サンチュは犬が食べていい野菜!
サンチュといえば、多くの方にとって焼肉屋さんでお肉を巻いて食べる野菜というイメージが強いのではないでしょうか。さっぱりしてみずみずしいサンチュはお肉との相性がいいので、焼肉を食べる時の定番ですが、他にもサラダにしたりサンドイッチの具にしたりと美味しく食べる方法がたくさんあります。
サンチュには、犬にとって有害な成分は含まれていないので食べても大丈夫な野菜です。ご家庭でサンチュを使った料理をする方は、犬が好むかどうか試しにあげてみるとよいでしょう。
あまりサンチュになじみがないという方も多いでしょうが、サンチュは日本人の食卓でもよく登場するレタスの仲間です。日本名では包菜(つつみな)、チシャ菜などと呼ばれており、サンチュというのは韓国名です。韓国料理の一種である焼肉を通してサンチュが広く知られるようになったので韓国名のサンチュが一般的になりました。
レタスは玉レタスとサニーレタスが一般的ですが、サンチュは実は奈良時代から日本で栽培されていた長い歴史がある野菜です。スーパーでも売られていて、レタスよりも食感としては柔らかいのが特徴です。
生でも食べられる野菜なので、ドッグフードのトッピングや手作りフードの具材として活用しましょう。彩りもよく、食感のアクセントにもなります。
サンチュを犬に与えることで期待できる効果
サンチュはレタスの仲間ですが、レタスは淡色野菜でサンチュは緑黄色野菜です。レタスとはまた違う豊富な栄養素を持っているので、食べることでどのような効果が得られるかをご紹介します。
ただし、犬と人では栄養素が全く同じに作用するとは限らないことに留意してください。
βカロテンで健康な皮膚や被毛に!免疫力アップや老化防止にも期待
サンチュにはβカロテンが豊富で、玉レタスやサニーレタス以上の量を摂取できます。βカロテンは犬の体内でビタミンAに変換され、健康的な被毛をつくったり目や皮膚の粘膜を健康に保つ効果があります。
視細胞の働きをサポートしてくれるので、視力の維持にも効果的です。また、βカロテンが持つ抗酸化作用は、免疫力をアップしたり老化防止の効果も期待できます。いつまでも愛犬には病気に負けずに元気でいてほしいので、これは嬉しいメリットです。
βカロテンが不足すると、免疫力が低下したり骨の形成にとってマイナスになる可能性があるので、ぜひ積極的に摂取するようにしましょう。
脂溶性のβカロテンは油と相性のよい栄養素なので、人が焼肉でサンチュを食べるように犬にもお肉と一緒に与えるのがおすすめです。魚の油とも合うので愛犬の好むほうと組み合わせてください。
豊富な鉄分と葉酸で貧血を予防
サンチュには鉄分と葉酸が豊富です。鉄分は不足すると貧血になってしまうことでよく知られる成分です。食べ物で鉄分を補うことで鉄欠乏性貧血の予防ができます。
葉酸は「造血のビタミン」と呼ばれる栄養素で、赤血球の合成や細胞の合成と修復などの役割を担っています。鉄不足による鉄欠乏性貧血だけでなく、赤血球の不足や異常も貧血につながってしまうので赤血球の合成をしてくれる葉酸も健康に欠かせない存在です。
葉酸の不足が招く貧血は巨赤芽球性貧血といい、めまいや倦怠感といった症状が表れます。貧血予防には鉄分と葉酸の両方を摂取できるサンチュはとてもありがたい野菜といえます。
しかし、サンチュは水分を多く含んでいるので、お腹いっぱい食べてもそれほど大量に摂取できる食材ではありません。サンチュに含まれる鉄分と葉酸だけで貧血予防に十分というわけではないので、その他の食事もバランスよく健康を意識したものを食べさせましょう。
あくまでもサンチュは、栄養摂取の補助的な食材として活用しましょう。
カルシウムで丈夫な骨と歯を作る
愛犬が高齢になると骨粗しょう症による骨折が心配だったり、歯が弱くなってきて食べ物を噛みづらそうにしているのが気になったりするものです。毎日健康に過ごすために、骨と歯を強くしておくことは大切です。
骨と歯を丈夫にする成分といえばカルシウムです。サンチュには玉レタスよりも豊富にカルシウムが含まれています。また、神経の情報伝達や細胞間の情報伝達においてもカルシウムは重要な役割を果たしているので、必要な量を摂取できるように食生活で気を配らなくてはなりません。
鉄分や葉酸と同様に、カルシウムもサンチュを食べるだけで十分な量をまかなうことは難しいので、ドッグフードや他の食材と総合して必要な量を摂取できるように調整しましょう。
カリウムの効果で血圧を安定させる
サンチュはカリウムも多量に含まれています。カリウムには体内の余分な塩分を排出する働きがあります。ナトリウムと呼ばれる塩分とバランスよく摂取することで細胞を正常に機能させることができます。
ナトリウムが適切に体外に排出されることで血圧が下がり、心臓も正常に働くようになるのでカリウムは健康のために必要な栄養素です。
毎日きちんと栄養価の高いドッグフードを食べていれば、カリウム不足になることはあまりありませんが、高齢や体調不良のため、長期的に食事を十分にとれなかったり、嘔吐や下痢が続いていると不足する場合もあります。
カリウム不足で高血圧や食欲不振などの体調の異常を引き起こしている場合には、食事に気をつけるだけで改善するのは難しいので、動物病院に相談しなくてはなりません。
サンチュを犬に与えるときの注意点
栄養素が豊富なサンチュですが、犬に与えるときには体調を崩さないために注意したい点もあります。愛犬が美味しく食べて栄養を摂取できるように、気をつけるべきポイントをしっかりおさえておきましょう。
水分量が多いため与える量に注意する
サンチュは様々な栄養素を含んでいますが95%を水分が占めています。夏場の暑い時期に脱水症状を起こさないように、サンチュなど水分が豊富な食べ物で水分補給をするのはよいことですが、食べすぎると体を冷やす原因になるため注意が必要です。
体が冷えると腸の機能が正常に働かなくなり、免疫力が低下して感染症にかかりやすくなったりする可能性があるので、健康のために体を冷やさないよう心がけたほうがよいでしょう。
また、サンチュの豊富な食物繊維が犬の消化不良を引き起こしてしまう場合もあります。適度な食物繊維の摂取は便通をよくしてくれる整腸作用が期待できますが、消化器官に負担がかかって下痢などをしないように適量を越えて与えないようにしてください。
犬にとってサンチュを食べる適量は、1日の摂取カロリーの10%以内を目安にするとよいでしょう。サンチュは低カロリーなので食べ過ぎて太るという心配はありませんが、最初は少なめに食べさせてみてお腹を壊さないかどうか体調を確認しながら、愛犬にとっての適量を探っていってください。
アレルギーに注意する
犬は食物アレルギーを持っている場合があるため、慣れない食べ物を与えるときには注意が必要です。アレルギーが心配な方は動物病院で検査を受けると、体質に合わない食べ物がわかるので安心です。
検査を受けていなくてアレルギーがあるかわからない場合は、はじめての食材を与える際にはごく少量を食べさせて様子を見ましょう。
食べた後に嘔吐や下痢、目や耳が赤くなる、体をかゆがる、フケが出るなどの症状が出たらアレルギーの疑いがあります。サンチュを食べた後にアレルギー症状が見られたら、その以上あげるのはやめて症状が重いようなら動物病院に相談してください。
はじめて食べたときに何の問題もなくても、何回か食べていくうちに症状が出てしまうことがあるので、常に愛犬の体調の変化に気づけるようにしておくことが大切です。
異常に気づくのが早いと、どの食材がアレルギーの原因になったかもわかりやすいので、同じものをまた食べさせてしまうことを防げます。
サンチュでアレルギー症状を引き起こした例は多くはありませんが、思わぬ食べ物が合わない犬もいるので気をつけましょう。
サンチュの食べ方の注意点
サンチュは柔らかい野菜ですが、より食べやすくなるように小さくちぎって与えるようにしましょう。
また、農薬が付着している可能性もあるので、よく洗ってから食べさせてください。買ってから日数が経って変色したり新鮮さが失われたものは犬にはあげないでおきましょう。
サンチュは生で食べるのがおすすめですが、茹でるなど加熱調理する場合は、ビタミンが水中に溶け出してしまうともったいないので加熱時間は短めがおすすめです。
加熱しなくても、サンチュを長時間水にさらしておくと栄養素が流れ出てしまうので、さっと洗うだけにしましょう。
また、野菜を食べさせていることで栄養が十分にとれているように感じてしまいがちですが、犬の健康のためには食事全体のバランスが大切です。サンチュで摂取できる栄養素はそれほど多くはありません。
基本的にドッグフードや手作りフードなどの主食で栄養を摂取し、トッピングやおやつとしてサンチュを使うのがよいでしょう。
愛犬がサンチュを好んでたくさん食べたがっても、サンチュを食べすぎで主食が食べきれないということのないようにしましょう。
まとめ
レタスの仲間であるサンチュは、犬が食べても大丈夫な野菜です。玉レタスよりも柔らかいので食べやすく、βカロテンや鉄分、カルシウムなど健康に効果的な栄養素が豊富です。
ドッグフードのトッピングや手作りフードの使う食材として良いアクセントになってくれるサンチュですが、ほとんどが水分でできているので、栄養摂取が効率的にできる食べ物とはいえません。
サンチュの栄養に頼らず、主食で必要な栄養をきちんと取ってバランスのよい食事を心がけてください。
ダイエット中で低カロリーなものでお腹を満たしたい犬や水分補給の足しになる食べ物が欲しいという犬には、サンチュがおすすめです。ただし、適量を守らないと水分や食物繊維を過剰に摂取することで、お腹を壊す可能性があるので注意しましょう。