります。
異常な食欲は何らかの病気の兆候の可能性もあるので、一度かかりつけの獣医師に相談して、専門的な意見や、的確なアドバイスをもらうと安心かもしれません。
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