お口が健康だと寿命が延びる?犬の歯周病と歯みがきについて

【獣医師監修】お口が健康だと寿命が延びる?犬の歯周病と歯みがきについて

良質なフードや獣医料の発展で、犬の寿命は延びています。健康で長生きするために心掛けたい事の一つにお口の健康があります。この記事では、お口の健康の大敵「歯周病」と歯みがきについて解説したいと思います。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

犬の健康寿命とデンタルケア

かわいい横顔の老犬

犬の健康寿命について考えたことはありますか?犬にとっての健康寿命とは「歩行や食事に介護が必要になるまでの期間」と言われています。支えがなくても歩くことができて、自分で食事が取れているということが、犬の健康を考える上でも大切だということです。

私は、動物看護師としてたくさんの老犬を見てきました。多くの犬は、立てなくなったり食べられなくなると一気に老化が進むように感じていました。

あなたのお家の犬は、食事を毎日の楽しみにしていませんか?そんな楽しい食事が出来なくなってしまう原因は様々ありますが、病気が原因であれば体調が改善すれば食事ができるようになるかもしれません。では、原因がお口にある場合はどうでしょうか。

私たちもお口が痛いときには、食欲がなくなってしまいます。お口が痛い時、つまり歯周病を起こしている時に、いつものご飯が食べられなくなってしまう犬は大勢います。3才以上の犬の約8割、高齢犬になるとほとんどの犬が歯周病を引き起こしています。

こんなに大勢の犬が患う、歯周病を防ぐためにはどうすればよいのでしょうか。

犬の歯肉炎・歯周病について

歯を見せる犬

歯肉炎は、歯垢や歯石の中にいる細菌が引き起こします。歯の隙間や歯周ポケットから入り込んだ細菌が、歯肉に炎症を起こします。この状態を「歯肉炎」。それがもっと進行すると歯や顎の骨が溶けてしまったり、周りの組織にも炎症が起こる「歯周病」となります。

歯肉炎・歯周病になってしまうと、歯茎の腫れや口臭・出血起こり、心臓や腎臓といった内臓にも悪影響が出ることが知られています。症状が進むと、歯茎が痩せて歯を支えられなくなったり、頬に膿が溜まってきたりします。こうなってしまうと食事が摂れなくなるだけではなく、他の内科疾患の原因にもなってしまいます。

お家の愛犬は、歯が汚れていたり口臭がしたりしていませんか?一見すると白い歯に見えても、歯周ポケットに歯石が溜まっていると歯周病は進行していきます。

犬のお口の健康を守るために

歯みがきする犬

犬が齢をとると、口臭がしたり歯石がついてしまうのは仕方がないことだと思ってはいませんか?犬も人と同じで、歯みがきをすることで歯肉炎・歯周病の予防ができます。ぜひ実践してみましょう。

歯ブラシを活用しよう

犬の歯みがきグッズは様々な種類が販売されています。「歯みがきガム」や「咬むオモチャ」は歯表面の汚れを取ってくれます。「指に巻いたガーゼ」で磨くのも同様です。表面の汚れが取れるので見た目には綺麗なのですが、これでは歯肉炎・歯周病の予防効果は期待できません。

一番効果があるのは何といっても「歯ブラシ」です。歯ブラシで磨くと歯と歯の間や歯周ポケットの汚れを取ることができます。早速歯みがきを試してみたくなるところですが、多くの犬は初めは歯ブラシをお口に入れるのを嫌がるでしょう。

歯磨きに慣れてもらおう

初めはお口の周りや中を触る練習から始めましょう。お口や歯に触れるようになったら、指にガーゼを巻いて歯を優しく磨いてみましょう。この時犬用歯みがき粉やペーストをつけて味にも慣れてもらいましょう。犬用の歯みがき粉やペーストは、犬が食べても問題ない成分で犬が好む味付けがされています。ここまでできるようになったら、やっと歯ブラシの登場です。

歯ブラシをいきなりお口に入れることはしません。まずは、乾いた歯ブラシで口の周りをマッサージしてあげてください。歯ブラシが気持ちいものだと知ってもらいましょう。これができるようになったらいよいよ歯を磨いていきます。慣れるまでは1日4~5本からでも構いません。少しずつ犬にとって無理のない範囲で行いましょう。

どの工程でも絶対に忘れてはならないことが2つあります。

①終わったら大げさに褒める

終わったら大袈裟なくらい褒めてあげてください。犬にとって歯みがきが楽しい時間になるよう工夫しましょう。

②「歯磨き嫌い」にならないようにする

2つ目は、犬が歯みがきを嫌いにならないようにするということです。犬が歯みがきは嫌なことだと認識しないようにしましょう。少しでも嫌がる様子があったら、早めに切り上げるといいでしょう。

これから子犬を飼う予定・お家の犬がまだ子犬の方は、早いうちから歯みがきを始めてあげてください。成犬・老犬から歯みがきを始めるよりもずっとスムーズに始められるはずです。成犬・老犬でも、飼い主が諦めずゆっくり慣れさせれば必ずできるようになります。以前6か月かけて、上手に歯みがきができるようになったご家庭も見たことがあります。大人になってから歯みがきを練習するのは、そのくらい時間がかかるかもしれないと覚えておいてください。

ついてしまった歯石をとるために

心電モニター

既についてしまった歯石は、歯みがきで取ることはできません。人間が歯科で歯石取りをしてもらうのと同様に、動物病院で取ってもらう必要があります。

犬の歯石取りは基本的には全身麻酔で行います。これは、犬のお口の中を傷つけないためと、犬が口を触られることを嫌がってしまわないようにという理由があります。歯石取りをしたことがある方は分かるかもしれませんが、歯周ポケットの中までしっかり綺麗にしようとするとどうしても痛みが生じます。ですが、歯周病を防ぐためには歯周ポケットの歯石を取らないわけにはいきません。このため動物病院では、少しでも痛みを軽減しながら無麻酔では届かないようなお口の隅々まで綺麗にするために、麻酔での処置を行っています。

まとめ

大きな骨に噛り付く犬

犬のお口の健康のために、お家でできる一番の対策「歯みがき」についてまとめました。

いたるところで「犬の健康の為に歯みがきを!」という呼びかけを見るようになりました。最も効果のある歯ブラシは犬と飼い主の絆と地道な努力なしにはできません。ぜひ、日々の触れ合いの中に歯みがきを取り入れて、愛犬が健康でいられる時間を延ばしましょう。

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