犬がプラスチックを誤飲したときの症状
犬がプラスチックを誤飲してしまった時に、体に危険がせまっていた場合に現れやすい症状についてご紹介します。次のような症状が現れたら、愛犬の緊急事態を知らせるサインだと考えておきましょう。
- 「ヒューヒュー」と息苦しそうな呼吸音が聞こえる
- 舌が青紫色になっている
- 何度もえずくが何も出てこない
- よだれを大量にたらして呼吸が荒い
- 短時間で嘔吐をくり返す
- 嘔吐物から便のような臭いがする
- 元気や食欲がない(ぐったりして動けない)
- 便が小さく細い、いきむがまったく便が出てこない
- お腹が痛そうに体を丸める
- 伸びをするようなポーズ(お祈りポーズ)をくり返す
誤飲したプラスチックが愛犬の喉を塞ぎ、呼吸困難に陥っている時には、体に酸素がうまくめぐらず舌の色がピンク色から青紫色に変化するチアノーゼが起きます。
また、食道を塞いでいる場合、何とか詰まりをなくそうとえずくしぐさを繰り返します。
腸閉塞や腹膜炎が起きている場合、お腹の中で行き場がなくなった食べ物や便、ガスが逆流して何度も嘔吐したり、炎症による激しいお腹の痛みや発熱によって、犬の元気や食欲がガクッと落ちることがかなり多いはずです。
犬がプラスチックを誤飲したら消化できるの?
愛犬がプラスチック製品を誤飲したら、体内で消化できるものなのかという疑問を持つ飼い主さんもいますよね。結論から言うと、誤飲したプラスチックは犬の体内で消化することはできません。
ですが、ごく小さいサイズのプラスチックであれば、うんちと一緒に排泄されることはあります。しかし、子犬や小型犬などの場合は、小さく感じるプラスチックであっても、危険な状態に陥ることがあるため注意が必要です。
犬がプラスチックを誤飲した場合に考えられる病気
愛犬がプラスチックを誤飲してしまうと、飲み込んだ時のサイズや形状によっては命の危険に陥ることがあります。次のようなケースでは早急な対応が求められるため、プラスチック誤飲による危険性をきちんと知っておきましょう。
気道閉塞(きどうへいそく)
誤飲したプラスチックが空気の通り道である気道部分でひっかかってしまい、塞いでしまっている状態です。すぐに対処しなければ窒息死してしまう恐れがあるため非常に危険です。
食道閉塞(しょくどうへいそく)
口から入った物は食道を通り、胃に到達しますが、誤飲したプラスチックのサイズが大きすぎるあまり、食道を通過できずつっかえてしまうことがあります。これが食道閉塞です。
そのまま放置してしまうと何も食べられず、衰弱してしまうので、早急な処置が必要になります。
腸閉塞(ちょうへいそく)
腸閉塞は、胃に入ったプラスチックが犬の小腸や大腸にまで流れてしまい、腸の内部を塞いでしまっている状態を指します。
この状態を放置してしまうと、食べ物や便、腸内ガスの通過障害が起こって腸の血流が悪くなり、最悪の場合ショック状態により死に至ります。
腹膜炎(ふくまくえん)
犬がプラスチックを噛み砕いたせいで誤飲した破片に鋭い先端ができてしまったり、腸閉塞によって腸が壊死してしまうと、腸が破れて中にあったものがお腹の中に漏れ出てしまうことがあります。
すると、お腹に漏れ出た便や食べ物が刺激になったり、二次的な細菌感染が起きることによって、腹膜炎になってしまいます。腹膜炎への治療が遅れるほど、敗血症などにより犬が死に至る危険が高くなります。
犬がプラスチックを誤飲したときの対処法
愛犬がプラスチックを誤飲したかもしれないという状況に陥った際には、様子を見ずにきちんと対処してあげることが重要です。
動物病院に連絡・相談する
どんな大きさ・形状のプラスチックであっても、愛犬が誤飲した場合はまずはかかりつけの動物病院へ連絡し、相談しましょう。
特に呼吸ができなくなっている時などは緊急事態です。その場でできる緊急対処の方法を尋ねてください。下記のように曖昧な場合も、念のため相談してみることをおすすめします。
「愛犬がプラスチックを誤飲したかどうかはっきりしない」
「誤飲したけれどうんちとして出てこない。それでも元気と食欲はある」
危険性が高い症状が現れていなくても、胃の中に入ってしばらくしてから異変が起きることもあるので、早めに診断・処置してもらうに越したことはありません。
中には念のため連れてきてくださいと言われることもありますので、そのように指示されたら獣医さんに従い、病院へ連れて行きましょう。
自宅で無理に吐かせようとしない!
何か異物を誤飲してしまった際、物によっては飼い主が吐かせるというような話もありますが、プラスチックの場合は無理に吐かせようとすると、破片の先端が体内を傷つけてしまう恐れがあるため非常に危険です。
また、途中まで上がってきたものの喉元で留まってしまい、気道が塞がる恐れもあります。自宅での無理な対処はさらなるリスクを生み出す恐れがありますので、必ず獣医さんにお願いしましょう。
ただし、窒息しかけている場合は飼い主さんが応急処置を行う必要があります。下記を参考にして気道の確保を行ってください。
参考文献:【応急処置法】ペットが窒息!あなたが救うパートナーの生命 | FRIDAYデジタル
動物病院に連れていく
愛犬を動物病院に連れていく時には、下記の情報を整理しておくと、診察がスムーズに進みます。
- いつ誤飲したのか(誤飲した可能性があるのか)
- どんなプラスチック製品を誤飲したのか(できれば残骸の写真も)
- どれくらいの大きさ・量を誤飲したのか
- 誤飲してから愛犬の様子に変化はあるか
動物病院に行く際は、まず事前に電話をしておきましょう。病院によっては機材が揃っておらず、緊急の場合は適切な治療ができないこともあるため、他の動物病院を勧めてもらえることもあります。
そして病院に行く際には、どのような物を誤飲してしまった可能性があるのかを説明するために、同じ物や飲み込んだものの残骸があるなら実物を、写真があるのであれば写真を持って行き、実際に獣医さんに見てもらいましょう。
治療内容
飲み込んだプラスチックの形状や大きさなどにより処置方法は異なりますが、誤飲したものが小さい場合はうんちと一緒に排泄される可能性があるため、高繊維食(食物繊維を多く含む食事)を摂取させることで排便を促し観察することもあります。
しかし、誤飲したプラスチックが大きい場合は、下記の処置を行うことが多いと思われます。
・催吐処置
(薬剤を投与してわざと吐かせる処置)
・全身麻酔下の内視鏡で摘出
・開腹手術
(腸閉塞や腹膜炎を引き起こしている場合など)
犬がプラスチックを噛み砕きながら誤飲して、破片がかなり鋭くなっている場合は、吐かせる処置で食道や胃の粘膜が傷つく危険もあるため、最初から内視鏡や手術による摘出が試される場合もあります。
また、腸閉塞や腹膜炎を引き起こしているために手術を行う時には、壊死した腸を切除したり、感染対策や体力の回復のための入院が長引くなど、かなり大掛かりな治療になることも覚悟しておかなければいけません。
プラスチックはレントゲンに写らない?
動物病院へ連れて行けば、レントゲンを撮り、誤飲したプラスチックが愛犬の体の中で悪影響を及ぼしていないかを診てもらうことが多いです。
ただし残念ながらプラスチックはレントゲンにはっきりと写らないことも多いため、異常がありそうであれば超音波エコー検査なども併せて、愛犬のお腹の中の状態を診断してくれるでしょう。
犬が誤飲しやすいプラスチック製品
食べ物でもないのに「犬がプラスチックを誤飲することがあるの?」という疑問を持たれる飼い主さんも多いでしょう。しかし実際に、プラスチック製の物を誤飲してしまう犬はかなりいるのです。
- ペットボトルのキャップ
- ビニールの袋
- ボタン
- 食品トレーやお菓子の袋
あくまでおもちゃとして遊んでいたり、飼い主さんが落としてしまった際に思わず誤飲してしまったという事故が多いです。
また、嗅覚が鋭いばかりに、たとえゴミであってもおいしそうな匂いを感じ取って、食べ物の容器包装に使われるプラスチック製品を食べてしまうこともあります。
犬にプラスチックを誤飲させないための対策
プラスチック製品に限らず、犬の誤飲を予防するためには、犬の口が届く場所はもちろん、犬から見える場所に誤飲しそうな物を置きっ放しにすることは避けましょう。犬は私たち飼い主が思いもよらない物で遊んだり、口に入れて確かめようとするからです。
また、少し高い場所であっても、人間の想像を超えた力(ジャンプ力など)を発揮し、手に入れてしまうことがあります。誤飲も怖いですが、ジャンプ時に家具や床に激突して怪我をしてしまう恐れもあるので注意が必要です。
他にも、愛犬が入れない場所にゴミ箱を設置したり、プラスチック製のおもちゃは与えっぱなしにせず飼い主さんが見ている時だけ使用するといった対策も行っておきましょう。
まとめ
犬は私たちが想像しない物を口に入れ、遊んだり確かめようとする習性があります。プラスチックはもちろん、異物を誤飲してしまうと愛犬の命に関わる事態を招く原因になるので、この機会に愛犬にとって危険な物が手の届く範囲に置かれていないかを確認してみましょう。
そして、万が一プラスチックを誤飲してしまったなら、獣医さんにきちんと判断を仰いで、正しい対処をしてあげることが大切です。