犬にトマトを与えても大丈夫!
基本的に、トマトには犬にとって害になるものは含まれていないため、犬にトマトを与えても問題ありません。
中には喜んでトマトにかぶりつくトマト好きな犬もいますが、犬に栄養豊富なトマトを与えると、以下のようなメリットが期待できます。
老化を抑制してくれる抗酸化作用
トマトに豊富に含まれるリコピンには、強力な抗酸化作用があります。この抗酸化作用により、老化の抑制や動脈硬化予防などの効果が期待できるでしょう。
ちなみに、トマトには同様に抗酸化作用を持つビタミンCも多く含まれますが、健康な犬の場合は体内でビタミンCを作り出すことができるため、必ずしも犬にトマトを与える必要はありません。
健康な皮膚粘膜や視力の維持
トマトに多く含まれるβカロテンは、体内でビタミンAに変換されて健康な皮膚や粘膜を維持する働きをします。また、βカロテン自体にも強い抗酸化作用があります。
利尿作用や正常な血圧の維持
トマトにはカリウムも多く含まれていることから、利尿作用や塩分の排出作用なども期待できるでしょう。
利尿作用によって、老廃物を体の外へ排出することにより代謝を活性化するとともに、塩分を体外へ排出することによって正常な血圧を維持します。
水分補給のサポート
トマトは水分を豊富に含んでいるため、あまり水を飲まない犬の場合は、フードにトッピングしたりおやつとして少量与えるだけでも水分補給に役立つでしょう。
犬にトマトを食べさせる時の与え方
基本的に、犬にトマトを与える際は生でも加熱調理したものでも大丈夫ですが、与え方としては以下のようなことに注意が必要です。
適切なトマトの量と与え方
犬にトマトを与える場合、1日の食事量の10%以下が適量とされています。これをミニトマトの個数に換算すると、大型犬の場合は3個程度、中型犬の場合は約1個半、小型犬の場合は1個以下です。
さらに、トマトは生でも加熱調理しても食べさせることができますが、トマトに含まれるリコピンは加熱調理した方が吸収効率が高まります。
したがって、リコピンの持つ抗酸化作用を最大限に利用したい場合は、加熱して与える方がよいでしょう。
また、トマトに多く含まれるシュウ酸は、シュウ酸カルシウム結石の原因となりますが、このシュウ酸は茹でることで取り除くことができます。
ですので、もし日常的に毎日犬にトマトを与えたい場合は茹でたものを与えるのがおすすめです。
さらに、特に子犬や老犬のように消化機能が未熟であったり弱っていたりする場合にも、加熱調理したトマトの方が消化が良く食べやすいでしょう。
大きさについては、あまり大きいと丸呑みした際に喉や食道に詰まらせてしまう恐れがあるため、できるだけ小さく食べやすいサイズに切って与えます。
ミニトマトであってもそのままでは丸呑みする恐れがあり危険ですので小さく切りましょう。
与えてはいけないトマトの危険な部分
- へた
- 葉
- 茎
- 花
- 未完熟な緑色のトマトの実
上記に挙げた部分には毒性が強く殺虫作用のある「トマチン」という成分が含まれていますので、犬に食べさせてはいけません。
犬がこれらの部分を食べてトマチン中毒になると、下痢や嘔吐などの症状が見られたり、歯茎が白っぽくなりぐったりしたりします。
万が一、犬がトマトの葉や茎などを食べてしまったときは、口に残っていればできるだけ吐き出させるようにしてください。
たとえ、飲み込んでしまったとしても胃の中で消化されなければ、トマチンの毒が体内に吸収されずに済みますので、至急動物病院へ行って吐かせる処置を受けましょう。
また、危険ですのでくれぐれも自宅で無理に吐かせるようなことはしないでください。
ちなみに、トマチンが最も多く含まれているのは花、葉、茎の部分で、未完熟のトマトの実では花や茎の部分と比べるとトマチンの濃度が半減します。
また、トマトが十分に熟すとトマチン濃度は未完熟のトマトの0.1%程度にまで減少するため、食べてもほぼ安全です。
さらに、トマトには様々な種類があり、中には十分に熟していても緑色をしている品種もあります。こうしたトマトには、葉や茎ほどではありませんが、赤いトマトよりも多くトマチンが含まれているため、犬には食べさせない方が無難でしょう。
したがって、犬にトマトを与える際に大丈夫なものは、十分に熟した赤いトマトの実のみとなります。
また、トマトの皮や種の部分は食べられないことはありませんが消化に悪いため、特に消化機能が未熟であったり弱っていたりする子犬や老犬には、皮をむいて種を取り除いて与えるようにしましょう。
トマトの加工品は与えない
人用に味付けされたトマトの加工品は犬にはおすすめできません。
特にケチャップやトマトソースなどには様々な調味料や香辛料が入っており、玉ねぎの成分が含まれていることもあるため犬に食べさせると危険です。
一方、人用のトマトジュースの場合は、無塩で余計な添加物等が入っていなければ大丈夫です。ただし、一度にたくさん飲ませ過ぎると下痢の原因ともなりますのでほどほどの量にしておきましょう。
トマト缶もトマトジュース同様、塩が入っておらず原材料がトマトだけであれば与えても問題ありません。
ドライトマトなどは塩を使用していることが多いため、犬には与えない方がよいでしょう。
トマトの加工品としては犬用のフードやジュースなども各種市販されていますので、トマトの加工品を犬に与える場合はこうした犬向けの商品の方がおすすめです。
犬にトマトを与えるときの注意点
一般的に体に良いとされているトマトですが、犬の体質や持病によっては控えた方が良い場合もあります。犬にトマトを与える場合は、以下のことに注意しましょう。
あげすぎに注意
体に良いからといって犬にトマトを一度にたくさん与えすぎるとかえって犬の害になってしまうことがあります。水分を豊富に含むトマトは、食べ過ぎると下痢や嘔吐の原因となることもあるため少しずつ与えるようにしましょう。
また、トマトを含め多くの野菜はシュウ酸を豊富に含むため、日常的に与え続けているとシュウ酸カルシウム結石を発症するリスクが高まります。
こうしたリスクを防ぐには、毎日常に犬にトマトを与え続けるのではなく、他の食べ物とローテーションでえさのトッピングにするなど、バランスよく与えることが大切です。
ビタミンA中毒に注意
トマトに多く含まれるβカロテンは体内でビタミンAに変換されます。
人間をはじめとする多くの哺乳類では、必要な分だけβカロテンがビタミンAに変換され、不要な分は肝臓に貯蔵されたり尿として排泄されたりするため、βカロテンの摂取によりビタミンAが過剰となることはありません。
ただし、犬の場合はβカロテンがビタミンAに変換されやすく、ビタミンAが過剰になりやすいことが分かっています。βカロテンを取り過ぎるとビタミンAが過剰になりビタミンA中毒を発症する恐れもあるため、注意しなければなりません。
ビタミンA中毒になると肝臓に負担がかかり肝臓病を発症したり、皮膚のトラブルや腹痛、嘔吐、食欲不振などの症状が見られたりします。
βカロテンの取り過ぎによるビタミンA中毒を防ぐには、トマトを茹でてゆで汁を捨て、βカロテンをある程度取り除いたトマトを与えるのがおすすめです。
アレルギーに注意
中にはトマトに対しアレルギーを持っている犬もいるため、初めてトマトをあげる際は少しずつ様子を見ながらあげるようにしましょう。
特に、スギ、ブタクサ、シラカバにアレルギーのある犬はトマトに対してもアレルギー反応を示す可能性があります。
これは、アレルギーの原因となる物質と似た別の物質に対してもアレルギー反応が生じる交差性アレルギーという現象で、トマトにはスギやブタクサ、シラカバに含まれるアレルゲンと似た物質が含まれているために起こります。
こうしたアレルギー反応の症状としては、主に下痢や血便、嘔吐、皮膚の痒みや腫れ、体の震えなどが挙げられます。
事前にアレルギー検査などで愛犬のアレルギーが特定されていない場合、最初はこうした症状が何を原因とするものなのか分からないかもしれません。
したがって、これらの症状が見られたら自己判断せずにできるだけ早めに動物病院を受診することが大切です。
腎臓病の持病がある場合は事前に獣医師に確認を
トマトにはカリウムが豊富に含まれていますが、腎臓病などで腎臓の機能が低下していると、カリウムを体の外へ上手く排出することができないため、カリウムを含む食物の摂取は制限される場合があります。
このため、トマトを与える際は必ず事前にかかりつけの獣医師に相談するようにしましょう。
心臓病の持病がある場合も獣医師に要確認
トマトに含まれるカリウムは血圧の維持にも効果があるとされていますが、心臓に持病があり治療薬を服用している場合などはトマトの摂取量にも注意が必要となります。
このため、愛犬にトマトを与える際は必ずかかりつけの獣医師に確認するようにしましょう。
尿路結石の持病がある場合は与えすぎに注意
特にシュウ酸カルシウム結石の持病がある犬の場合、トマトをはじめシュウ酸を多く含む野菜の摂取が制限されることもあるため、シュウ酸カルシウム結石のある犬にトマトを与える際は事前にかかりつけの獣医師に相談しましょう。
一方、ストルバイト結石の場合は、トマトを与えてもそこまで問題ないようですが、念のため獣医師に確認することをおすすめします。
糖尿病の犬はフルーツトマトに注意
フルーツトマトは通常のトマトと比べて糖分が2倍程度もありますので、糖尿病の持病がある犬や普段から血糖値が高めの犬は控えた方がよいでしょう。
まとめ
トマトは健康へのメリットがたくさんあるためできれば犬にもトマトを食べさせたいところですが、与え方を間違えると命に関わることもあるため、事前にしっかりと注意点を把握しておくことが重要です。
特にトマトの葉、茎、花、未完熟のトマトの実や完熟でも緑色のトマトには毒性の強いトマチンが含まれているため、犬に食べさせてはいけないことを覚えておきましょう。
さらに、生でも加熱したものでも食べさせることはできますが、栄養の吸収効率や消化の良さは加熱調理したものの方が優れています。
また、トマトを頻繁に与える場合は、シュウ酸カルシウム結石やビタミンA中毒のリスクを減らすためには茹でたトマトを与えるのがおすすめです。
その他、犬にトマトを与える場合は愛犬のアレルギーや持病にも配慮しつつ、トマトを上手に活用してバランスの良い食生活を心掛けましょう。