1.あごを乗せる
飼い主さんの腕や膝にあごをポフッと乗せてくる「あご乗せ」は、愛犬の「甘えたいな」という気持ちの表れです。犬にとって喉は急所となりますし、マズル(口から鼻にかけて)は敏感で通常は触られたくない部位です。
犬が頭部を預けてくれるということは、それだけ飼い主さんのことを信頼しているということです。あご乗せしてウルウルした目で見られたら、たまらないですね。しかし、中には「それ、ボクも食べたいな」というおねだりのあご乗せもあります。
2.前脚で触ってくる
飼い主さんの膝などに愛犬が「お手」のような格好で片足を乗せてきたり、両方の前足をかけて後ろ足で立ち上がるような格好になったりすることがあります。
犬が前足で触ってくる行動は「パピーリフト」と呼ばれ、飼い主さんに甘えたいときに見せることが多い仕草です。「パピー」とは子犬という意味ですが、この行動が子犬の頃に母犬におっぱいをねだるときの行動の名残であることに由来しています。
3.掘る
わんこが土でもない場所をいきなり掘り始める行動は不思議ですよね。時には飼い主さんの膝の上で掘る仕草をすることがあります。これは特にアナグマ猟のパートナーとして働いていたダックスフンドに多く見られる行動で、興奮したときや嬉しくなったときに本能的に掘る仕草が出てしまうと考えられています。
4.片足を上げて静止
犬が前の片足を上げた状態でピタッと静止する仕草には、
- ドキドキしている
- 気になる
- 構ってほしい
などの意味があります。このポーズは狩猟犬の犬種にとって、狩りの際に片足を上げて止まることでハンターに獲物の位置を教える「ポインティングポーズ」でもあります。
期待感の表れであることも
私の愛犬によく見られるシチュエーションは、私が出かける準備をしているときです。これはおそらく、愛犬が「もしかしたら自分もお散歩に行けるのかもしれない」と思って期待と興奮を抱いていると考えられます。そして、片足を上げて私の注意を引き付けて「お散歩に行きたい」という自己主張をしているとも考えられます。
犬が前の片足を上げたまま静止する仕草には様々な意味合いがあり、そのときの状況によって異なります。飼い主さんの顔を見ながら行っているときには、飼い主さんに対して「構ってほしい」「飼い主さんに期待感を抱いている」などの表れであると考えられます。
5.くじら目
犬の目は通常、ほぼ黒目しか見えていない状態です。しかし、犬の感情によっては上目遣いのようになったり、目をキョロキョロさせて白目部分が多く見える状態になったりすることがあります。
今にも「嫌だなぁ…」という声が聞こえてきそうなこの目の表情は、何か不安なことや嫌なことがあったり、怒られてシュンとしたりしているときに良くする目の表情で、「くじら目」とも呼ばれています。
犬は太古の昔から人間と意思疎通を図ってきた動物なので、表情筋を進化させて人間と共通する表情を獲得することで、人間と分かり合うことができるようになったと考えられています。
まとめ
今回は「犬の飼い主さんに向けたジェスチャー」を5つ解説いたしました。犬は言葉を話せない代わりに、ジェスチャーによって私たちに自己主張や感情表現をします。犬の行動のひとつひとつには意味がありますので、愛犬の行動の中にある意味を見つめてあげることで、愛犬の気持ちを読み取ることができます。
犬には「カーミングシグナル」のようにすべての犬に共通するジェスチャーのほか、飼い主さんとの触れ合いの中で生み出された、その子のオリジナルなジェスチャーもあります。みなさんもぜひ、愛犬の気持ちを仕草から読み取ってみてください。