犬の肉球の構造
肉球は5つの部位から成り立っている
肉球は蹠球(しょきゅう)とも言いますが、前肢にある一番大きい肉球を指す掌球(しょうきゅう)との混同を避けるため、一般的に肉球と呼ばれています。
肉球には下記の種類があります。
- • 指球(しきゅう) 前肢の指関節にある4個の肉球/趾球(しきゅう) 後肢の指関節にある4個の肉球)
- • 掌球(しょうきゅう) 前肢にある大きい肉球/足底球(そくていきゅう) 後肢にある大きい肉球
- 手根球(しゅこんきゅう)前肢にだけある手首の関節にある肉球
犬の親指にあたる狼爪がある場合には、その根元にも小さな肉球を持っています。
犬の肉球の役割①滑り止め
ざらざらの表面と汗によって滑り止めとなっている
犬は基本的に汗をかかない動物と言われていますが、肉球は犬のからだで唯一汗をかける部位です。汗によって肉球が湿っていること、肉球の表面がざらざらしていることによって地面との間に摩擦力が生まれ、急な方向転換をする時や走り出す時、ジャンプする時の滑り止めとなっています。
肉球が汗をかく点についてですが、その汗によってその犬がそこにいた、そこを通った痕跡として他の犬に感知されることはあるでしょうが、体温調節を担う程の発汗はないと考えられています。
犬の肉球の役割〜②地面からの衝撃を防ぐ〜
靴のように足を保護している
肉球は弾性繊維、脂肪を多く含み、歩くときや着地をするときの衝撃を吸収するクッションのような役目を果たします。また、肉球は特殊なハニカム構造でできていることが、研究によって明かされました。
この構造が、地面から伝わる衝撃をさらに緩和させています。そのおかげで、砂利道などのでこぼこした道でも、足にダメージを与えずまた足裏を傷付けずに歩くことができるのです。いわば肉球は、人間が履く靴のような役割と言えますね。
犬の肉球の特徴
肉球を怪我すると治りにくい
ふだん室内で飼われている犬の肉球は、屋外で飼われている犬に比べて柔らかくなりがちです。それは、ゴツゴツとした砂利道や硬いコンクリートの上を歩く頻度が低いほど、角質層がぶ厚くなりにくいためです。
肉球が柔らかいこと自体に問題はありませんが、その分熱さや寒さに弱かったり、怪我の危険も高まったりします。
肉球の外側は血管のない厚い角質層があり、また歩くたびに犬の全体重がかかってしまうため、一度傷を負うとなかなか治ってくれません。また、舐めやすい部位であるため、傷の治療後になめさせないようにすることが難しい場所でもあります。
怪我を予防するためには、散歩の時に注意する他には乾燥割れを予防するケアをすることができます。肉球の乾燥を防ぐ専用のクリームがありますので、散歩後などに使用するといいでしょう。また、万が一肉球を怪我してしまった場合は散歩を控え、早めに獣医師に診てもらってください。
まとめ
肉球はただ可愛いだけでなく、犬にとって重要なからだの器官
人間には可愛いチャームポイントに思える肉球も、犬にとっては様々な環境に適応するための重要な役割を持つものです。
でこぼことした険しい道や様々な地面に対応できるとは言うものの、もちろん限界はあります。地面の状態や落ちているものなど、散歩する際はもちろんですが、意外と見落としがちな室内に潜む危険にも、十分に注意してあげてください。
また、わんちゃんの大切な肉球を守るために、正しい知識やお手入れの仕方を身につけて異常がないか日常的に観察してあげてくださいね。
夏のお散歩後に肉球をやけどするケースが見受けられます。熱中症にならないためにも、肉球をやけどさせないためにも、夏のお散歩は時間と歩く場所に十分注意してください。「少し涼しくなってきた」と飼い主さんが感じてもアスファルトはまだとても熱いことも多いですし、マンホールや側溝のグレーチング(網)はアスファルトよりもさらに高温になります。