犬がキスをしてくる理由とは?愛情表現だけじゃない意外な心理とリスク

犬がキスをしてくる理由とは?愛情表現だけじゃない意外な心理とリスク

犬がキスしてくるのは、愛情表現や要求などさまざまな理由がありますが、感染症のリスクも伴います。犬のキス行動の理由や注意点、やめさせるための適切なしつけ方法を解説し、安全な接し方を紹介します。

犬がキスしてくる理由

女性にキスしようとしている犬

犬が飼い主にキスをする行動にはさまざまな心理や目的が込められており、単なる愛情表現以上の意味が隠れています。

犬は言葉を使えないため、行動を通じて飼い主に気持ちを伝えようとします。その中でもキスは特にわかりやすい愛情表現のひとつです。その理由は、愛情の表れ以外にも、要求や敬意、さらには嗅覚による興味など、多岐にわたっています。

では、犬が飼い主にキスをする心理や目的について詳しく見ていきましょう。

愛情や信頼感を伝えるため

犬がキスをする最も一般的な理由は、飼い主への深い愛情や信頼を示すことです。犬の祖先である野生のオオカミが、群れの中で親愛の情を示すために仲間の体を舐め合った行動が、現代の犬にも受け継がれています。

特に、チワワやトイ・プードルなどの小型犬は飼い主に対する依存心が強く、このような行動が頻繁に見られます。

飼い主に何かを要求したいとき

犬は具体的な要求を伝える手段としてもキスを使います。例えば、お腹が空いたり、散歩に行きたい、遊んでほしいなど、自分の希望を伝えるために飼い主にキスをすることがあります。

特に柴犬などの知能が高い犬種は、過去にキスをした際に願いが叶った経験から、キスを効果的に使って要求を伝える傾向があります。

服従や敬意を示すための行動

犬のキスには、相手に対して敬意や服従を示す意図も含まれています。これは子犬が母犬の口元を舐める行動の延長であり、犬が飼い主を自分よりも上位の存在として認識していることを表しています。また、このような行動は「敵意がない」ということを伝えるための行動として、犬同士でもよく見られます。

子犬時代の行動パターンが残っている

子犬は母犬から食べ物をもらうために母犬の口元を舐めたり、兄弟犬とじゃれあって口元を舐めたりします。この行動パターンが成犬になっても残っていることがあり、飼い主に対しても子犬時代と同じ行動を取ることがあります。これは飼い主を家族や仲間として慕っている気持ちの現れです。

このように、犬が飼い主にキスをする理由には多くの背景があります。愛犬がキスしてきた際は、その前後の行動や表情にも注目すると、犬がどんな気持ちでいるのかより深く理解できるでしょう。

犬がキスしてくるときの危険性とリスク

女性と向き合って口を近づけ合う犬

犬のキスは愛らしい行動であり、多くの飼い主が喜びを感じますが、実は衛生面や健康面での注意が必要です。犬の口内には人間にとって有害な微生物が存在することがあり、特に免疫力の弱い人にはリスクが伴います。

犬からのキスで起こりうる健康面の問題や、どのような注意が必要かを理解しましょう。

細菌やウイルスによる健康被害

犬の口の中には、人間が通常接触しないような細菌やウイルスが多数存在します。特に、飼い主の体調がすぐれないときや免疫力が低下している場合には、普段は問題とならない細菌でも感染症を引き起こす可能性があります。

日常的に健康管理が徹底されている犬でも、口の中に有害な微生物を保有していることがありますので、常に注意が必要です。

アレルギー反応のリスク

犬の唾液には特定のタンパク質が含まれており、これがアレルゲンとなってアレルギー反応を引き起こす場合があります。これまで犬アレルギーの症状がなかった人でも、犬から頻繁にキスをされることで徐々にアレルゲンへの感受性が高まり、皮膚の痒みやじんましん、鼻水やくしゃみなどの症状が出ることもあります。

子どもや高齢者、免疫力の低下した人への影響

特に、小さな子どもやご高齢の方、病気治療中の方など免疫機能が未発達または低下している場合、犬の口内に存在する微生物に対して抵抗力が弱いため感染症やアレルギー反応が深刻化しやすい傾向にあります。このような場合、犬との接触の際には特に慎重に行い、直接のキスを避けるなど衛生的な配慮を徹底する必要があります。

犬とのスキンシップは飼い主との関係を深めるためにとても大切ですが、適度な距離を保つこと、犬との接触後に手洗いや顔を洗うなど、基本的な衛生管理を心がけることが、人間と犬が健康的に暮らしていくためには不可欠です。

犬のキスから感染する可能性のある病気

体調が悪そうな男の子と見守る犬

犬とのスキンシップは楽しく心温まるものですが、犬からのキスがきっかけで人間に感染する可能性がある病気も存在します。ここでは、犬のキスを通じて感染する可能性のある代表的な病気を取り上げ、その特徴と予防方法を簡単に解説します。

パスツレラ菌による感染症

パスツレラ菌は、犬や猫の口や気道に普段から存在している細菌です。健康な人にとって大きな問題になることは少ないものの、傷口や口の粘膜などを通じて体内に侵入すると、皮膚炎や腫れなどを引き起こすことがあります。

また、免疫力が弱っている場合には、重症化する可能性も指摘されています。犬との接触後は手洗いを励行し、小さな傷がある場合は直接キスを避けるなど注意が必要です。

カプノサイトファーガ菌による感染症

カプノサイトファーガ菌は犬や猫の口の中に常在する細菌であり、噛まれたり引っかかれたりすることで人に感染することがよく知られています。

まれにですが、唾液を介したキスによっても感染する可能性があり、特に免疫が低下している人は注意が必要です。この細菌による感染症は重症化すると深刻な症状を引き起こすことがあるため、日常的な衛生管理が大切です。

コリネバクテリウム・ウルセランス菌による感染症

この細菌は非常に稀なケースですが、犬などのペットから人間に感染する可能性があると報告されています。ジフテリアとよく似た症状を引き起こすことがあり、喉の痛みや咳、発熱などが代表的です。

発症は稀ですが、犬が健康そうに見えても菌を保有している可能性はゼロではありません。犬との過度な口元への接触を控え、日頃から衛生管理を行うことが重要です。

これらの病気に共通する予防策としては、犬との過度なキスを避けること、犬にキスされた後は顔や手をきちんと洗うことが挙げられます。犬とのふれあいは衛生的な注意を心がけ、安全に楽しみましょう。

犬のキスをやめさせたい!しつけ方法と注意点

犬を制止する人の手

愛犬からのキスは可愛らしい行動ですが、衛生面や家庭のルールによっては控えさせたいと考える方も多いでしょう。犬のキス行動を無理なくやめさせるためには、正しいしつけ方法と適切な注意点を理解しておくことが大切です。

無視することで徐々に行動を減らす

犬がキスをしてきた時に、その行動に反応しないという方法があります。具体的には、顔をそっと横に向けたり、その場を静かに離れたりして犬が望む「注目」を与えないようにします。すると犬は次第にキスという行動が望まれないことだと学習し、頻度を減らすようになります。

ただし、このときに感情的に怒ったり強く叱ったりすると逆効果になるため、穏やかな態度を心がけてください。

「おすわり」や「まて」など別の行動を指示する

犬がキスをしようとしたときに、「おすわり」「ふせ」「まて」などの基本的なコマンドを指示してみましょう。犬が指示に従った場合はすぐに優しく褒めてあげることがポイントです。このように、望ましくない行動を望ましい行動に置き換えることで、犬は徐々にキスをしなくても飼い主の注目を得られることを学びます。

家族全員で統一した対応を心がける

犬のしつけに最も重要なことは、一貫した態度を家族全員で示すことです。ある人は犬のキスを許し、別の人は拒否するというように、対応がバラバラだと犬は混乱します。事前に家族でルールを確認し、同じ態度で犬に接するようにしましょう。犬は一貫性があると理解が進みやすく、より効果的に望ましい行動を覚えます。

叱らず褒めることで行動を変える

犬のしつけにおいて最も効果的な方法は、良い行動をしたときにすぐ褒めて、犬の自己肯定感を高めてあげることです。褒めることで犬は自然と望ましい行動を繰り返すようになります。逆に、叱りつけたり怒鳴ったりする行為は犬との信頼関係を傷つける可能性があるため控えましょう。

このような方法を丁寧かつ根気強く続ければ、犬も徐々に理解を深めて、キス行動を望ましい形に変えていけるようになるでしょう。

まとめ

寝転ぶ女性にキスしている犬

犬が飼い主にキスをする理由には、愛情表現や要求、敬意などさまざまな気持ちが込められています。その愛らしい行動は絆を深める機会となりますが、犬の口内には人間にとって有害な細菌も存在するため、衛生的な注意が必要です。特に免疫力が低い子どもや高齢者、体調が優れない人は感染症のリスクが高まります。

キスを控えさせたい場合は、感情的に叱らず、無視や別の行動を促すなど一貫した方法で根気よく教えることが重要です。愛犬との健康的な暮らしのために、衛生管理を習慣づけて安全なスキンシップを心がけましょう。

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