犬の行動には意味がある
犬があくびをする時って、どんなときだと思いますか?
犬のあくびから読み取る「犬の気持ち」
犬も人間と同じように、眠い時にあくびをすることもあります。ですが多くの場合は「緊張、不安」などを表しています。
初めての人や犬に対して
「緊張するよ」「ちょっと怖いな」
興奮している自分や相手を落ち着かせたいとき
「ドキドキを静めよう」「しっかり落ち着いて」
怒っている飼い主さんへの謝罪
「もう怒らないで」「僕は怒ってないよ」
犬があくびをする時は、嬉しい時ではないようです。くりかえしあくびをする時には愛犬が落ち着くように接してあげると良いですね。
犬が背中を向けてくっついてくる「犬の気持ち」
飼い主さんの身体に自分の背中をみせてくっついて座る行動をみせる子がいます。大型犬でおしりをズリズリとよせてきて、ふり返るようにしてこちらをみたりします。
べーたり甘えん坊タイム
「ねぇねぇ」「みてみて」「撫でてー」
自分だけの飼い主さんという周囲へのアピール
「あたしだけー」「みてみて良いでしょ」「とくべつ」
ちょっとだけ安心したい
「ここにいれば安心」「大丈夫だよね」
こんな気持ちでいるなんて、かわいくてたまらないですね。
大勢の犬や人がいるときには、自信を持たせるように「グッド」「良い子」「大丈夫」など声をかけてあげましょう。
おうちにいるときには、甘えさせる度合いは飼い主さんの判断にもよりますが、過剰に反応せずに抱きしめてたりスキンシップをとってあげましょう。
カーミングシグナルで犬が伝えたい事とは?
Calming→落ちつかせる
Signal→信号
気持ちを落ちつかせるための合図
犬が自分や相手の気持ちを落ちつかせるためや、相手に自分の状態を伝えるためにする行動で、27種類のシグナルがあるといわれています。
犬は争いごとを避けようとします。
自分は相手と争う気持ちがないことの意思表示や、興奮した状態の相手に「落ち着いて」と身体を使って表現することで、争うことを回避します。
相手に対して「警戒心」がないことや、リーダーにたいしての「服従」を表したりさまざまな行動をすることで犬は多くの信号を出しています。
シグナルを出す行動にはいろんな種類があります。
- 相手を落ちつかせようとしている行動
- 相手との接し方を探る行動
- 不安を感じたり緊張している自分を落ちつかせようとしている行動
- やめてほしい、嫌なことだと伝える行動
- 服従や敬意を表す行動
犬のカーミングシグナルを正しく理解し、犬が伝えようとしていることや、犬の状態をキャッチしてあげることで、トレーニングのときにいかすことができますね。
また、愛犬が他の犬とかかわる時にカーミングシグナルを使って犬どうしのやり取りができているか、ストレスを感じていないかなど理解してあげることができます。
犬が吠える理由鳴き声から犬の気持ちを知ろう
犬は吠える動物です。犬からすると「無駄吠え」はなく吠える行動には必ず意味があることです。
吠える理由と、犬が使い分ける鳴き声から吠える理由を知りましょう。
犬が吠える理由と鳴き声の違い
警戒して吠える
物音に警戒したり、「怖い」「危険」と感じたときに吠えます。低く短く数回吠えて様子を見ています。
声の大きさは10段階の5
威嚇して吠える
低い声で威嚇対象に向けて吠え続けます。唸り声で離れるよう促しながら、対象が見えるうちは吠え続けます。
声の大きさは10段階の10
嬉しくて吠える
飼い主の帰宅や、お散歩の準備を始めたときなどに「ワクワク」「ウキウキ」して吠えます。
好きな人やいつも遊ぶお友達にも挨拶として吠えます。少し高い声で短く楽しそうに吠えます。
声の大きさは10段階の5~8
要求して吠える
飼い主に対して何かを要求しているときや、犬に対して「そのおもちゃをかしてよ」と要求して吠えます。
吠えるというよりは喋る?に近い泣き方をする子もいます。少し高い声で、口ごもるように吠えます。
声の大きさは10段階の3~5
楽しくて吠える
飼い主と遊んでいるときや、犬どうしで遊んでいる時に楽しさや、次の遊びの期待で吠えます。高い声で短くハッキリと吠えます。
声の大きさは10段階の5~7
叱って吠える
母犬が仔犬をしかったり、優位が低い相手に対して行動を叱るときに吠えます。低い声で短く1回吠えます。
声の大きさは10段階の2~5
遊びに誘って吠える
相手を遊びに誘うときに吠えます。からだ全身を使って「遊ぼうよ!」と吠えます。少し高い声で短く誘いにのるまで吠える子もいます。
声の大きさは10段階の5~7
悲しくて吠える
悲しいとき、寂しいときに吠えます。吠えるというよりは「泣く」に近い鳴き声で悲しい気持ちが伝わってきます。高い声で語尾を伸ばすように吠えます。
声の大きさは2~5
「ワン」の一言にはたくさんの意味があります。
声の大きさや高さ吠え方などに変化をつけ、ボディランゲージをつけて吠えることで状況や気持ちを表しています。
幸せにすごしているワンちゃんからはあまり聞かれない声ですが、もの悲しくなく声には心が痛み涙がでます。
犬が噛むのはどんな時?
犬が「噛む」というのは本来備わった能力ですから自然なことです。犬の口は人間の手と同じ役割をはたします。
噛んで物を運ぶ、噛んでそのものを調べるなど「噛む」という行動は悪いことだけでなく犬にとっては生きて行くために必要なことです。
ですが、ペットとして生きる犬には噛んではいけないものを正しく覚えさせる必要があります。
- 人や他の動物
- 家の中の噛んでも良い玩具いがいの物
正しい躾をすることで犬の「噛む」という習性の良い使い方だけを残すことができます。
飼い犬が飼い主に噛みつく理由
一番多いのは「甘噛み」です。
飼い主さんの手を強い力ではないけれど噛んでしまう甘噛みをする犬は多くいます。
- 甘えて噛む
- 遊んでほしくて噛む
- なにか不満があって噛む
- 遊びの延長で噛む
犬は人の手を噛むということがいけない事だと認識できていません。自分の気持ちを伝えるために「噛む」という行動をしてしまいます。
親犬と仔犬の関係でみれば、仔犬の成長段階で親犬に対し甘噛みをすると叱られ学習します。噛む強さや痛みなどは母犬や兄弟と遊びながら身体で感じて覚えていくものです。これらの経験がなく育った犬は力加減などもわからず遊んでいても興奮して強く噛んでしまいます。
二番目に多いのは「飼い犬に噛まれる飼い主」です。さまざまな理由があります。
ですが「しつけ」ができていない、犬のリーダーになれていない飼い主さんは飼い犬に怪我をするほど噛まれてしまうことがあります。
- 飼い主さんの存在が恐怖になっていませんか?
- 痛みを与えてしつけしませんでしか?
- 信頼関係、服従関係ができていますか?
飼い主さんに対して服従関係がない犬や、飼い主さんより優位だと認識している犬は飼い主さんに噛みつくこともあります。
嫌なことをされるまえに恐怖心で噛みつく
恐怖心で思わず噛んでしまう犬が多いです。
自己防衛
痛みや怖いことから自分を守るために、防衛的に噛みつきます。
攻撃的
性格などにもよりますが、攻撃的な犬になってしまった原因があります。攻撃は身を守るための手段です。
防衛的に噛みつくより、相手の行動を制御するほど噛むので重症になりやすく危険な行動です。
過度のストレスや病気による精神的障害
重度のストレスや神経系の病気により、いきなり噛みついたりします。噛みついてしまう犬にも理由があります。
犬の気持ちを正しく理解できずに噛みつき犬にしてしまうこともあります。
嫌なことがあると噛みつく犬のお話
犬種:トイプードル
性別:メス
年齢:1歳
しつけ教室に「噛み癖」を直すためにきた方です。
生後2か月から飼っている犬が攻撃的に噛みつくとのことでたいへん悩まれていました。
犬が噛みつく時
- お散歩のためのリードを着けようとした時
- ケージに入れようとする時
しつけ教室に連れてくるときにも格闘したのでしょう。飼い主さんの手は、ボロボロでした。
強く噛まれて手の皮がベロンとむけてしまうこともあったそうです。
犬が噛みつくようになった原因
- 正しい基本しつけが出来ていなかった
- リードが怖い
- ケージが怖い
- 飼い主さんが怖い
この子は、飼い主さんの目を全く見ず自由奔放で名前を呼んでもきませんでした。
トレーナーに体を触られると唸りだし、飼い主さんが「ダメでしょ!」と手を出した瞬間に噛みついてしまいました。飼い主さんはすぐに手を離し叱らず困り果てていました。
この飼い主さんは仔犬のころから悪いことをすると無理やりケージの中に閉じ込めて罰を与えたそうです。
- 叩いたり、叱ったりしてはいけない
- 悪いことをしたら無視して遊ばない
と、犬のしつけとしての知識があったので、悪いことをしたら1時間ほどケージの中に入れて無視していたそうです。
この時に抵抗するので、首輪にリードをつけ引きずるようにしてケージへ入れていたそうです。この子にとっては、それがとても恐怖だったのでしょう。
信頼関係もつくられていない飼い主になにが悪いことなのか叱られもせず、教わることもできずただいつも引きずられてケージに閉じ込められてしまう。
飼い主さんの手は怖く、リードもケージも怖いものになってしまったようです。
この飼い主さんは2か月程のトレーニングで、しつけの基本から愛犬と一緒に頑張りました。
犬の気持ちを正しく理解して対応できるようになり、噛みつかれることはなくなり、愛犬と信頼関係をつくるきっかけを持つことができました。
怖いことから自分を守るために「噛みつく」防衛的、攻撃的な噛みつき犬を飼い主さんがつくってしまいました。
正しいと思ってしていた「しつけ」が犬との信頼関係を壊してしまうこともあります。飼い主さんは正しいしつけの知識を身に付けることが大切ですね。
最後に
犬はさまざまな行動で気持ちを伝えてくれています。私たち飼い主が、正しく理解してあげることで犬との信頼関係が深まり、意思の疎通がスムーズにできるようになります。
愛犬と暮らしていると「喋ってくれたらいいのにな」と思うことはたくさんあります。
病気の時や、痛みがあるときなどは、どこがどんな風に痛いのか教えて?
なにをして欲しいのか言ってごらん?と、とくに強く感じます。
カーミングシグナルや犬の声、身体を使った行動による「意思表示」を理解して少しでも愛犬の気持ちが感じ取れるような飼い主であり続けたいですね。
ユーザーのコメント
20代 女性 ラッキー
犬と人間では同じ行動でも意味が違う事を知り、それからはカーミングシグナルを勉強中してます♪
40代 女性 SUSU
記事にもあったように、カーミングシグナルと言われているものにはたくさんの動作があり、私達が気がつかないだけで犬はたくさんのシグナルで私達に話しかけてくれているのだと思います。
全てのシグナルを把握するのはとても大変だと思いますが、分かりやすいものだけでも知っておくと、愛犬との関係もよりスムーズになるのかもしれません。
お散歩中に他のワンコと挨拶をする際、「尻尾を振っているから大丈夫だと思っていたのに急に吠えた。」という話はよく聞くエピソードだと思います。
尻尾を振っていても、その振り方に意味があり、左に大きく振れている時は不快、右に大きく振れている時は友好的、プラスの感情と言われています。その他、尻尾をピン!と高い位置で張って吠えている時は警戒、威嚇のサインです。
外飼いのい犬が来客に対して激しく吠えながらも尻尾を振っている場合にはこのようなことが考えられます。犬は事前にこういったサインを出して、「これ以上近寄るな、あっちへ行って。」等のメッセージを送っているにも関わらず、尻尾を振っているから大丈夫といって近づき過ぎてしまい、唸られる、噛まれるといった次のステップに進んでしまうことも多いのではないでしょうか。
飼い主さんに対しても、触られている時に白目を剥いてたりのけ反ったりとちょっと嫌だな~といったサインを出している時もあります。こういった簡単なシグナルを飼い主側が把握しておくと、愛犬に余計な負担をかけることなく、お互いに幸せな生活が送れる助けになるのかなと思っています。
記事にあったトイプードルの子は飼い主さんもワンコもお互いにとても辛い思いをされたのですね。
ワンコを迎えるとまずしつけの本や飼い方の本を読まれる方が多いと思います。私が初めに手にした本にもこの飼い主さんが最初にとられたような対応方法が書いてありました。
犬は人間に構ってもらえることが何よりも嬉しい動物であるため、いたずらをしたり要求吠えをしてきた時はゲージにいれる、要求吠えをしても無視することで、これをしたら相手にしてもらえないんだと分からせることが大事といったようなことが書いてあったように記憶しています。でも、愛犬はこの方法では全く効果はなく、ますます吠え続け、吠え続けることで興奮してしまい怒りから余計に吠えるといった悪循環に陥るようになってしまいました。
恐らくこの方法をずっと続けていたらこの記事の子のような態度になったのかもしれません。
犬には犬の会話方法があることを知り、それを飼い主側が勉強することで、相手を尊重していることがワンコにも伝わり、信頼関係を構築する点においても助けになるのかなと思っています。