犬の耳毛の手入れは必要?その役割とは?
犬の耳毛の手入れが必要な理由
犬の耳毛の手入れは、耳の中の健康を保つために必要です。耳毛が密集している状態だと、耳毛に付いた垢が細菌の繁殖を引き起こします。
また、犬の耳毛は耳内を蒸れやすくさせます。特に梅雨の時期や夏場は蒸れやすく、通気性が悪いことで耳の中で細菌が繁殖します。耳毛の手入れをしないことで繁殖した細菌が、耳の汚れや痒みなどのトラブルを引き起こす原因になります。
そのため、定期的に耳毛の手入れをして、耳の中を清潔にしておくことはとても大切です。
健康な耳であれば、月に1度の手入れで問題ありません。しかし、痒がっている、腫れているなど異常がある場合は獣医師の指示に従って、手入れをしていきましょう。
そして、犬の耳毛の手入れはやりすぎてもいけません。手入れのやりすぎが刺激になってしまい、痒みを引き起こすこともあります。
犬の耳の健康状態には個体差があるので、それに合わせた耳毛の手入れをしていきましょう。
犬の耳毛の役割
犬の耳毛は、耳の中の汚れを外に出したり、外からの汚れやホコリを耳の中に入れないようにしたりする役割をしています。また、耳道内の皮膚や鼓膜を保護する役割もあります。
耳毛が生えているのは、トイプードルやシーズー、マルチーズなどシングルコートの犬種です。チワワやダックスフントなどダブルコートの犬種は、耳毛が生えていません。
耳毛のお手入れが必要な犬種と、必要ではない犬種がいるのを理解しておきましょう。
犬の耳毛のお手入れに必要な道具
犬の耳毛をカットするとき
犬の耳毛をカットするときは「犬用の耳毛切り用ハサミ」を使用しましょう。
【ハサミを使って犬の耳毛をお手入れする手順】
- ミニバリカンで耳穴付近の毛を刈る。耳穴付近の毛を刈ることで、耳の中が良く見えるようになります。
- 指で抜ける範囲で耳内の毛を抜く。
- ハサミで耳入り口付近の毛をカットする。
犬用の耳毛切りハサミは、先端がカーブしていて、犬の皮膚を傷つけにくい構造になっています。皮膚への刺激が少ないです。耳毛切りに慣れていない人でも使いやすいでしょう。
犬の耳毛を抜くとき
犬の耳毛を抜くときの道具は以下のようなものがあります。
- 鉗子(かんし)
- 睫毛鑷子(まつげせっし)/先丸タイプ
- 人間用の毛抜き/先丸タイプ
鉗子(かんし)
鉗子(かんし)は、犬の耳毛抜き用のものがあります。滑り止めが付いている鉗子は、耳毛を引き抜きやすいのでおすすめです。
また、先端がカーブしていない鉗子を選びましょう。先端がカーブしているものは、耳の中の皮膚を挟んでしまう危険性があります。
鉗子で毛を抜くときは、先端を閉じたまま犬の耳の中へ入れてください。耳の中で先端を少し開いて、毛をつかんで引き抜くというイメージで使うと、安全に耳毛抜きができます。
鉗子の先端が開いた状態で耳の中に入れると、皮膚を挟んでしまう危険性があるので注意しましょう。
睫毛鑷子(まつげせっし)/先丸タイプ、人間用の毛抜き/先丸タイプ
睫毛鑷子(まつげせっし)や人間用の毛抜きでも、犬の耳毛を抜くことができます。
犬の耳の中の皮膚を傷つけないように、先端が丸くなっているものを選びましょう。こちらも皮膚を挟まないように、先端を閉じたまま耳の中へ入れて耳毛を抜いていきましょう。
鑷子や毛抜きは、耳毛をつかみ損ねないように指の力が必要になります。指が疲れやすい人は、鉗子がおすすめです。
犬の耳毛のお手入れの仕方
ステップ1:耳毛をカットしていく
まずはバリカンで耳の穴が見えるように、耳周りの毛を刈っていきましょう。
その次に、耳毛切り用のハサミを使用し、耳内の毛をカットしていきます。耳を裏側から押すとカットがしやすいです。
耳周りの毛を刈るバリカンは、部分カット用のミニバリカンが扱いやすいのでおすすめです。バリカンの振動を嫌がる犬には、低振動で音が静かなバリカンを選びましょう。
ステップ2:耳毛を抜いていく
次は耳道内の耳毛を抜いていきましょう。
まずは指で、指が届く範囲の耳毛を抜いていきます。耳毛が滑って抜きにくい場合は、イヤーパウダーを使用します。少量のイヤーパウダーを犬の耳の中に入れ、もみ込むと耳毛が滑りにくくなります。
犬の耳毛を抜くときのポイントは、少しずつ抜いていくことです。耳毛を一度に大量に抜くと痛がって、嫌がりやすいです。
指で届く範囲の耳毛が抜けたら、鉗子や毛抜きなどの道具を使って奥の毛を抜いていきましょう。
道具は耳道に沿って入れていきます。道具を使うときは、耳道内の皮膚を挟んでしまわないように注意しましょう。怪我につながります。
道具を使って耳毛を抜くことに慣れていない人は、指で抜ける範囲で終わらせて大丈夫です。耳の奥の毛を抜くのは嫌がる犬が多いので、無理に行うことはやめましょう。
ステップ3:耳の汚れを拭き取る
犬の耳毛を抜き終わったら、耳の汚れを拭き取っていきましょう。
カット綿を洗浄液か水で湿らせて、指の届く範囲でやさしく汚れを拭き取っていきます。擦りすぎたり、力を入れすぎたりすると皮膚の刺激になり、耳のトラブルを引き起こす可能性があるので気を付けてください。洗浄液は低刺激で、匂いが強くないものを選びましょう。
ここで重要なのは、綿棒は使わないことです。犬の耳内の皮膚は非常にデリケートです。綿棒を使うと、耳道内の皮膚を傷つけてしまうことがあります。
また、取り残してしまった耳毛や汚れを奥に押し込んでしまうこともあります。犬の耳掃除をするときは湿らせたカット綿を使い、指が届く範囲で汚れを取りましょう。
自宅で犬の耳毛を抜いても大丈夫なの?
健康な耳であれば、自宅で犬の耳毛を抜いても大丈夫です。
耳毛を抜かれることが苦手な犬もいるので、耳毛抜きに慣れさせるという意味でも、自宅で手入れをすることは良いことです。
しかし、自宅で耳毛を抜く場合は、目に見える範囲の毛を指で抜くだけに留めておきましょう。自宅で道具を使って耳毛抜きをすることは、あまりおすすめできません。
犬の耳毛抜きに慣れていない飼い主が道具を使うと、犬が嫌がって動いた拍子に耳内の皮膚を傷つける可能性があります。
また、耳を痒がっている、腫れているなど耳に異常があるときは、自宅で耳毛を抜くのは止めておきましょう。耳毛を抜いたことが刺激になって、症状を悪化させてしまう場合があります。必ず動物病院へ行って、獣医師の指示を仰ぎましょう。
犬の耳毛抜きは、ある程度自宅で行っても大丈夫ですが、細かいケアは、トリミングサロンや動物病院に任せましょう。
まとめ
犬の耳毛のお手入れは、耳の健康のために必要です。しかし、やりすぎてもトラブルを引き起こしてしまいます。
犬の耳の状況によって、飼い主がお手入れ出来る範囲と出来ない範囲があることがわかります。
トリミングサロンでも、耳の状態によってはお手入れをせず、動物病院へ行くことをおすすめされる場合もあります。
犬の耳はデリケートな部分であるからこそ、日頃から愛犬の耳の状態を把握しておくことが大切です。簡単な耳毛の手入れは自宅で、細かいお手入れはサロンで、異常があれば動物病院へ行くなどして、愛犬の耳の健康状態を保ってあげましょう。