子犬に起こりやすい食事トラブル
食事に関する様々なトラブルは、犬を家に迎え入れたばかりの子犬期や幼犬期に起こりやすいトラブルの一つとしてしばしば挙げられることがあります。
食事に関するトラブルとは、例えば
- 人の食べ物をねだる
- ご飯を残す
- 食器に近付くとうなる、噛む
といったようなことです。
それら食事に関するトラブルは全て、しつけやルールがきちんと出来ていないこと、飼い主さんが犬のリーダーになり切れていないことが原因です。
「まだ子犬だから」「いつかきちんと出来るようになるだろう」と、トラブルがあるにも関わらずそのまま放置しておくことは絶対に禁物。
しつけが出来ていないことによる食事トラブルは、きちんと対処をしなければ、成犬になったからといって自然に改善することはありません。
飼い主さんが正しい行動をすれば、全てのトラブルは必ず改善出来ます。
子犬だから、と甘やかすのではなく、むしろ色々なことを柔軟に吸収出来る子犬期だからこそ、きちんとしたしつけを行っていきましょう!
そこで以下では、子犬期に起こりやすいとされる食事トラブルを起こさないため、そして既に起こっているトラブルを改善するための方法について述べていきたいと思います。
子犬の食事のしつけ
食事トラブルを起こさないために守るべきルールと、起きているトラブルの改善方法について述べたいと思うのですが、その前に、食事のしつけの大前提として心得ておいて欲しいことがあります。
それは【人の食べ物は絶対に与えない】ということ。
犬に人の食べ物を与えることは、しつけ上望ましくないだけではなく、もちろん犬の健康にとっても良くありません。
犬に与える食べ物は、必ず犬用の物にしましょう。
そして心得ておいて欲しいことの2点目として、【犬よりも人が先に食べる】ということです。
犬は、その野生時代の名残から、上下関係を大変重んじる動物です。
そのような世界においては、「偉い人が先に食べる」のがルール。
そのため犬と人間が同じ空間で食事をする際には、必ず人が食べ終えてから犬にご飯を与えるようにしましょう。
食事前の「待て」と「よし」
犬が食事を食べ始める前には、飼い主さんがリーダーであることを認識させるためにも、犬におすわりをした状態で「待て」をさせ、必ず飼い主さんの「よし(OK)」で食べさせるようにしましょう。
その手順は以下の通りです。
1.「おすわり」をさせる
2.犬の前にご飯を置いて、「待て」をさせる
3.数秒待てたら「よし」で食べさせる
ちなみに、あまり長く待たせることは胃あまり良くないとされているので、待たせる時間は数秒程度で構いません。
食事のしつけの場合には、待たせる長さよりも「飼い主さんの指示で食べる」と認識させることが重要です。
犬の「待て」のトレーニングのやり方!時期や教え方、上手くいかない原因と解決方法まで
子犬が食事のトラブルを起こさないために守るべき4つのルール
それでは、わんちゃんの食事トラブルを起こさないために、守るべき4つのルールを挙げたいと思います。
(1)要求された時にあげない
犬、特に子犬の場合には、ご飯の時間になったりお腹が空いたりすると、ワンワン吠えてご飯を要求することがあります。
ですが、こうした要求に応えてエサをあげることはしてはいけません。
「吠えればご飯がもらえる」と学習することにより、吠える癖がついてしまうからです。
きちんと「吠えないでお利口にしていればもらえる」と学習させるためにも、静かに待てたらあげるという習慣をつけることで、食事を要求して吠えるというようなトラブルは防ぐことが出来ます。
(2)食べる時に注目しない
犬がご飯を食べている時には、その様子が可愛らしく、ついついじーっと見てしまうことがあるかと思います。
ですが、犬の食事中に注目することは、実はNGなのです。
なぜなら、食事中に飼い主さんが犬に注目することは、犬にとっては飼い主さんがおあずけをされているように見えるからです。
そう認識させることはしつけ上望ましくないことなので、見ないよう気を付けましょう。
とりわけ子犬の時には注意が必要です。
(3)食べなくても片付ける
犬が食事を食べなかった場合、ついつい「置いておけばそのうち食べるかな?」とそのまま食事を置いておいてしまいがち。
ですが、この行動は絶対にNGです!
なぜなら、犬が決められた時間に食事を食べなくても常にそばにご飯を置いておくことで、犬は「持って来た時に食べなくてもいつでも食べられる」と学習し、きちんと飼い主さんの指示で決められた時間にご飯を食べなくなってしまう可能性があるからです。
ですから例え犬が食事を食べていなかったり食べ残したりしていても、15分程度経過したら片付けてしまいましょう。
そうすることで、「その時間に食べなければなくなっちゃうんだ」と学習してくれます。
(4)専用食器で、決まった場所で与える
犬に食事を与える時には、いつも決まった場所で、なるべくであれば決まった食器で与えることが望ましいです。
場所は、特にまだきちんと食事のしつけが完成していない子犬期には、サークル内で与えることが理想です。
ある程度食事のしつけが出来たら、サークル以外の場所で与えても構いません。
子犬の食事トラブルの対処法
ここまでは、犬の食事に関するトラブルを起こさないために日頃から気を付けるべきルールについて述べてきました。
以下では、既に起きている様々なトラブルの対処法を、いくつかのトラブルの例を取り上げて紹介したいと思います。
(1)ご飯を残す
これは、上記の守るべきルールでも述べたことと同じですが、例え犬がご飯を残していても、一定時間が経過したら片付けてしまいましょう。
これは先にも述べたように、「いつでも食べられる」と学習させないようにするためです。
また、食べないからといってあれこれドッグフードの種類を変えたりすることも厳禁。
「食べなければまた新しい物がもらえるんだ」と学習し、ワガママに繋がります。 もちろん中には体調が悪くて食欲がなくなっている子もいますので注意しましょう。
(2)人の食べ物をねだる
これも上記で述べたことですが、犬の食事のしつけの大前提のルールとして、「人の食べ物はあげない」ということが大切です。
人の食べ物を一度でもあげてしまえば、その経験によって犬は「またもらえる」との期待を持ち、人の食べ物をねだるようになってしまいます。
ですから「一回だけだから」などと言って与えたりせず、絶対に与えないという姿勢を貫きましょう。
もしも犬が人の食べ物をねだっても、絶対に与えずに無視します。
吠えて要求しても徹底的に無視し、しつこいようであれば人の食事の間はサークル内に入れておきます。
そして人の食事が終わってから、吠え止んでいればドッグフードを与えます。
(3)食器に近付くとうなる、吠える、噛む
犬の食器に触ったり近付いたりすると、うなったり吠えたり、時には飼い主の手を噛むといった問題行動を起こす場合もあります。
これは皆さんおわかりのように、「自分の食べ物をとられてしまう」と思うからです。
対処法としては、はじめは食器にドッグフードを少しだけ入れて犬に食べさせ、犬が食べている時に少しずつ手で食器内にフードを追加していきましょう。
このようなトラブルがある場合には、手から直接フードを与えても構いません。
そのようにしているうちに、犬にとって人の手は「自分の食べ物をとってしまう」ものではなく、「食べ物をくれる」ものという良いイメージに変わり、うなったり吠えたり噛んだりといった問題行動は改善されると考えられます。
(4)ご飯を食べない
最後に犬があまりにもご飯を食べない時についてですが、色々なことを試してみてもあまりにもご飯を食べない時には、健康状態を注意してチェックし、動物病院で相談しましょう。
子犬の食事トラブルに関するまとめ
以上今回は、迎え入れたばかりの子犬期や幼犬期に起こりやすいとされる食事トラブルについて、そうしたトラブルを起こさないために気を付けるべきルールと、起きているトラブルの対処法などについて述べました。
食事トラブルに限らず、全てのトラブルの原因は不十分なしつけにあることが多く、ほとんどは正しいしつけにより改善出来ます。
特に子犬期は色々なことを柔軟に学習してくれる時期なので、「まだ子犬だから」ではなく、むしろ「子犬の今のうちに」様々なしつけに取り組むことが大切です。
正しいしつけで、トラブルのない快適なわんちゃんライフを送りましょう!
ユーザーのコメント
30代 女性 komanu
犬の世界は縦社会ですので、飼い主(上)、犬(下)の関係を教えるのは重要です。もしも「家族なのに嫌だな」と感じる方がいらっしゃったら、「犬は上下関係があることが安心できる材料なんですよ」と言われたらどうでしょうか?その犬にとって重要な上下関係を築くために一番いいのが食事の時間なのです。
食べ物関係のしつけですと、自信がない飼い主さんや、どうしても帰宅時間などの理由で愛犬のご飯の方が先になってしまう場合は、飼い主さんが食事している場面を極力見せないことです。犬はおいしいにおいはすぐに分かります。ねだってくるとどうしても与えてしまう・・・とならないように人間が食事をしているときは別の部屋にいてもらうのがいいです。
辛かったわが家の仔犬期のしつけですが、今となっては良かったと思えるので、今まさに奮闘中の飼い主さんは愛犬を信じて頑張って欲しいです。
20代 女性 てとまる
まだまだ小さい愛犬が我が家に来てすぐの頃は、ご飯のしつけがとても大変でした。やはり、人間の食べ物は美味しそうな匂いがするのか欲しがっていました。この記事にもあるように、とにかくその時には無視をしたり手を出そうとした時には心を鬼にしてしかっていました。そのお陰が今はすっかり目の前に人間の食べ物があっても欲しがりません。
食べさせてしまう愛犬家の方もいますが、私は犬には犬に合った食べ物があると考えています。人間の食べ物でも野菜などシンプルな味のものなら構わないのかも知れませんが犬にとって濃い味になってしまっていたり、消化に悪いものを結果的に与えてしまうのではと思います。可愛いからといって何でもあげてしまう前に色々なリスクも考えてからあげるのが良いゆじゃないかなと感じました。
40代 女性 SUSU
食事は飼い主が先でワンコはゲージで待機、おとなしく待っていられたら待てのコマンドを出してからヨシ!で食べるようしつけをしていました。
ただ、食事時間の遅い我が家にはこの方法が合わず、早く食べ終わってワンコにも食べさせなきゃとこちらが焦ってしまって落ち着いて食事を楽しめなくなってしまったため、わりと早い段階で順番は逆になってしまっています。
先にワンコに食事をあげてから飼い主が食事をしているご家庭は他にも何軒も知っていますが、我が家も含めて特に問題はないようです。
むしろ、その方がワンコの方もお腹がいっぱいになっているので、落ち着いて待っていられるようです。
犬は人間よりも優れた嗅覚を持っています。お腹が空いていて、とても良い匂いがしているのにご飯をもらえない、ゲージの中で人間が食べ終わるまで待たされ、やっと食事が出てきたと思ったら待て!と言われる・・・早く!と吠えても仕方がないのかなと思うのです。ましてやそこでお皿に手を入れられたら、やっと出てきた自分の食事を取られる!と思い、吠えたり噛もうとしたりするのは当然なのではないかなと思います。
食事時間についても、我が家ではお腹が空いた!と言われた際はあげるようにしています。飼い主の後というルールがなければ特に問題になることもありません。あまりに早い時間の場合には「まだ早すぎない?もう少し待てない?」と提案をしてきゅうりやキャベツの芯などでお腹を満たしてもらうこともありますが、要求吠えをしてくることはなく、じっと見つめてきたり、キッチンの前で待っていたり、分かってもらうのはどうしたらいいかな?ワンコなりに考えているようで、通じた時に「やった!」と目をキラキラしてにこっとしている表情はとてもかわいいです。
なお、ご飯を残すことに関しても、フードに問題があることもあるため、食べなければ片付けるといったセオリーをすぐに実行する前に調べた方が良いかもしれません。我が家の愛犬も生後半年を過ぎた頃からフードを食べなくなり、しつけ本にしたがって15分で片付けたこともありましたが、後になってそのフードには保存料などに問題のある原材料が使われていることが分かりました。
その後、フードジプシーをしていた頃に数回で食べようとしなくなったフードには全て発ガン性の高い添加物が多く使われていました。
以前、フード専門店の方に「食べようとしないのは、飽きたという他に理由があることもある。食べて気持ちが悪くなる、痒くなるなど、食べない理由を考えてあげて」と言われたことがあります。
保護されたワンコは食事にひどく執着心を持つことが多く、出された途端、抱え込むようにして空気のように飲み込んでしまう子もたくさんいます。人や他のワンコが近づくと唸ったり、いつも飢えている感覚がなかなか取りきれない子もいます。
このことからも分かるように、親や兄弟犬から離され環境も変わって不安いっぱいの子犬に一番与えてあげなければいけないのは、どちらが上だという考えやルールよりも、ここにいればたくさんの愛情と食事がもらえるんだという心の余裕なのではないかなと思うのです。
上下関係という言葉にあまり縛られず、普通の家族の関係として捉えて、愛情豊かなワンコに育つよう、たくさんの愛情と心の余裕を与えてあげられればそれで良いのではないかなと思います。
女性 せとか
女性 もふころ