ペットは動物病院でストレスを感じている?
わんちゃんを飼っていると、ほとんどの飼い主が動物病院に行く機会があると思います。筆者も犬と猫を飼っていますが、動物病院に連れて行くと、診察台の上では尻尾を丸くお腹に隠し、不安げな様子でこちらを見ています。
ただでさえ体調が悪い中病院に連れていくので、ストレスや緊張からなのか、移動中の社内では嘔吐してしまう場面さえもありました。猫に至っては、外へ連れ出すことが困難なほど大暴れしてしまい、体中ひっかき傷だらけになった経験もあります。
以前、イタリアの大学で「動物病院で犬はストレスを感じるか」に関する調査が行われ、約30%の犬が非常に高いストレスを感じていることがわかりました。
研究結果の詳細は過去記事より:
この研究では犬が取り上げられていますが、日々ペットに関する情報を見聞きする中で、猫やうさぎ、その他の動物なども例外ではないだろうと考えられます。
命あるペットにとって、動物病院は必要不可欠な存在であり、私たち飼い主としても「どのような病院がうちのコには合うのか」よく考えたいところです。そんなことから、少しでもペットの緊張やストレスを緩和する方法はないのか調べてみました。
自宅や診療車内で診察可能な往診専門動物病院とは?
実は、最近往診専門動物病院の人気が高まっているようです。往診専門動物病院とは、医療器具や薬などを備えた車などで出向き、健康診断などの予防医療から慢性疾患の治療/ターミナルケアまでを飼い主の自宅で行うことができる動物病院です。
入院や手術はできませんが、犬にとっては通院によるストレスを減らせる上、長くなりがちな待ち時間をなくすことができることもメリットだそう。
最近では、東京をはじめとする関東近郊でデザインされた往診車を見かけることも増え、往診専門動物病院の認知度が少しずつ高まってきたのが分かります。
動物病院が苦手なペットや高齢ペットの介護にも
今年5月に新設された「アニホック往診専門動物病院(以下アニホック)」は東京都を中心に一都三県でサービス提供をしており、運営会社は「アニマルジョブ」などペット業界最大級のキャリアサービスを提供するTYLです。
アニホックでは、往診専門動物病院では珍しく、自宅のみならず往診車内での診療も可能としています。往診車内での診療も可能となることで、飼い主にとってはプライバシーも尊重しつつ「動物病院に連れて行くのは大変だけど、玄関先まできてくれる」という新たな選択肢が生まれます。
アニホック院長の藤野獣医師によると、「自宅での診療が7割、往診車内での診療が3割位です。」とのことで、往診を利用する際は何かしらの理由で愛犬を外に連れ出すことが困難なケースが多いようでした。
往診車内での診察の様子
アニホックの往診数は、開設から約5ヶ月あまりで月に約100件近くと、サービス開始から毎月予約件数が増えています。
診療前にはLINEや電話をつかって獣医師に無料相談が可能で、「数日前から食欲がなくなった」「肌が痒いようで、赤くなっている」などの相談が多いとのこと。1歳~2歳の犬は体調に不安定さもあり飼い主も飼い始めたばかりで知識が少ないことから診療が増えている傾向にあるそうです。
また、7歳以上の高齢犬・猫の診療も多く、それらは「寝たきりの状態が多く、動かすのが大変」といった理由から往診を活用しているケースが多いようです。
通院や治療は犬にとっても体力と気力を使うため、少しでも負荷を減らすことができることはないか考えられている飼い主も多いとのことでした。
ご自宅での診察の様子
往診にかかる費用や予約方法は?
往診と聞くと高いイメージがありますが、実際はどうなのでしょうか?
藤野氏「アニホックでは、往診料金5,500円・駐車料金(実費)」はかかりますが、その他治療費に関しては一般的な動物病院と同程度の料金設定となっています。アニホックのHPには実際にあった症例と料金事例も掲載されていますので、そちらをご確認いただければイメージがつきやすいと思います。」
予約は問い合わせフォームからお電話やLINEで相談・予約が可能ですべてオンラインで完結できることも、待ち時間ゼロで対応できることから飼い主から喜ばれているのだそうです。
さいごに
ペットの往診専門動物病院は、今後新しい選択肢として利用される方が増えていくのではないでしょうか。動物の医療も高度化し、犬の平均寿命も延びてきています。家族として暮らす愛犬が1日でも長く幸せに、共に暮らせるように、愛犬の性格や環境にあわせて動物病院を使い分けできると良いかもしれません。
取材協力
アニホック往診専門動物病院
総獣医師長/株式会社TYL 取締役
藤野 洋(ふじの ひろし)氏
日本大学生物資源科学部(旧 農獣医学部) 獣医学科卒業後、獣医師としてペットの総合商社に入社。主に獣医師として小動物臨床に従事しながら、ペット用品及び生体販売、フランチャイズ展開の知見を深める。2007年3月に株式会社フジフィールド創業。動物病院とトリミングサロンのドミナント多店舗展開を行い、複数店舗の開業/運営を果たす。2017年3月に株式会社フジフィールドをファンドに株式譲渡。動物病院のグループ化とIPOの土台を築くために、譲渡先であるファンド出資の会社にて代表取締役としてM&A推進と既存グループ動物病院及び店舗の運営全般を行う。2021年2月TYLに取締役として参画。