トリミングの目的
犬にブラシをかけたり、シャンプーをしたり、あるいは爪を切ったりといった犬の体を手入れして清潔に保つための行為を「グルーミング」といいます。
その中でも特に、被毛をカットして形を整えることを「トリミング」と呼びます。お店ではそれぞれを分けずに「グルーマー」と言ったり「トリマー」と言ったりしますが、いずれにしても犬の美容師さんのような立ち位置です。
シャンプーやブローは自宅でやっているという方も多いと思いますが、犬のトリミングとはいったいどんな目的で行われるのでしょう。
被毛や皮膚の健康管理のため
犬は一年を通じて大体同じ毛の長さの犬種と、放っておくとどんどん毛がのびていっていってしまう犬種に分かれます。一年中大体同じ毛の長さの犬の場合は年に2回ほど換毛期があってアンダーコートが抜け替わりますが、伸び続けるほうの犬たちは抜け毛があまりない代わりにずっと毛が伸びて行ってしまうのです。
これを放置しておくと毛玉になってフェルトのような状態になってしまったり、口元では食べかすがついて汚れたり、肛門周りに便や尿が付着して、においの原因になったりと不衛生になってしまします。
さらに放置すると皮膚炎の原因にもなります。また目の周りの毛が伸びることで毛が眼球を傷つけてしまって、結膜炎などの目の病気になったりもします。
これを防ぐために、粘膜周りや絡まりやすい毛などを短くカットするのです。
けが防止のため
犬は全身が被毛におおわれています。肉球は地面をグリップするために毛が生えていませんが、指の間からはたとえ短毛種や普段トリミングが不要な犬たちの場合も毛が伸びていきます。
足裏の毛が伸びたままだと、走っていたり立ち上がろうとしたときにスリップしてケガをする原因になるので、定期的にカットが必要でしょう。
トリミングの頻度
家に迎えたばかりの子犬の場合は、まずは家や新しい家族になれることが先決です。また、外出はワクチンを済ませてからが望ましいので、生後4ヶ月程度になって2回目のワクチン接種が終わった1週間~2週間ころから始めると良いでしょう。
そこから成犬になると、人間と同様におよそ1ヶ月に1センチ~2センチの長さで伸びていきます。人間の場合は性別によるかもしれませんが、1ヶ月から2ヶ月もすると前髪が伸びてうっとうしくなりますよね。
犬の場合も同じく、きれいにトリミングされていても1ヶ月がたてばどうしても毛が伸びてぼさぼさに見えてきます。人間より体が小さいので余計に毛が伸びた感じに見えるかもしれません。そう見えたらトリミングの時期です。
あまり長く放置すると毛玉が多くできてバリカンで刈らないといけなくなったり、よだれや涙で毛が汚くなってしまったりと不都合もありますので、どんなに長く待ったとしても2ヶ月半が限度となるでしょう。
しかしこれは体力のある成犬に限ってです。シャンプーやブローもあるのでシニア犬の場合は体力をよく確認して、あまり負担にならない頻度に落とすことも大切です。
まとめ
どんな犬種でもトリミングの頻度は被毛の伸び方とその犬の性格などを考慮してあげると良いと思います。よその人と接することがとてもストレスになる犬もいますので、子犬のころから徐々に慣らしていってあげるといいですね。
犬のトリミングは体力を使いますので体調をよく観察して、体調の良い時にトリミングサロンへ行きましょう。部分カットのみも行なっているサロンもありますので活用すると良いですね。
監修トリマーによる補足
トリミングはおしゃれ目的だけではなく、健康維持のために必要なことです。毎日ブラッシングやお手入れを行なっていても1ヶ月〜1ヶ月半で被毛は伸びてしまいますので、定期的なトリミングは必要になります。
目安は1ヶ月に1度、シニア犬の場合は2ヶ月に1度がお勧めです。特にシニア犬は、体力を使いますので体調を考慮して短時間で仕上げてもらえるようにしましょう。
また、トリミングを始める時期ですが、基本的に「混合ワクチン接種」と「狂犬病注射」が終わった時期から受け入れるサロンが多いです。それまではお家でブラッシングをしてあげるなど、お手入れをしてあげるといいですね。
どの子も成犬になってから急にトリミングサロンに出すと初めての経験が多すぎて緊張してしまい、過度のストレスを感じてしまいます。ですので、子犬のうちから徐々に慣れさせてあげるためにも定期的に通ってあげるといいですね。