マルチーズの飼い方
愛玩犬として長い歴史を持つマルチーズの性格は、一般的にはしつけやすく、飼いやすい犬種だといわれています。「穏和で陽気な性格」、「飼い主に対しては従順」、「ほどほどに賢い」といった性質が初心者向けの犬種だと言われる主な理由です。
しかし、そんなマルチーズにも、飼う上でポイントがいくつもあり、正しいマルチーズの飼い方をチェックしておく事が重要です。
気質を理解した飼い方が重要
マルチーズは元々抱き犬として愛されてきた「愛玩犬」で、甘えん坊な気質を持った犬種です。
しかし、実は気が強い一面もあり、飼い方によっては飼い主以外の人には素っ気なかったり、警戒心が強くなりすぎてしまったりする場合があります。
気質を理解した飼い方を行い、犬種本来の良さを引き出してあげましょう。
暑さ対策を取り入れた飼い方が必須
マルチーズは、温暖な気候の地域で生まれたため、全身の被毛はアンダーコート(下毛)がないシングルコートの犬種です。
そのため暑さにとても弱く、夏の時期の熱中症対策は必須です。飼い方を間違えると熱中症のリスクが高まります。
日本特融の高温多湿な環境での飼い方を知っておく事が、マルチーズを飼う上で重要なポイントになるでしょう。
毛質を理解した飼い方が必要
マルチーズの特徴でもある純白の長毛は、絹のような輝きのある繊細な毛質をしています。
しかし、その被毛ゆえに涙やけなどの被毛トラブルには十分注意が必要です。特に「涙焼け」を防ぐ飼い方が重要で、対策グッズや専用フードを利用する事もポイントの1つと言えるでしょう。
ケガをさせない飼い方を心がける
マルチーズは超小型犬に分類される小さな身体なので、飼い方や飼育環境作りにも力を入れる必要があります。
ちょっとしたことで怪我に繋がる恐れがありますので、ソファやベッドの昇降の際や、抱っこ時の落下などでの脱臼や骨折には注意が必要です。
家具選びはもちろん、ラバーマットやクッションマットなど、床材の変更も視野に入れるべきでしょう。
十分な社会化・しつけが必要
マルチーズは温厚で愛嬌たっぷりの性格ですが、警戒心が強く、気が強い一面がありますので、子犬期の社会化トレーニングは必ず行う飼い方をしましょう。飼い主以外の人や犬に対して、吠えたり噛んだりしないよう十分に慣らせる飼い方が重要です。
若いうちに子供から老人までのいろいろな人、いろいろな環境を経験させる飼い方をする事で、マルチーズ本来の穏やかで陽気な気質を上手に育みましょう。
マルチーズを迎え入れる準備
必要なグッズ
- ケージ、サークル
- ベッド
- トイレトレー、トイレシート
- ドッグフード
- 犬用食器、給水機
- おもちゃ
ブラシ、グルーミンググッズ
マルチーズは抜け毛は多くない犬種ですが、絹のように繊細な被毛は絡みやすいため、毎日ブラッシングをしましょう。毛玉になってしまうと切らざるを得ず、美しいロングコートを育むことが出来ません。まだ毛が短い子犬期も、ブラッシングに慣れさせるために少しずつ行っていきましょう。
ブラッシングの際には、トリートメント効果のあるスプレー剤を使用すると被毛の輝きが増します。
ブラシはスリッカーブラシ、ピンブラシ、コームの3種があれば完璧です。
涙やけ対策グッズ
白い被毛のマルチーズは、どうしても涙やヨダレで毛に色が付いてしまいがちです。これは水分に雑菌が繁殖して染色されてしまうもので、一度色がついてしまうとなかなか落とすことが出来ません。
美しい白さを保つためには、とにかく小まめに目や口周りの水分を拭き取ることです。最低でも1日1回は拭き取ってきれいにしてあげましょう。
監修ブリーダーによる補足
なみだ焼けは雑菌が原因になることが多いので、殺菌効果のあるスプレーをコットンなどに染み込ませ拭いてあげるとよく落ちるので試してみてください。
毛質に合ったシャンプー
マルチーズの美しい白い被毛を保つには、2週間に1回のシャンプーがベストです。マルチーズの毛質に合った、刺激の強くない、保湿成分が配合されたシャンプー剤を選びましょう。またトリートメントも必ず使用しましょう。
マルチーズのフードの選び方、与え方
安すぎるフードは選ばない
安価なフードの原料は、体に良くない粗悪な原料でできている可能性が大。ちょっと高価でも、安心して与えられるフードを選ぶべきです。
体質に合ったフードを選ぶ
同じマルチーズでもアレルギーの有無や体質の違い、好みの違いなどで、一概にこのフードがいいとは言えません。保存料や酸化防止剤などの添加物が使用されていないか、タンパク源は何かを意識しながらいろいろなフードを試していると、愛犬の体質に合わないフード、合うフードが次第にわかってきます。
また涙やけのトラブルの多くはフードが原因だというケースが多いため、涙やけが治らない場合はフードを見直してみると良いでしょう。便の状態、被毛や皮膚の状態、涙の量、食いつきを見ながら愛犬に最適なフードを見つけましょう。
小さい粒で小容量パックを選ぶ
身体が小さなマルチーズはもちろん口も食道も小さいので、小さい粒のフードを選んでください。また一度に食べる量も少量のため、大容量のドッグフードは食べきる前に酸化してしまいます。1,2週間で食べきれる量を目安にパッキングされたものを選ぶと便利です。
ドッグフードは密閉して冷蔵庫で保存する
ドッグフードは開封した途端に酸化・劣化を始めます。開封したらフードが密閉できる袋や容器で、出来るだけ空気を抜いた状態で冷蔵保存しましょう。
年齢に合わせたフードを切り替える
子犬のうちは栄養を十分に摂り、健康的な骨や筋肉、内臓を作ることが重要です。1才前後でパピーフードを卒業しますが、愛犬の体重の伸びが落ち着いて来たら、これまでの量を残すようになったら(食欲が落ち着く)、アダルト用のフードへ切り替えましょう。
肥満にならないように適量与える
成長期が落ち着いたら、そこからは肥満にならないよう注意が必要です。特にマルチーズは小さな身体で骨が細く、肥満は四肢の関節や腰に大きな負担をかけてしまいます。たったの100gの体重増でも、体重50kgの人間にしてみたら2kg近くの増加に値します。
マルチーズのしつけ
マルチーズは比較的しつけしやすい犬種です。そのため犬を初めて飼う人にもおすすめの犬種といわれています。トイレやオスワリ、マテ、といった基本的なことは他の犬のしつけ方と同様にして大丈夫です。
しかしマルチーズの飼い方で気を付けないといけないことは、前述した「社会化」の重要性でしょう。警戒心が強く神経質な面があるといわれていて、勝ち気な性格や臆病な性格を持って生まれた犬は特に、子犬期の社会化トレーニングが重要です。1歳までの若い時期に、より多くの人からオヤツをもらったり撫でてもらうなどすること。
たくさんの犬と触れ合い遊ぶこと。車やバイクの音や、家のチャイムの音が鳴っても吠えないよう、おやつなどでトレーニングをしましょう。これを怠ると、キャンキャン甲高く吠え続ける癖がついてしまいます。もともとマルチーズは賢くて明るい性格ですので、人も犬も大好きになるように育てれば、飼い主も犬も楽しく生活を送れます。
マルチーズのトリミング
マルチーズのシャンプーは2週間に1回、トリミングは1カ月に1回が理想的です。1カ月に1回のトリミングの合間に、自宅で1回シャンプーを行ってあげるようにしましょう。
マルチーズのトリミング料金はお店によって違いがありますが5,000円~10,000円です。カットスタイルはさまざま。被毛を床すれすれまで伸ばしたフルコートスタイル、童顔で愛らしい雰囲気になるテディベアカットやパピーカット、耳の毛だけ長くしたエレガントなロングスタイルなど、愛犬のキャラクターに合ったスタイルを楽しみましょう。
マルチーズの健康管理
マルチーズに多い疾患『僧房弁閉鎖不全症』
シニア期のマルチーズに多い病気で、最悪の場合心不全を引き起こします。治療は薬によって病気の症状を抑えるものとなります。
左心不全による症状を抑える薬と、肺気腫や咳をコントロールするための薬などを組み合わせて投薬を続け、病気の進行を遅らせるようにします。僧房弁閉鎖不全症の根治は困難で、投薬による治療を生涯行うこととなります。
マルチーズに多い疾患『膝蓋骨脱臼』
小型犬に多い病気で、マルチーズも先天的(遺伝的)に膝蓋骨脱臼の恐れのある犬が多いです。これは、いわゆる“膝の皿”といわれる関節部の骨が正常な位置からずれてしまうもので、ひどい場合は激痛を伴います。
軽度の場合は、外れた骨を犬が自分で戻してしまうこともありますが、重症の場合は外科手術が必要となります。
早期発見、早期治療が健康寿命を伸ばすコツ
どんな病気でも、犬の場合は早期発見と早期治療開始が要となります。必ず定期的に健康診断を行いましょう。若いうちは1年に1度、シニア期に入ったら半年に1度が理想です。
症状が重症化しないうちに治療を開始できれば、犬にとっても負担が少なくて済みます。食事、お手入れ、散歩を適切に行うことが健康管理の基本です。
特に被毛や目の周りのケアが必須のマルチーズの場合は、飼い主が愛犬に触れる機会が多いため異変に気が付きやすいメリットがあります。日々の健康管理を怠らず、愛犬の異変にすぐに気が付けるようスキンシップもたっぷり取りましょう。
マルチーズの飼い方の本
犬を飼うのが初めての人は、飼い方のイメージがつかない方も多いと思います。犬を迎える前に、飼い方はもちろん、犬の習性、病気、準備する道具や日々の健康管理など、多くの事を知っておかなくてはいけません。
特に愛犬との「しつけトレーニング」や「遊び」など、犬の成長に直結する訓練は、イメージトレーニングなどの準備を万端にしてお迎えしましょう。初心者におすすめの書籍を紹介します。
I Loveマルチーズ―キュートなマルチーズ、ここにいます。
マルチーズの飼い方―“白銀の妖精”マルチーズ (愛犬セレクション)
マルチーズのしつけ方 (カラー版やさしいしつけシリーズ)
まとめ
マルチーズの飼い方は他の小型犬とあまり変わりません。しかしまるでぬいぐるみ人形のように愛らしいマルチーズですが、意外と気が強い子が多い印象です。
かわいい子犬期に厳しくしつけをするのはとても難しいことです。あまりのかわいさに、つい過保護になり、愛犬の言いなりになってしまう飼い主が少なくありません。
しかしマルチーズは賢い犬なので、しつけもしやすい犬種です。多くのことをスムーズに吸収できる子犬期だからこそ、しつけを含めさまざまな経験をさせることが大切です。
子犬期にめいっぱい遊ばせることもしつけの上でとても重要です。飼い主との遊びでは、強固な信頼関係が築け主従関係も自然と培われます。
犬との遊びでは、犬同士でのルールを学びます。かわいい子犬期はあっという間に過ぎ去ります。存分に愛犬と楽しい時間を過ごしてくださいね。
ユーザーのコメント
20代 女性 こころ
30代 女性 シオン
30代 女性 ターニャ
30代 女性 のぞみ
40代 女性 依乃
女性 mocmoc
祖母の家はお店をしていたので人の出入りもありました。その度にちょこんと近づいては「いらっしゃい」と看板犬のようでした。ですが、人見知りがあったので一定の距離以上は近づきませんでした。この性格もマルチーズに多いですね。人だけではなく犬にも人見知りをします。多頭飼いをすると大変そうですが、マルチーズは根が素直な性格なので喧嘩もすることなく受け入れてくれると思います。
40代 女性 キウイ
その頃は、今のようにサマーカットなどありませんでしたから、床まで伸びた美しいロングコートでした。
シルキーで真っ白な被毛に、真っ黒な勝ち気な瞳がとても美しく、床まで伸びたロングコートをかき分けるような足さばきにうっとりしたものです。
最近はマルチーズといっても短いカットが人気のようで、ショータイプのヘアスタイルの犬は滅多に目にすることがなくなりました。短いカットは幼い印象でそれはそれでかわいいと思いますが、せっかく生まれ持った美しい被毛があるので、若いうちは伸ばしたスタイルをやればいいのになぁ、と思ってしまいます。
短いカットが人気なのは、スタンダードスタイルは手入れが大変な印象があるのかな。
女性 コロ
シニアになる頃には涙やけが目立ってしまっていたので、白い被毛は大変だなと思ったのを覚えています。汚れたらすぐにケアしてあげた方がいい犬種ですね。
女性 ゴン吉
短いカットが多く、フルコートのマルチーズはあまり見かけないです。全身真っ白い被毛なのでお手入れが大変なんだろうなぁと思います。
オスとメスではオスの方が落ち着いているそうです。メスは負けん気が強い子が多いとか。無駄吠えもなく、おとなしく話を聞いてくれるので、初めて飼うならオスのマルチーズがオススメです。
30代 女性 けい
女性 匿名
でもときどき、気の強いこもいるので、覚悟はいります。
かわいいから気付かないですね…(^∇^)