犬の肉球に人間用ハンドクリームを塗っても平気?
なぜ、犬の肉球は乾燥するのか
今、ペットとして人間に飼われている犬はふだん、舗装されたアスファルトやコンクリートの上を歩いています。
柔らかな土の上や草むらよりも、アスファルトやコンクリートは外気温の影響を受けやすく、夏は非常な高温となり、冬は地面が凍てつくほどの低温になります。
本来、犬の肉球は歩行の際の衝撃を和らげるために、水分を多く含んでいて程よい弾力を持っています。
しかし、日々、地面からの極端な熱や冷気を受けることによって刺激を受け、だんだん硬化、角質化してきます。
例えるなら、柔らかで水分を含んでいるお餅は割れませんが、水分が抜けて乾燥してくると、ひび割れてしまいますよね。
犬の肉球も、外部からの刺激を受け続けて肉球が分厚く固くなり、老化や皮膚トラブルによって水分が抜けると、ひび割れてしまうことがあります。
愛犬の肉球を触ってみて、全く湿り気がない状態なら乾燥が進んでいて、日々のケアが必要です。
犬がハンドクリームを舐めても問題はない?
肉球に違和感や傷みがあると、犬はその部分を舐めてしまいます。
もし、犬の肉球のケアのために人間用のハンドクリームを塗ったとしたら、犬が自分の肉球に塗られているハンドクリームを舐めてしまう可能性があります。
当然、人間のハンドクリームは、舐めるための製品ではありません。
ですが、皮膚に塗り、その成分が体の中に入ることを前提として作られています。
ですから、口から体に入ったら即、命に危険があるような材料は使われていません。
ただし、「犬が舐めても平気か?」と言うと、舐めた量によってはハンドクリームに含まれている油脂の摂りすぎで、下痢になることがあります。
子犬や体力が落ちたシニア期の犬なら、その下痢が引き金となって他の病気を発症したり、一気に衰弱が進んでしまったりするかも知れません。
また、人用のハンドクリームには、香料などあまりわんちゃんの口に入っていいものではないものが含まれているものもありますし、場合によっては中毒をおこしたり、体調を悪くさせてしまう可能性も十分考えられます。
少量であっても、本来食べるべきものではないものを口に入れてしまうのは、誤飲と言えます。
犬の誤食は、飼い主の責任だということをしっかりと肝に銘じておきましょう。
犬の肉球に人間用のハンドクリームを塗って効果がある?
ハンドクリームには、使用の目的や継続して使うことで、期待できる効果によっていくつか種類があります。
- 美白用ハンドクリーム
- UVケア用ハンドクリーム
- 薬用ハンドクリーム
- エイジンクケアハンドクリーム
- 保湿、リラックス用ハンドクリーム
それぞれ、含有成分も違うので、価格にも幅があります。
もし、犬の肉球のケアのために使うのであれば、美白効果やUVケアは必要ありません。
また、アロマオイル入りのハンドクリームも、種類によっては犬に有害な成分もありますので、避けた方が良いでしょう。
もし、犬の肉球ケアに人間用のハンドクリームを使うのであれば、乾燥によるひび割れを予防したり、固くなった角質を柔らかくしたりする効果があり、なおかつ、保湿効果の高いハンドクリームが適しています。
ただし、尿素が含まれている薬用ハンドクリームを長期にわたって使い続けると、皮膚が柔らかくなりすぎて、かえって肉球が傷みやすくなるので、使わない方が良いでしょう。
犬用の肉球ケアクリームと人間用ハンドクリームの成分の違い
食品由来の成分が多く含まれている
犬が舐めても問題がない成分を使っている製品が多いです。
その分、安価な人間用のハンドクリームよりも値段は高い傾向があります。
アルコール分が含まれていない
犬は体内に入ったアルコールを分解することができません。
ですから、少量でも摂取してしまうと、体内にアルコールが長く留まってしまい、人間で言うと、急性アルコール中毒のような状態になってしまいます。
そのため、ほとんどの肉球ケアのクリームにはアルコールは含まれていません。
無着色、無香料
人間は、使い心地や効果だけでなく、ハンドクリームを選ぶための要素として、見た目の色や添加された香りが必要です。
しかし、犬はニオイに敏感なため、効果の高い成分のクリームに犬が好むニオイをつけてしまったら、せっかくケアしても舐めてしまいます。
また、色を付ける必要がないので、犬用のハンドクリームには保存料が含まれていることはあっても、着色料はあまり使われていません。
ハンドクリームを塗る効果
肉球の乾燥を防ぐ
ハンドクリームを塗ることで、保湿成分が肉球の中に浸透します。
適度に水分を含んでいれば、乾燥によるひび割れを予防することができます。
血行が良くなる
ハンドクリームを塗るときに、しっかりと肉球のマッサージも同時に行うと、肉球内部の血行が良くなり、新陳代謝が高まります。
犬の肉球の仕組み
肉球の役割
犬が野生で生きていたころは、獲物を狩って捕食していました。
その際、地面を歩く音を消すために、柔らかな肉球によって足音を消すことができました。
また、肉球に弾力があることで、地面からの衝撃を和らげることもできます。
それ以外にも、肉球は感覚器としても働き、地面から周辺の状況を察知することもできると考えられています。
肉球の構造
肉球の外側は、角質化して固くなっています。
実はその外側の表面は、円錐状の突起となっていて、スパイクの役割を果たしています。
その内側は、脂肪とコラーゲンなどの繊維が混在している組織で構成されています。
再生能力が低い
動物は人間と比べて、皮膚に外傷を受けても傷が治りやすいのですが、肉球が傷つくと、完治するのに時間がかかります。
肉球は、血流が多く、また体重がかかる部分であるのでなかなか血が止まりづらい、傷がふさがりにくいためです。
まとめ
犬用の肉球ケアクリームを準備するまでの間、できるだけ保存料、香料などが無添加で、安全な材料のみで作られているハンドクリームを使用するのであれば、問題はありません。
しかし、やはり、犬が舐めてしまうことや、人間の手と犬の皮膚の違いを考えると、犬用の肉球ケアクリームを使うべきだと思います。
逆に、犬の肉球ケアの製品を飼い主さんが使って高い効果を感じているケースもあるほど、高品質で低価格のものもあります。
いずれにせよ、どんなクリームを使っても、愛犬の肉球に塗ることには変わりありません。
肉球のケアの時間は、愛犬の健康をしっかりと観察でき、愛犬との絆を深めるかけがえのない時間となるでしょう。