犬猫の約1/3が過体重か肥満という調査結果を発表
2016年にアメリカで飼われている約250万匹の犬と50万匹のネコを調査したところ、その1/3に当たる数の犬猫が過体重か肥満であることがわかりました。さらに、この10年間で太った犬の数は158パーセント増ということです。
このデータは、アメリカ42州で動物病院を経営しているBanfield Pet Hospitalが発表したもので、運営している975の動物病院にて診察した犬猫を対象に身体検査と目視検査が行われました。研究チームによる目視検査ではあばら骨の存在の確認、身体検査では触ったときにあばら骨の感触がすぐに得られず、腰のくびれを確認することも難しい場合「過体重」と判断。また、あばら骨の感触がまったく得られず、腰のくびれを少しも確認できない場合は「肥満」とみなしています。そして、飼い主の多くが自分の愛犬や愛猫が過体重であることを認識していなかったということも分かっています。
犬が肥満によるリスクとは?
犬でも人間でも肥満は体によくないとわかっている人が多数だと思いますが、犬が肥満である場合実際にはどのような問題が起こるのでしょうか?
まず、犬が肥満になると腰やひざ、股関節などの関節に大きな負担がかかりヘルニアや膝蓋骨脱臼、股関節形成不全などの関節トラブルを引き起こし悪化させる可能性が非常に高いとされています。そのため元々腰に負担のかかりやすい胴長のダックスフンドやコーギー、また関節にリスクを抱える犬の場合は肥満にならないよう獣医師から指導を受けることが多いと思います。
さらに体重が増加すると心臓に大きな負荷がかかったり、器官を圧迫したりして運動に支障をきたす場合も。肥満によって運動をしにくくなるとさらに肥満が進んでしまうという悪循環が生まれ、一度太るとなかなか痩せられないという状況に陥ることも少なくありません。肥満が食べすぎによるものであれば、糖尿病など人でいうところの生活習慣病のようなさまざまな病気を引き起こすこともあり時には命に関わる状態に陥ることもあると考えられています。
犬を肥満にさせないために出来ること
犬の体に多くのリスクを抱えさせてしまうことになる肥満は当然のことながら防ぎたいものです。犬のダイエットというのはとてもむずかしいため、太ってからダイエットするよりも太らせないための生活習慣をつけて肥満を予防することが大切です。
犬を肥満にさせないために大切なことはバランスが取れた適量の食事を与え、適度な運動を行うこと。言葉にしてしまえばとても簡単なことのようですが、この管理をしっかりと行うことが出来ないからこそ多くの犬が肥満になってしまっているのです。食事量を適切にするためには飼い主がコントロールすることはもちろんですが「過度に欲しがらないしつけ」をしておくことも重要です。人間が何かを食べている時「欲しい欲しい!」とおねだりをすることで「かわいそう、仕方ないな」と与えてしまうと、犬はその経験を元にさらに強い要求を行うようになります。人間の食事はねだってももらえない、という経験を積み重ねれば犬も必要以上に欲しがることがなくなり、お互いにストレスなく過ごすことが出来るでしょう。
また、適度な運動をすることも必要です。小型犬の場合、あまりお散歩が必要ないと考えている人もいるようですが体が小さいからこそ、しっかりと動いておかないと消費エネルギーが少なくすぐに太ってしまいます。また、お散歩に出ているつもりでも公園などで飼い主同士が立ち話ばかりしているようでは犬の運動量は増えませんのでしっかり歩くようにしましょう。運動が必要だからと言って、体の負担になるような走り込みやハードな運動は不要です。ゆっくりしっかりと時間をかけて歩くだけで犬には十分な運動となりますよ。
犬の肥満は飼い主の責任!しっかり管理しましょう
日本ヒルズ・コルゲート株式会社が全国の獣医師700名以上へのアンケートを行ったところ、日本の犬も肥満傾向にあると感じている獣医師が半数以上いるということが分かっています。また、すでに肥満とされる犬は全体の1~3割いるという回答が約半数得られています。私たち人間の食事も肉食化、欧米化する中で犬も同じように食生活が変化しアメリカ同様に肥満傾向が強くなる可能性も十分考えられます。
ここで記載したように、犬を肥満にさせないためにバランスの取れた食事と適切な運動を行うことが基本です。病気などを要因とした肥満以外であれば、その問題の多くは飼い主に責任があると思います。犬を肥満にしてさまざまなリスクや負担をかけてしまうことのないように、食事やおやつのコントロールをして、適度な運動を行うなどしっかりと生活の管理をするようにしましょう。
ユーザーのコメント
50代以上 男性 匿名
それにしても、アメリカ人の肥満への危機感の薄さは、ペットにも悪影響を及ぼしているのですね。