犬の耳垢、症状や原因、正しい耳掃除やお手入れ方法

犬の耳垢、症状や原因、正しい耳掃除やお手入れ方法

みなさんは愛犬の耳のチェックやケアを定期的に行っていますか?耳のトラブルは命に関わる病気ではないからとつい軽く考えられがちですが、放っておくと悪化したり重大な病気につながってしまうこともあるのです。

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記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

犬の耳垢の原因

耳の大きな茶色い犬

犬の耳は外耳、中耳、内耳の3つに分かれており、外耳から鼓膜につながっている外耳道以外は見えない状態になっています。その外耳道についてもL字型に折れ曲がった構造となっているため、少しのぞき込んだ程度ではほとんど見えません。そのため、耳の奥までは汚れや水が入りにくくなっており、犬自身が頭を振ることで外耳道の水を出すことが出来ます。しかし一度水などが入ってしまうと排出されにくく耳の内部が蒸れてしまったり、汚れとともに雑菌が繁殖してしまったりもするのです。

耳のトラブルを起こしやすい犬種

蒸れや雑菌の繁殖などによる耳のトラブルを起こしやすいのは、耳が垂れている犬や短頭種などの耳道が狭い犬、脂漏症など皮脂の分泌が多い犬。垂れ耳の犬種はミニチュアダックスフンドやラブラドールレトリバーなど見た目にもわかりますが、パグやフレンチブルドッグは耳道が狭い傾向にあり、シーズーやアメリカンコッカースパニエル、ウェストハイランドホワイトテリアは皮脂分泌が多い傾向にあるので特に注意しましょう。また、耳の入り口辺りに毛が多く生えている場合にも耳の中が蒸れやすく汚れがたまりやすいのでこまめにケアしてあげることが大切です。

犬の耳垢の症状・注意点

耳の内側アップ

耳垢はその犬の耳の健康をはかるための重要なバロメーターです。犬の正常な耳垢は赤黒色、褐色などで粘りやにおいはあまり強くありませんが犬によってそれぞれ個体差もあるので、愛犬の通常の耳垢の状態を把握しておくことが大切です。健康な状態の時の耳垢がわかっていれば、変化があった時にすぐに異常に気がつくことが出来るのでしっかりチェックしておきましょう。

耳垢が正常時に比べて黒く乾燥している場合は耳ダニの影響である可能性があったり、茶色くベタベタとしている場合はマラセチアなどが繁殖している可能性があります。黄色くツンとしたにおいが強い耳垢は細菌感染の可能性が高く、黄色くべたつきが強い場合は脂漏症などによるものと考えられています。また、健康時と色が同じでも急激に量が増えている場合などは耳の中で何らかのトラブルが起きている可能性があるので注意しましょう。

犬の耳掃除、お手入れ方法

耳掃除されているMダックス

耳のケアというとつい綿棒などで掃除をしてしまいたくなりますが、耳の中は非常にデリケートなので綿棒での掃除はあまり推奨されていません。特に小型犬の場合は綿棒を耳道に入れることで耳垢を奥に押し込んで固めてしまう可能性が高いので出来るだけ使わないようにしましょう。耳のケアにはやわらかなガーゼやコットンを使用し、イヤークリーナーなどをたっぷりしみ込ませてから汚れになじませるように優しく拭いてください。この時、目視することが出来ない耳道の奥まで掃除する必要はなく、外耳の手前部分、手の届く範囲だけでOKです。

また、耳の毛が多い場合は通気性をよくしてトラブルを防ぐために短めにカットするといいでしょう。見た目をきれいに仕上げるために毛抜きを使用することもありますが、これは犬にとって負担(痛みや炎症、細菌感染など)が大きいと考えられてもいるのでカットによって対応するといいでしょう。

まとめ

病院で耳を診られるラブラドール

犬の耳のトラブルというと外耳炎が多く見られ、早い段階で気がつけば比較的治りやすい病気ですが放っておくと症状が悪化したり慢性化してしまうこともあるので十分気をつけましょう。外耳炎が悪化して中耳炎に進行して耳垂れや強い痛みが出てしまったり、内耳炎に進行することで三半規管に影響を与えてふらつきや傾き、振盪を起こしてしまうこともあります。

耳のトラブルは他の疾患と同様、早期発見・早期治療が大切です。そのためには日常的に耳や耳垢の状態をチェックこまめなケアをし、異変があれば経過を確認しながら獣医師に相談するようにしましょう。

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