犬の去勢手術後はどうしたらいいの?
オス犬特有の問題である去勢手術後のケアは、どのようにすればよいのでしょうか。去勢後の犬は不安や痛み、いつもと違う体の感覚に戸惑い、元気のない日々が続きます。犬の様子を見て飼い主の方も気持ちが落ち込んでしまうこともあるでしょう。
しかし、飼い主が暗い表情をしていると犬も察知してさらに元気がなくなってしまいます。負のスパイラルを断ち切るためにも、去勢手術後、飼い主は明るくポジティブな気持ちで、しっかりケアをしてあげることが必要です。
犬の去勢後にするべきケア
当日の手術後
犬の去勢手術は全身麻酔で行われます。犬は術後30分程度で麻酔から覚めますが、手術による体への負担から元気がなく、恐怖心を感じ震えていることもあるようです。犬を安心させるためにも、まずは手術を乗り越えて頑張ったことをたくさん褒めてあげましょう。傷口に触ると傷口が開いたり痛むこともあるので、傷口に触らないように抱きかかえてください。
手術後は去勢後の傷口を犬がなめるのを避けるため、エリザベスカラーを装着させます。エリザベスカラーを嫌がる犬も多く装着に苦労する場合もありますが、最近ではエリザベスカラーに変わる犬用の術後服もあるので獣医師に相談してみましょう。
抜糸までの期間
犬は去勢後約1週間程で抜糸をします。それまでの期間は手術当日に引き続き、安静に過ごしましょう。抜糸までの一週間は傷口に異常がないかチェックし、傷口を濡らさないようにすることも重要です。
傷口もそうですが心のケアも忘れてはいけません。できるだけそばにいてあげて安心させてあげましょう。去勢後3日程すると少しずつ元気を取り戻してきます。
抜糸後
犬の去勢後の抜糸は獣医師が行います。傷口の様子も診察してくれるので、他に心配なことがあれば相談しましょう。抜糸後3日程度は様子を見て、傷口を気にするような仕草があればエリザベスカラーの装着を続けましょう。
抜糸後のシャンプーは獣医師に相談してからにしてください。どうしても臭いが気になる場合は、濡らしたタオルで体を拭いてあげましょう。
食事
食事は去勢後すぐに与えても大丈夫です。食欲が落ちて食べてくれないことがありますが、時間の経過とともに食欲も元に戻ります。無理に食べさせることはやめ、ドッグフードはお湯でふやかしてあげたり、犬が好きなおやつをあげたりなど、工夫をすると犬も食べてくれるようになります。エリザベスカラーが邪魔で食事を食べない場合は、食事のときだけ外してあげてもよいでしょう。
去勢後は水も飲まないことがあります。脱水症状を起こしてしまうこともあるので、意識的に水分を与えてください。
散歩
抜糸前の散歩は傷口が開くこともあるので控えてください。散歩の再開については、抜糸の際に傷口や体調の様子を診察してもらい、獣医師に相談してみましょう。
雨の日は傷口が濡れないよう散歩を控え、家の中でできる運動や遊びをすると犬のストレス発散にもなります。去勢後は犬の様子を見極めながら少しずつ散歩を楽しみましょう。
投薬
犬の去勢後、抗生剤の投与が必要になります。その場合は処方された量をきちんと飲み切るようにしましょう。犬が薬を嫌がるときは、飲んでくれる工夫として投薬補助食品を利用するのもおすすめです。
抗生剤の効果が2週間程持続する注射を打つこともあります。その場合は去勢後の投薬は必要ありません。
去勢をした犬と暮らす際の注意点
去勢後は一時的に元気がない状態が続きます。手術の痛みが伴いますので、できるだけそばに寄り添い、犬を安心させてあげましょう。時間が経つにつれ、痛みも治まり元気になってきます。かわいそうだからと甘やかしすぎると、回復後に犬がわがままになってしまうこともあるため、寄り添うことと甘やかすことの違いを意識して接してあげましょう。
去勢したからと言って発情に完全に関心がなくなるわけではありません。交尾が起こった場合でもメス犬が妊娠する可能性はありませんが、ヒート中のメス犬に接触すれば少なからずマウンティングする犬もいるので注意しましょう。
犬は去勢後に様々な変化がある?
性格の変化
犬は去勢後、性ホルモンの分泌がなくなります。性ホルモンによる行動ではマーキングや縄張り争いなどがあり、時には凶暴化することがあります。去勢することでそういった行動が起こりにくくなるので、性格が落ち着いた、穏やかになったと言われこともあるようです。
ご飯の変化
犬は去勢後、発情がなくなりホルモン分泌が変化するため、手術前に比べ食欲が増えます。食べ物を要求して鳴くこともありますが、エネルギーの消費量は手術前に比べて減っているので、体重増加を防ぐため去勢後は今までよりも少ない量をあげるか、去勢した犬用のドッグフードをあげましょう。
できることの変化
犬の去勢後はトイレでうまくおしっこできず失敗してしまうことも稀にあるようです。原因は手術によるストレスやホルモンの乱れ、傷口周辺の違和感などがあります。もし失敗してしまっても執拗に叱らず、もう一度しつけのし直すことが大切です。ちゃんとトイレでできたときは褒めてあげましょう。
また、去勢手術直後の傷の痛みや違和感から、散歩に行っても歩かない犬もいます。そのときは無理に歩かせず、抱っこして散歩をしたり、家でゆっくり休ませてあげたりしましょう。去勢後の傷は時間とともに痛みも取れ、回復していきます。元気になったら散歩を再開しましょう。
犬の去勢手術後にこんな症状が出ていたら注意
下痢・軟便
去勢後の犬の便が、下痢や軟便になっていないか注意しましょう。手術によるストレスが原因だと考えられます。日にちが経つとともに症状も改善し、通常の便に戻りますが、一週間しても改善しない場合や体調が悪そうな場合は獣医師に相談しましょう。
また、しっかり排尿できているかも注意して観察しましょう。去勢手術によって循環血液量が減少すると、腎臓の血流量も低下して腎障害になる危険性もあります。
太る
去勢後の犬は性欲が減り、その分食欲が増える傾向にあるため太りやすくなります。去勢後太ってしまうようであれば、食事内容の見直しが必要です。獣医師に相談したり、去勢後専用やダイエット用のドッグフードを取り入れてみることもおすすめします。食事以外にも適度な運動も心がけましょう。
まとめ
犬の去勢後の生活について知ると、デメリットとメリットの両方が見えてきますね。将来の病気へのリスクや望まない交配による妊娠などを考慮して犬の去勢手術に踏み切ったけれども、手術後の辛そうな犬の姿に胸を痛める飼い主もいます。ですが、時間とともに犬も元気になるので心配ありません。きちんとケアしてあげることが大切です。
犬の去勢手術には賛否両論あり、どちらがいいということはありません。さまざまなリスクを考えること、獣医師との相談も行うことが大切になります。犬と飼い主、両方にとって幸せな生活が送れるように考えて選択しましょう。