オス犬を飼っていると、必ず直面する去勢のこと。
犬の去勢ってしなければいけないの?でも手術だし…
去勢をしようか悩んでいる方の解決の糸口になるように、トレーナー目線からオス犬の去勢について考えていきたいと思います!
去勢とは?
そもそも、オス犬の去勢ってどんなものなのでしょうか。
一言でいえば、精巣を摘出する手術です。
一般的には全身麻酔をして、陰嚢の近くを切開し、精巣・睾丸を取り出します。
切開は数センチ程度です。
中には「停留睾丸」という、睾丸が所定の位置にいない事があります。
その場合は開腹手術になります。
オス犬の本能
オス犬の去勢は本能と深く関係してきます。
まず、犬の本能について考えてみましょう。
オス犬には発情期という時期はありません。
発情期のメス犬がいれば発情します。
また縄張り意識も持っています。
これらのことから起こる行動とは…
- メス犬を求めて脱走
- メス犬を求めて吠える
- マウンティング
- 縄張り確認をしたくてお散歩中引っ張る
- マーキング
- 犬同士のケンカ
そして、これらの行動は大半の飼い主さんにとっては「問題行動」と言われるものです。
ではなぜこれらが去勢と関係してくるのでしょうか。
それが次に挙げる犬の去勢のメリットとなります。
去勢のメリット
去勢も不妊手術も、望まない妊娠を防ぐことをそもそもの目的としています。
プラスα、メス犬の不妊手術は、どちらかというと病気を防ぐ面にメリットが大きくあります。
ではオス犬の去勢はどうでしょうか。
去勢は病気を防ぐことよりも、問題行動の改善の手助けのために行う意味合いが強くあります。
去勢のメリットを見ていきましょう。
病気の予防
前立腺肥大や肛門周囲腺腫など、高齢になってから起こりやすい病気を予防することができます。
よく、病気になるか分からないのだから病気になってから治すための手術をすれば良いと言う方もいますが、高齢になって麻酔の負担が大きくなり、手術出来ずに治せないということもあります。
なので、予防出来るときにきちんと予防しておく必要があるのです。
マーキングの軽減
マーキングとは普段のトイレとは違い、臭いつけのために少量のおしっこを掛けて回ることです。
「足を上げておしっこをする」ことがマーキングではありません。
このマーキングは、オス犬のトイレトレーニングが崩れることにも関わってきます。
他犬の匂いがするから・自分をアピールしたいから=おしっこをするので、このマーキングをトレーニングで直すことはほぼ不可能です。
ちゃんとシートでしたときに褒めればいつかは出来るようになるんじゃないの?…確かに。
しかしマーキングは何十回とするようなものなので、たまたまの成功1回を褒めても覚えられないのです。
去勢をすると、おしっこをする回数自体が減るので、トイレトレーニングがぐんとやりやすくなります。
※トイレトレーニングの項目ではないので、ざっくりで申し訳ありません!
犬同士の関係
去勢をしていないと、去勢をしている子に比べて犬同士のケンカをしやすくなります。
これは性ホルモンの関係があるようです。
また、自分のテリトリー内ではより攻撃的になります。
去勢によってこのテリトリー意識を低くし、穏やかに過ごせるようにしていきます。
脱走予防
去勢をすれば過剰にメス犬を求めることも押さえられるので、メス犬を求めるがために起きる脱走等を防ぐことが出来ます。
また、匂いの確認をするための散歩中の引っ張りを軽減することも可能です。
ストレスの軽減
欲求不満からくるストレスや、対犬へのストレスを軽減すりことが出来ます。
メス犬の所へ行きたくても行けず、縄張りが荒らされるかもとピリピリしたりと実はたくさんのストレスを受けているのです。
去勢のデメリット
では去勢によるデメリットはあるのでしょうか。
麻酔のリスク
犬の去勢手術は全身麻酔で行います。
比較的簡単な手術だと言われていますが、絶対に安全な手術はありません。
肥満になる傾向がある
生殖器に掛かっていた基礎的な消費カロリーが減少し、肥満になる傾向があります。
これは食事の管理と適正な運動で防ぐことが出来ます。
特に麻酔のリスクについてはしっかりと考えなければなりません。
また、健康に問題がある子や体重が少ない子は去勢手術が出来ないことがあります。
飼い主の考え方を変えましょう
去勢を躊躇する理由はいくつか考えられます。
- 健康な体にメスを入れるなんて可哀想
- この子だって自分の子どもの顔がみたいはず!
- 男らしさをとってしまったら可哀想
番犬として飼っていた昔と違い、今は家族の一員として家庭にいる子がほとんどだと思います。
それ故、犬を擬人化して見ている傾向があります。
でも、犬とって何が一番良いのかもう一度考えてみてください。
犬は本当に自分の子どもの顔がみたいと思っているでしょうか。
それよりも無計画に子犬を生ませて、不幸な子を作ったり、飼い主さんの愛情を独り占めできなくなる方が可哀想ではないでしょうか。
犬は本当に男らしさなんて考えているでしょうか。
それを気にするのは人間だけです。
確かに健康な体を手術するのには抵抗があります。
でも、犬にとって本当に何が良いのか考えてみてください。
愛犬のことを一番良く知っているのは飼い主さんです。
去勢をしていれば防げる病気があります。このような病気は高齢になり、さらに麻酔のリスクが高くなってから発生します。中には悪性腫瘍もあり手術の繰り返しになってしまう場合もあります。去勢手術を若いころに受ければこのような心配はほぼなくなります。
去勢をしないで、マーキングをして怒られたり、メス犬の元に行けないストレスを毎日感じている方が可哀想だし、犬友達と仲良く遊んでほしいと私は思ったので我が子は去勢をしました。
去勢の費用や流れ
犬の去勢は一般的に3万円前後でしょう。
犬の大きさや病院によって変わってきます。
我が子の場合は
- 事前に健康診断→問題なければ手術日を決める
- 手術日は朝から絶食→その日の夜に手術
- 翌日退院
- 1週間後に抜糸
傷口が痒くなったりするので、夏は避けた方が良いかもしれません。
抜糸まではエリザベスカラーをつけています。
今は自然と無くなる糸を使うこともあり、抜糸がいらない場合もあります。
ワンポイント
去勢によってマーキングを減らすことは出来ます。
しかし、足を上げなくなるわけではありません。
一度足を上げ始めたら癖がついてしまうので、去勢をしたからといってしゃがんでおしっこをする様にはなりません。
マーキング自体も同様です。
何年もマーキングしてきた犬は去勢をしてピタリと止むわけでもありません。
マーキングをしてほしくない、足を上げておしっこをしてほしくない、と考えるのであれば早め(生後6ヶ月前後)に去勢をオススメします。
ちなみに…我が子は7ヶ月の時に去勢をしました。
家ではトイレシートでしかトイレをしません。
足は上げません。
でも外では足を上げてすることもあります。
そして、外ではマーキングをするので、これで去勢をしなかったら家の中でもするようになってたかもしれませんね。
犬同士は、どんな犬とでも相手に合わせて遊ぶことが出来ます。
去勢は犬にとっても飼い主さんにとっても、大きな出来事です。
判断するのは飼い主さんです。
何が犬にとって良いのか、そして、周りの人たちへのマナーも考えて考えてあげてください。
この記事が少しでもあなたとあなたの愛犬の役に立ちますように。
ユーザーのコメント
50代以上 女性 まみぃ
40代 女性 HM
40代 男性 雄犬のパパ
特に、
>でも、犬とって何が一番良いのかもう一度考えてみてください。
この部分は、納得出来ません。
「飼い主(人間)にとって、何が一番良い(面倒事が減る)のかもう一度考えてみてください。(そして、貴方も去勢推進派になって下さい)」
が、本音ではないでしょうか?
去勢で病気が防げるとか、長生きするとか、完全に獣医学的に立証されていますか?
答えはノーです。
防げる病気もあれば、かえってかかりやすくなる病気もあります。(この、かかりやすくなる病気の事に、去勢推進派はあまり触れません。情報を隠している気がします。)
擬人化して、可哀想だと思っている傾向がある?この記事の投稿者さんも含めて、「我が子」と言っている人多いですよね?
…擬人化ですよね、これ?
最後に一つだけ言いたいのは、人間も犬も、自然のあるがままの人生・犬生を送って貰いたいです。
精巣の病気になっても、骨肉腫(去勢するとなり易いという報告が出てきています)になっても、それ以外の病気になっても、はたまた大きな病気は運良くせずに老衰で亡くなっても、それが運命・自然のままに生きて、最後を迎えて欲しいです。
40代 女性 匿名
その後、大好きだった散歩や他のワンコと遊ぶ事が楽しみだったのに、去勢後は散歩が億劫になり、他のワンコにも全く興味を示す事もなくなり、対等に相撲とっていたワンコ友達からの挑戦にもされるがままとなり、これだけも変わってしまうの?っていうくらい楽しみを失ってしまった様になってしまいました。
そして増える体重。気をつけていたにもかかわらず、2キロ増えました。
これでは糖尿病の合併症を防ぐ為の手術が心臓に負担がかかり、心配です。
まん丸なワンコだね。と言われてます。
去勢すると、犬のランクが下がると言われてます。ワンコ同士のじゃれ合いも自信をすっかり無くしてしまったかの様です。見ていて心苦しいです。
糖尿になってしまったので仕方なく去勢しましたが、大人しい子など問題行動がないワンコならしない方が良いと思います。
40代 女性 ワンコ初心者でも雄犬のパパさんに同意見
40代 女性 MORRIS
この中で、例え自分の子供を持つということはさせてあげられなくても、その他のことは最低でもさせてあげられるし、させてあげたいと私は思います。避妊の方法は去勢だけではありません。
去勢をすると、他のオスに会いたくないのか散歩に行ってもシュンとしていて、覇気が無くなり、物事に対する興味が減ると聞きました、そんな人生は私だったら嫌です。
この記事は犬にとって何が幸せか?ではなく、飼い主にとって何が幸せか?扱いやすく楽になるか?を書いていていますね。扱いやすさはしつけ次第ですから、飼い主の努力不足や、能力不足のしわ寄せを犬の体にかけるなんて私には出来ません。