生後8週まで犬猫は親元に ー全国初は札幌市からー

生後8週まで犬猫は親元に ー全国初は札幌市からー

2013年9月施行の「生後8週齢までは親元に」という改正動物愛護法に、札幌市が全国初で踏み出そうとしています。詳しくその中身を考えていきましょう

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札幌市で全国初となる「8週齢規制」が条例化!

札幌人といぬ

みなさんは現在ペットショップなどで販売されている仔犬や仔猫は、生まれて何日目で親元から離されてガラスケースにならべられているのか、知っていますか?

今はペットショップというよりも、大型のホームセンターやスーパーなどの一角に生体販売のショップが入っているスタイルが多く、買い物ついでに子ども連れのお客さんの楽しみのようなスペースになっているところも多いですね。

仔犬や仔猫は幼ければ幼いほど人の心をつかみやすく、売りやすいのでしょう。
現在の法律では生後45日を過ぎれば販売できることになっています。
生後45日というのは、実は親や兄弟と触れ合い遊ぶことで適度な社会性を学ぶ大切な時期でもあり、身体的にもちょうど生後40日すぎ位から母親からの移行免疫が減り始め、免疫力が低下する時期でもあるので、生まれた環境から引き離すには適切とは言えないのです。

すでに欧米先進国の多くで8週齢、つまり生後56~62日までは仔犬を生まれた環境から引き離すことを法令で禁じているのですが、残念ながら日本では犬猫を生き物としてより、売り物としてあつかう法律がまかり通ってしまう国なので、このたった2週間くらいの引き延ばしを全国一斉に気持ちよく施行できなかったのです。

2013年に全国からのパブリックコメントにより環境省が改正した動物愛護法には「生後56日を経過しないものについて、販売のためまたは販売の用に供するために引き渡し又は展示をしてはならない」という条例が新設されましたが、動物取扱業者らが作る業界団体や一部の国会議員が強く反対した結果、この本則の56日つまり8週齢が16年8月までは45日という付則がつけられてしまいました。

16年8月それ以降も、法律に定める日まで49日と読み替えられこの付則が各自治体の取り組みの足かせになっているらしいのです。

東京都や大阪府もこの規制を提案しながらも国の定めた、いつ実現するのかわからない経過措置のために実現しないままになっているのです。

そんな中、札幌市の取り組みはなぜ実現したのでしょう?

札幌市は市動物愛護管理条例案として、生後8週齢までは親と子を一緒に飼育することを「動物の福祉の向上」を目的としてこれを犬猫の飼い主に対して義務づけたのです。すべての犬猫の飼い主に義務付けたので繁殖業者やペットショップも例外ではないということです。

札幌市が10月の施行をめざす今回の市動物愛護管理条例案は、「飼い主の努力義務」としてこの条例をさだめたことが画期的で、議会のすべての会派が賛成の意向だということですので、全国に先駆けてやっと当たり前の条例が成り立ちそうだということですね。

真の動物の福祉の向上を目指して

飼い主の努力義務の中身は?

生後8週齢の取り組みは、販売を目的とする繁殖業者の取締りにも期待を持てるものです。
その意味からすると、飼い主の努力義務としてこの条例が施行されたとしても、劣悪な環境で一生に何度もぼろぼろになるまで子供を出産させ、適切な運動も病気の治療もしないで必要がなくなったら処分するという現実がなくならないと意味がありません。

札幌市では、販売業者にたいして「犬猫等健康安全計画」として生後何日目まで自分のところで育てているか具体的に記入,提出するよに指導していますが、これも施行後は生後8週間以上と書き直すように指導する予定だそうです。
どうかその中身が健全で適切な広さの専用スペースでゆったりと育てること、母犬の健康に常に配慮し、無理な繁殖を避けることという人道的で、ある意味当たり前のもっと細かい条例に発展して行ってもらいたいものですね。

飼い主の努力義務は他に、犬の場合は排泄を済ませてから敷地外に連れ出すよう勤め、ふんなどの処理用具をもつこと、特定犬・・・土佐犬、ドーベルマンなどにかんしては飼い主以外が容易に近づけないようにすること、人への危害防止の義務に違反した場合の罰金強化、等が挙げられています。

また、札幌市では飼育できなくなった犬猫の引き取り、保護、返還手数料、放し飼い、糞の不衛生などの罰金の検討も盛り込んでいます。

しかしここで疑問なのが飼い主への責務に対しては具体的に罰金制度まで検討しているのに動物取扱業者に対してはあくまでも努力義務であることです。
せっかく全国初の条例にふみだすならば、飼い主側の責任だけでなく、業者に対して細かく観察し、反則したら厳しい罰金なりを考えるべきではないでしょうか。

仔犬

まとめ

犬猫生後8週齢規制への道のりは札幌市の施行で、なるべく早く日本全国に広がってほしいものです。
動物愛護法に積極的な一部の議員は視察や勉強会をひらき、愛護団体や、獣医師などと協力して意見を取りまとめ議会に提出する取り組みをしてくださっているようですが、まだまだ日本の現状では当の犬猫の命の重さを一番に考えてすぐに行動に移すことが困難なようです。

そもそも、生体販売そのものについてもっと議論すべきですし、飼い主の努力義務にもうひとつつけくわえられるなら、「ペットショップやインターネットで安易に犬猫を購入してはならない」というものを入れてほしいです。

すべての条例のまず先にあるのは日本の国から犬猫の殺処分という恐ろしい現実をなくすことだと思うからです

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