犬は冬瓜を食べても大丈夫!
冬の瓜と書いて「とうがん」と読みますが、冬瓜は実は夏野菜の一種です。皮が厚いので夏に収穫して冬まで保存がきくほど貯蔵性が高いため冬瓜という名前になったようです。
様々な栄養素を含んで健康に良い冬瓜は、犬が食べても大丈夫な食べ物です。おやつとして与えたり、手作りフードの材料として使ってみましょう。
冬瓜の特徴は、約95%が水分でできていることです。夏の暑い時期に食べるのにはぴったりで、水分補給にもなります。
あまり自ら水分を取ってくれない愛犬の脱水や熱中症が心配な飼い主さんは、冬瓜のような水分量の多い食べ物を与えて水分補給の補助にするのがおすすめです。
ほとんどが水分なのでカロリーも低く、ダイエット中の犬でも太ることを心配せずに美味しく食べられます。手作りフードの材料に使うことでかさ増しして、満足感を得ながらカロリーを抑えることもできます。
冬瓜は果肉だけでなく皮も食べられるので、皮ごと料理したり、皮だけをきんぴらにしたりと無駄なく使いきれる野菜です。
しかし、皮は硬く苦みもあるので愛犬に果肉の部分を与えて、余った皮は飼い主さんが加熱調理してから美味しく食べるのがよいでしょう。
皮は加熱した方が美味しいですが、果肉は生でも食べられます。生でも加熱調理しても美味しいので、料理のバリエーションも豊富です。
生のまま与えられるので、ちょっとしたオヤツとして犬にあげるのにも、食べやすくカットするだけで良いのでお手軽です。
また、冬瓜はさっぱりとした味わいなので、どのような味付けにも馴染みます。愛犬も飼い主さんも一緒に冬瓜を食べて水分と栄養を補給すれば暑い夏も元気に乗り切れるでしょう。
もちろん夏だけでなく、1年を通してスーパーなどで購入できる野菜なので、寒い冬にスープにして温まるのもおすすめです。
犬用のレシピを色々と試して愛犬のお気に入りレシピを見つけてあげてください。
犬に冬瓜を与えることで期待できる効果
薬膳食材でもある冬瓜は栄養素が豊富で、食べることで健康維持や健康促進をサポートします。
犬と人では同じ食材でも得られる効果が異なる可能性はありますが、冬瓜の持つ栄養素の中で犬にとっても健康に嬉しい効果が見込めるものをご紹介します。
ビタミンCで免疫力向上
冬瓜にはビタミンCが豊富に含まれています。ビタミンCには皮膚や粘膜、血管を強くする働きがあるので、外から菌が体内に入り込みにくい体づくりにつながり免疫力の向上が期待できます。
免疫力が高いと病気にかかりにくく、健康に長生きしてくれる可能性が高まります。いつまでも愛犬には元気に過ごしてほしいので、ビタミンCは積極的に摂取しましょう。
また、ビタミンCはコラーゲンの吸収にも欠かせない成分です。ビタミンCに美肌効果があるのは、コラーゲンの吸収や合成をサポートして肌のハリを維持したり、シミの予防をするという効果が得られるからです。
犬にとって美肌効果はあまり意味がないと感じられるかもしれませんが、コラーゲンが不足すると筋肉が減少して元気よく歩くことができなくなってしまう場合があります。
コラーゲンの吸収がスムーズだと、毛並みがよくなったり骨や関節のトラブルを予防できたりという効果が見込めます。
ビタミンCは犬の体内でも合成される栄養素なので、食べ物で取り入れる必要はないという意見もありますが、体内で合成される量だけでは健康維持には不十分だともいわれています。
ビタミンCは過剰に摂取することで悪影響があるわけではないので、日頃から多めに摂取するよう心がけるのは健康にとってメリットが大きいといえるでしょう。
食物繊維とサポニンでデトックス
冬瓜には食物繊維が豊富です。食物繊維の摂取は、腸内環境を整えて便通を改善してくれる効果があります。愛犬が便秘に悩んでいる場合は、意識して食物繊維を多めに摂取してみましょう。
サポニンは豆類に豊富な栄養素で、食べ物に含まれる余分な脂肪や糖の吸収を抑制してくれる働きをします。コレステロールが蓄積するのを防ぐ効果もあるので、肥満やコレステロールが気になる犬にはサポニンの摂取がおすすめです。
食物繊維とサポニンのデトックス効果で、老廃物をため込まない体づくりを目指しましょう。
カリウムの摂取で血圧を安定させる
冬瓜に豊富なカリウムは重要なミネラルの一種です。体内の余分なナトリウム(塩分)を排出する働きがあるので、血圧を正常値で維持し心臓を正常に動かすために大切な成分です。
カリウムとナトリウムをバランスよく摂取することで細胞が正常に機能し、生命維持ができるので不足しないように気をつけましょう。
質のよいドッグフードを食べていればカリウム不足になることはほとんどありませんが、手作りのフードを与えていたりおやつを多く与えていたりすると、塩分を多くとりすぎてカリウムとのバランスが悪くなってしまう場合もあります。
また、調理の際に茹でたり煮たりして加熱することで、カリウムが水に溶けだして減少してしまうので、カリウムが豊富な食材を食べていても思ったよりもカリウムを摂取できていないということもあります。
塩分の多い食生活はカリウム不足を招く可能性があるので、塩分過多に注意しながらカリウムを効率よく摂取するよう心がけましょう。
健康な犬なら少し多めにカリウムをとっても、余分なカリウムはきちんと排出することができます。しかし、腎臓の機能が低下している犬は、過剰摂取するとカリウムの排出が上手くできず血液中のカリウム濃度が高くなってしまうので、摂取量には気をつけましょう。
犬に冬瓜を食べさせるときの注意点
冬瓜は体に良い野菜ですが、犬に食べさせるときには注意すべき点もあります。冬瓜を食べることで愛犬が体調を崩さないように、飼い主さんが与え方や量に気をつけてあげましょう。
種を取り除いて与える
冬瓜の種を食べてしまうと、消化不良を引き起こす可能性があります。犬の消化器官は人間よりも短く、消化吸収が上手くできないので、お腹に優しくないものはできるだけ与えないようにしましょう。
種をしっかり取り除けば種が喉に詰まる危険性もなくせるので、小型犬や食べ物を飲み込むのがスムーズにできない老犬や子犬も安心して冬瓜を食べられます。
冬瓜は包丁で縦半分に切ると種とワタがあるので、包丁で切り取るかスプーンを使ってくり抜きましょう。ワタも取り除くことで食感がよくなり、より美味しく食べられます。
食べ過ぎると下痢を起こす可能性がある
犬は食べ慣れないものを一気に食べると消化不良を起こしやすいです。また、冬瓜は食物繊維が豊富なので、過剰摂取は腸への作用を必要以上に強めてしまいます。その結果、下痢をしてしまうことがあるので食べる量には注意しましょう。
もともとお腹が弱く下痢をしやすい犬は特に注意が必要です。はじめは少量を与えて、食べた後の体調を観察するようにしましょう。
愛犬がお腹を壊したりせず、便の硬さもいつもと変わらないようであれば、次回からはもう少し多く食べさせてもよいでしょう。様子を見ながら適量を探っていってください。
アレルギーを起こす可能性もある
どのような食べ物でもアレルギーの危険性があることを念頭に置いておきましょう。思わぬ食材でアレルギー反応を引き起こす場合があるので、愛犬に慣れない食べ物を与えるときには注意が必要です。
はじめて冬瓜を食べさせるときには、ごく少量に留めてください。食べた後の様子を見守って異常がないか確認しましょう。下痢をする、嘔吐する、体をかゆがる、フケが多く出る、目や耳が赤くなるなどの症状が見られたらアレルギーの疑いがあります。
症状が重い場合は動物病院で診察を受けましょう。症状が軽い場合でも、それ以上冬瓜を食べさせるのはやめてください。
はじめて食べた時に問題がなくても、何度か続けて食べているうちにアレルギー反応が出ることもあります。日頃から常に愛犬の体調の変化に気づけるように、毎日様子を見ることが大切です。
嘔吐などはわかりやすいのですぐに体調の異常に気づけますが、便がゆるかったり体をかゆがってかいている様子などにもすぐに気づけるよう、健康チェックを怠らないようにしましょう。
愛犬のアレルギーが心配な飼い主さんは、予め動物病院で検査を受ければ、食べさせても良い食材とダメな食材がわかりやすいのでおすすめです。
ただし、検査料金は安くはないのでアレルギー検査はせずに、慣れない食材を与える際に様子を見ながら安全を確認していくという方法でも大丈夫です。
食中毒を引き起こすククルビタシンに注意
冬瓜やキュウリなどの瓜類にはククルビタシンという毒性のある成分が含まれています。これは、人間にとっても毒性のある成分で、食中毒を引き起こす危険性があります。
過剰に摂取しない限り問題はないのですが、万が一大量に摂取してしまうと腹痛や嘔吐、下痢などの症状を引き起こしてしまうことがあるので注意しましょう。
瓜類は熟すことでククルビタシンの量が増え、場所でいえばヘタの近くに多く含まれるので、犬に与える際は新鮮なものをヘタの近くは避けて食べさせるようにしてください。
ククルビタシンは苦み成分なので、味見していつもより苦いと感じたらその冬瓜はククルビタシンの含有量が多めの可能性があります。気になる場合は犬に与えるのはやめておきましょう。
犬におすすめの冬瓜を使ったレシピ
愛犬に美味しく冬瓜を食べてもらえるレシピを3つご紹介します。フード作りが飼い主さんの負担にならないように手軽にできるものを選んだので、ぜひ作って食べさせてあげてください。
材料の分量は犬の体のサイズで変わってくるので、愛犬の体型によって決めてください。
冬瓜と鶏肉のスープ
【材料】
冬瓜、鶏肉(モモ肉、ささみ、胸肉などお好みのもの)、その他の具(きのこ類、人参などお好みのもの)
【作り方】
- 冬瓜を半分に切って種とワタを取り除きます。皮をむいて食べやすく切りましょう。
- 鶏肉や他の具も小さめにカットします。鶏肉はしっとりした食感の美味しさを優先したいならモモ肉を、低カロリーとコストパフォーマンスのよさを優先したいなら胸肉を、両方大事ならささみを選ぶのがおすすめです。
- 鍋にお湯を沸かして食材を全て入れます。鶏肉に火が通って野菜が柔らかくなったら完成です。鶏肉の出汁がでているのでこのままでも美味しいですが、愛犬の食欲がわくように味付けしたい場合は醤油を少量加えましょう。
冬瓜に豊富なビタミンCは煮込むことで水中に溶け出しているので、スープを食べるときはできるだけ具だけでなく汁まで飲んでもらいましょう。冬瓜の栄養素を無駄なく摂取することができて健康的です。
冬瓜と鶏手羽中の煮物
【材料】
冬瓜、鶏の手羽中、厚揚げ、その他の具(人参や葉物野菜などお好みで)
【作り方】
- 冬瓜は縦半分に切って種とワタを取り除き、皮をむいて食べやすい大きさにカットします。厚揚げやその他の具も一口大にカットしてください。
- 鍋に手羽中と水を入れて沸騰させます。
- 手羽中に火が通ったら冬瓜などの他の具材も加えて野菜が柔らかくなるまで煮込みます。手羽中の出汁以外にも味付けが欲しい場合は、味噌を少量溶くと味噌汁風の美味しい煮物になります。手羽中は骨からほぐして食べやすくしてから与えてください。
冬瓜とサツマイモのハンバーグ
【材料】
冬瓜、サツマイモ、ひき肉(牛、豚、鶏、合い挽きからお好みのもの)
【作り方】
- 冬瓜は種とワタを取り除き皮をむいて小さくカットします。サツマイモも皮をむいてカットし、冬瓜と一緒に加熱してヘラなどを使って潰します
- 潰した冬瓜とサツマイモをボウルに入れて、ひき肉と混ぜます。よくこねて食べやすい大きさに丸めます。
- フライパンを熱して薄くオリーブオイルを引き、ハンバーグを焼きます。両面を焼いて中までしっかり火を通してください。蓋をして蒸し焼きにすると火が通りやすいです。
味付けがないと食べてくれない愛犬には、野菜とひき肉を混ぜるときに塩を少量加えてあげましょう。ひき肉は好みのものを選んで大丈夫ですが牛アレルギーなどに注意が必要です。
肉より魚がお気に入りの犬には魚をミンチにしてひき肉の代用にするのもおすすめです。またひき肉に豆腐を加えて豆腐ハンバーグにするとよりヘルシーになります。
まとめ
冬瓜は犬が食べても大丈夫な野菜で栄養素も豊富です。冬瓜を食べると免疫力が向上したり、デトックスできたり、血圧を正常値で安定させたりと様々な健康へのメリットが期待できます。
ただし、食べ過ぎるとお腹を壊したり食中毒の原因となるククルビタシンを多量に摂取してしまったりすることになるので、食べる量には注意しましょう。また、どのような食べ物もアレルギーの危険性があるので、様子を見ながら与えてください。
愛犬に美味しく冬瓜を食べてもらえるレシピとして、スープや煮物、ハンバーグの作り方をご紹介しました。調理の際には消化不良を引き起こす種を取り除くことを忘れないようにしてください。
愛犬の好みに合わせて味付けや使用する野菜を変えるなど工夫してみましょう。ただし、毎日のように味の濃いものを食べるのは健康によくないので気をつけましょう。