犬の「お祈りポーズ」というものをご存知でしょうか?愛犬の健康管理のために、ぜひ知っておきたい重要なボディランゲージのひとつです。
この記事ではお祈りポーズの意味や観察のポイントなどをご紹介したいと思います。
犬の「お祈りポーズ」とは?
さて、この「お祈りポーズ」。具体的には頭を低く下げて、前脚の肘を床につけ、体を弓なりにしてお尻を高く上げるストレッチのようなポーズです。
聞いたことはあっても実際に見たことはないという方は幸運です。なぜなら、このポーズは犬が強い痛みを感じている時にとる姿勢だからです。腹部に何らかの痛みがある時にとられることが多いのですが、この姿勢をとると内臓が圧迫されず、腹痛が少し楽になるそうです。
腹部の痛みの他には、脊髄からくる背中の痛みを感じる時にもこの姿勢をとることがあります。
こちらは急性の腹痛で診察を受ける際にお祈りポーズをしている犬の動画です。参考にご覧ください。
犬は痛みを我慢する生き物
犬は人間よりもずっと痛みに強い生き物です。また野生時代の名残で、外敵から身を守るために弱みを見せないように痛みを隠す習性があります。
そんな痛みを我慢する犬がこのお祈りポーズを見せるということは、かなり深刻に痛みを感じていると考えられます。
こんな病気を我慢しているかも
胃腸炎や異物誤飲などの消化器系・尿管結石などの泌尿器系・子宮蓄膿症などの生殖器系の病気など腹部の内臓の疾患、また稀には脊髄に障害がある可能性もありますので、様子を見ようとはせずに早急に病院で診察を受けることが必要です。特にお祈りポーズが現れる代表的な疾患には慢性と急性の膵炎があり、この場合早期の治療がとても重要です。
胃の辺りが膨張しているような感じがあれば胃拡張胃捻転の恐れもあり、この場合は一刻を争って病院で治療を受けなくては命に関わります。
ポーズの他に食欲不振、嘔吐、下痢、発熱などの症状がないか、変わったものを食べていないかもチェックしてください。獣医さんに伝える情報が正確で多いほど、原因を突き止め易くなります。心配だけれど落ち着いて獣医さんに伝えられるようにしておきましょう。
お祈りポーズだけが痛みを我慢している姿勢ではない
また、上記のような疾患でもお祈りポーズをとらずに「背中を丸める」「横たわる」「すみっこでうずくまる」という姿勢をとる子もいます。お祈りポーズをしていないから症状が軽いというわけではないことも注意してください。
「プレイバウ」との見分け方
お祈りポーズの説明を読まれて「プレイバウと似てる」と印象を持った方もいるかもしれません。
プレイバウというのは犬同士が出会った時に「遊ぼう!」と敵意がないことを示す挨拶のポーズで、やはり頭を下げてお尻を高く上げる姿勢をとります。
体の姿勢だけで言えばお祈りポーズとプレイバウはほとんど同じなのですが、その意味するところは全くの逆ですので、見分け方を整理しておきましょう。
プレイバウとの違い
目線の違い
プレイバウは挨拶する対象に顔や目線を向けていますが、お祈りポーズは目の前に対象がいませんので目線が定まらなかったり、下を向いていたりします。犬によっては床に顔を押し付けていたりすることもあります。
尻尾の違い
プレイバウは興奮して嬉しそうに尻尾をブンブン振っている場合が多いですが、お祈りポーズでは尻尾は振りません。怯えた時のように脚の間に入っていることもあります。
表情の違い
プレイバウは明るく元気でいかにも楽しそうな表情をしていますが、お祈りポーズは顔がこわばっていたり、痛みに耐えている表情になります。
雰囲気の違い
抽象的な表現なのですが、プレイバウは体全体から楽しい雰囲気がみなぎっていますが、お祈りポーズは黙々とこのポーズをとり続けたり、休んでは繰り返したりします。
犬が痛みを感じている時の行動
他にプレイバウとの違いとしては、下記のような犬が痛みを感じている時の特徴的な様子が見られることもあります。
- ガタガタと小刻みに震えている
- 呼吸がハッハッと浅く早くなっている
- 抱っこや体に触られるのを嫌がる
愛犬が遊び相手もいないのにこのポーズを取っていたら、「一人遊びかな」などと見過ごさずにしっかりと他の部分も観察して対応してあげてくださいね。
まとめ
その可愛らしい名前や微笑ましいプレイバウとよく似た姿勢など、知らないでいるとその深刻さを見過ごしてしまうかもしれないお祈りポーズ。痛みを我慢する習性のある犬が体全体で痛みを訴える重要なサインであることがお分かりいただけたかと思います。
ポーズ以外の部分でも、表情や体の震え、尻尾の様子などからもいち早く愛犬の異変を察知できるようにしておきたいものです。急性膵炎など、重篤な病気の症状であることもありますので、愛犬がこの姿勢を見せたら、すぐに獣医師の診察を受けましょう。
言葉で訴えることのできない愛犬が全身で伝えてくれる大切な病気のサイン、見逃さずに適切に対応してあげたいですものね。
ユーザーのコメント
女性 UME
30代 女性 りん
40代 女性 サンデー
気持ちが悪かったり、お腹が痛かったり、犬が体調を悪くしていることに気が付くときには、それがいったいいつからなのかが分からず毎回「気が付いてあげられなくてごめんね」と懺悔します。こういうときだけは、犬がしゃべれないということを痛感します。いつもはなんとなく伝えたいことは分かってあげられているつもりなのですが。
どこがどう痛いのか、具合が悪いのか、想像しかできませんもんね。愛犬の不調を見逃さないように、飼い主として最低限の知識を持っていなくてはと考えています。
40代 女性 悟空
30代 女性 はる
50代以上 男性 匿名