そもそも食事療法って?
食事療法とは、食事の量やバランスなどを調節することで、病気の悪化を防いだり、健康管理をはかることを意味しています。
この食事療法は、生活習慣病のリスクを押さえる際にも使われています。
そんな食事療法ですが、犬でも特に悪性リンパ腫において有効的に使われていることをご存知ですか?
ただ、食事療法といえど気をつけなければならない点はいくつもあります。
そんな食事療法は何を制限すればいいの?どんな食事を与えればいいの?といった5つのポイントを紹介します。
1.炭水化物制限
まず1つ目の食事療法のポイントは炭水化物を制限することです。
炭水化物は犬にとってもエネルギー源として重要な栄養素です。
特に、悪性リンパ腫はこの炭水化物を利用してエネルギーを得て成長してしまうのです。
なので、食事療法をしようと思ったらまずは炭水化物制限を行うといいでしょう。
2.脂肪分を抜かない
炭水化物の代わりにエネルギー源として与えるものは脂肪分です。
もともと犬は肉食動物なので、肉に含まれている脂肪分をエネルギーに変える代謝は人間であるわれわれより高いのです!
食事療法で炭水化物制限した代わりに脂肪分がしっかり含まれる食事を与えましょう。
3.オメガ3脂肪酸には注意!
ただ闇雲に食事療法だからと炭水化物制限をして脂肪分の高い食事に切り替えればいいというわけではありません。
脂肪分の中でも「オメガ3脂肪酸」という脂肪は抗腫瘍効果が高い脂肪酸です。
オメガ3脂肪酸は抗腫瘍効果があると言われています。特に、DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)は代表です。一方オメガ6脂肪酸(リノール酸、ガンマリノレン酸)は、腫瘍細胞の成長や転移を促進する可能性があります。脂肪酸の種類は様々ありますので、腫瘍の犬がサプリメントなどで摂取する場合は十分注意しましょう。
このオメガ3脂肪酸はニシンやサバなどの青魚、パセリやニンジンなどの緑黄色野菜に多く含まれています。
4.タンパク質は抜かないように!
三大栄養素のうち、炭水化物は制限して脂肪分は多く与えましょうと紹介しました。
では、たんぱく質は食事療法をする上でどれくらい与えればいいのでしょうか?
腫瘍を患った犬はがん細胞と宿主(犬自身のこと)の間でアミノ酸を取り合います。その結果たんぱく質が不足してしまいます。
たんぱく質というものは生物を構成しているといわれるくらいとても重要なものなので、たんぱく質不足はとても深刻な状態に陥る可能性があります。
それを補うためにアルギニンを多く含んだタンパク質を摂取する必要があります。
アルギニンは筋肉をつけるときや外傷を追った際にとても多く消費されるアミノ酸だからです。
ですので、高たんぱく質、脂肪分の多く含んだドッグフードを与えるようにしましょう!
5.食物繊維はしっかり摂りましょう!
食物繊維は腸を掃除してくれます。
腸の健康を維持するということは免疫力を維持するのにとても有効なものです。
腸は免疫細胞や、リンパ節が多く存在している臓器です。
そんな腸が健康ではない状態ということは、免疫低下につながり感染症などにもかかりやすくなってしまいます。
特にきのこやごぼうなどの食物繊維を多く含む食べ物を与え腸の健康維持をして免疫力を向上させましょう。
私の経験談
私が在籍している大学ではリンパ腫に罹った犬が多く居ます。
われわれ学生は治療や手術はできない代わりに、犬の世話をよくします。
私が面倒を見ていたダックスフンドの「タルト」は出会ったときにはすでに悪性リンパ腫の末期で、抗がん剤治療を行っていた犬でした。最初は私も食事に気を配らず、ただ作業的に餌を与えているだけでした。
しかし、下痢が長く続いたと同時にさまざまな感染症に罹ってしまいすごく弱っていたことを今でも覚えています。「末期だからだろう」と思っていましたが、教授に聞くと腸の調子が悪すぎると言われました。
その後、食物繊維を多く含んだ食事に切り替えると、3日後から下痢をしなくなり、感染症の症状もだんだんと和らいでいきました。
まとめ
今回は悪性リンパ腫において気をつける食事療法のポイントについて紹介しました。
1:炭水化物制限
2:脂肪分を抜かない
3:オメガ3脂肪酸には注意
4:たんぱく質は抜かないように!
5:食物繊維を与えよ!
食事療法をすれば愛犬を長生きさせることができるかもしれません。
今回ご紹介したポイントをしっかり抑え愛犬の食事に気をつけましょう。