狼犬の値段
狼犬の子犬の値段は、50万円前後が相場のようです。購入ルートやブリーダーによっても差がありますが、狼犬は狼の血が濃いほど高額になる傾向にあります。良質な血統の場合、100万円以上の値段がつく個体もあるようです。
狼犬ブリーダー
狼犬はペットショップには出回らないため、狼犬専門のブリーダーを探すことになります。しかし、狼犬専門のブリーダーは日本には少なく、常に子犬がいるわけではないので見つけるのはやや困難です。販売先が見つかった場合は、予約が可能か確認してみると良いでしょう。稀に里親募集のサイトにも出されていることもありますが、あまり現実的ではないでしょう。日本国内で狼犬が見つからない場合は、輸入代行者に依頼し、海外から取り寄せるという方法もあるようです。
日本で販売されている狼犬について
日本国内で購入出来るのは「ハイブリットウルフドッグ」です。サーロス・ウルフホンドとチェコスロバキアンウルフドッグは、日本では販売されていません。ハイブリッドウルフドッグとは、わずかでも狼犬の血が入っている犬の呼び名で、明確な定義がないのが現状です。正式な狼犬を飼いたい場合は、海外から入手するということになります。
狼犬は危険?
狼犬は、いつ野生の気質が出るかわからないという、多少危険な一面があります。日本国内では、2015年に狼犬4頭が管理者の女性を噛んで死亡させた事件も起きています。知能が高く独立心も強い狼犬は、熟練のブリーダーやトレーナーでも懐くまでに時間がかかります。しつけは容易ではなく、一般の愛玩犬や家庭犬とは異なる、特殊な犬種と言えるでしょう。
狼犬を飼う前に確認すべきこと
狼犬は地域によっては「特定犬種」に該当する場合がありますので、飼育する際には各自治体の条例を確認しましょう。例えば茨城県では、下記のような犬を特定犬と指定しています。
- 人に危害を加えるおそれのあるものとして定める8犬種(土佐犬、ドーベルマン、ジャー マンシェパードなどの8犬種)
- 体高60cmかつ体長70cm以上の犬(雑種含む)
- その他県知事が指定した犬
これらに該当した特定犬は、「茨城県動物の愛護及び管理に関する条例」で定められた飼育規定に従わなくてはなりません。規定には「必ず檻の中で飼う」などの、いくつか条件があります。茨城県の条例に当てはめて考えた場合、狼犬は指定の8犬種には属しませんが、大きさで考えた時に条例に該当する可能性があります。狼犬を飼う前には、まずは自分の地域の条例内容を確認しましょう。
狼犬(ウルフドッグ)とは?
狼犬とは、シベリアンハスキーやシェパードなどの犬と狼を交配させた犬種を指します。英語圏では「ウルフドッグ」「ウルフハイブリッド」と呼ばれています。中でも、狼の血統を75%以上受け継いでいる個体は「ハイパーセント」と言い、狼犬の愛好家の中では特に人気があります。
狼犬の種類
サーロス・ウルフホンド
オランダ原産の狼とジャーマンシェパードの交配で誕生した狼犬です。均整の取れた姿で身体能力も高く、狼犬の中で最も人気があります。ドッグスポーツやショードッグでも注目されているので、目にする機会が多い狼犬と言えるでしょう。
大きさと体の特徴
- 体重:36kg~41kg
- 体高:60cm~75cm
サーロス・ウルフホンドの大きさは大型犬に分類されています。引き締まった筋肉質の体格をしており、ふさふさの垂れ尾が特徴の狼犬です。精悍な顔立ちにジャーマンシェパードのような立ち耳で、犬と狼の中間と言えるような容姿をしています。
被毛の特徴
被毛は狼犬らしい薄いグレーのウルフカラーで、首元から胸部にかけた白い毛に特徴があります。ショートコートで、被毛の密度が大変高いです。
チェコスロバキアン・ウルフドッグ
1950年代に、チェコとスロバキアの共同作出により誕生した狼犬です。身体能力が高く、比較的大人しい性質のカルパティアオオカミと、ジャーマンシェパードを交配させました。ジャーマンシェパードの血統を強めに交配させ、野生の気質を抑えることで、家庭でも飼育しやすい狼犬になっています。外見は狼を強く受け継いでいるためワイルドな印象で、サーロス・ウルフホンドに並ぶ人気の狼犬です。
大きさと体の特徴
- 体重:20kg~26kg
- 体高:60cm~65cm
チェコスロバキアン・ウルフドッグは大型犬に分類されますが、サーロス・ウルフホンドに比べ、やや小型の狼犬になります。外見はかなり狼に近く、脚長で体高も高めです。
被毛の特徴
チェコスロバキアン・ウルフドッグは、グレー寄りの黒と薄茶色を基調とした毛色が特徴です。狼犬の中でも、ジャーマンシェパードに近い毛色を持つ犬と言われています。ダブルコートで、毛量も冬と夏に大きな差があるようです。
クンミング・ウルフドッグ
クンミング・ウルフドッグは、中国の雲南省昆明市で軍用犬、警察犬用として作出された犬です。狼犬の中では最も新しく、狼と優秀な警察犬、ジャーマンシェパードなどを交配させて誕生したと言われています。しかし、詳しいことは国家機密として全く公表されていません。2008年に開催された北京オリンピックで雲南省の警備に使われ、徐々に知名度が上がってきました。
大きさと体の特徴
- 体重:30kg~38kg
- 体高:64cm~68cm
サーロス・ウルフホンドとチェコスロバキアン・ウルフドッグの中間くらいの大きさで、大型犬に分類されます。外見はジャーマンシェパードによく似ていますが、体高はクンミング・ウルフドッグの方が少し高めで、マズルも長いです。ほかの狼犬同様、立ち耳で垂れ尾をしています。
被毛の特徴
毛質は短毛かつ直毛のスムースコートで、ほかの狼犬同様、密集度の高い被毛です。毛色はジャーマンシェパードに似たウルフカラーで、黒が多めの個体や白が多めの個体など、さまざまなタイプがいます。
狼犬の性格
- 視覚、嗅覚が鋭いため、強い警戒心がある
- 慎重で神経がとても過敏
- 家族には愛情深く優しい
狼犬は狼の野生的な気質があるので、視覚、嗅覚が鋭く強い警戒心を持っています。敵から身を守るため常に慎重で、神経はとても過敏です。一方で犬の特性も兼ね添えているので、家族には愛情深く優しく接し、飼い主に甘えるかわいい一面もあります。狼犬は、狼の野生気質がいつ出るかわからないという特性があります。気質の強さには個体差があるので、家庭で飼う他の動物や子供との同居は注意が必要です。
男性 20代
狼犬と暮らしてます。うちの子の場合、狼の血は非常に濃いのですが、基本的に犬と変わりませんでした。(当然、個体差はあると思います)狼がもともと人間の生活にも馴染めるほどの適応力をもった動物であったがために、人間の最良のパートナーである犬に進化したのだと思います。
狼犬の寿命
- 狼犬の寿命:10年~12年程度
日本で飼育されている狼犬の寿命は、10~12年程度です。しかし、国内の狼犬はカナダから輸入される雑種犬なので、狼犬としての正確な寿命ははっきりしていません。正式な狼犬の寿命は、アメリカのデータによると8年前後と言われています。
狼犬の飼い方
飼育環境
- 広い敷地が必要(1頭当たりで30m2以上)
- 2~3m以上の高さの柵を設置する
野生の血が強い狼犬は運動量がかなり多いので、広い庭が必要になります。存分に走り回るためには、1頭当たりで30m2以上の敷地が理想です。また、狼犬は並外れた跳躍力があるので、低い柵は簡単に跳び超えてしまいます。柵は2~3m以上の高さで設置しなくてはなりません。
運動
- 1日3時間以上の運動量が必要
狼犬は普通の犬種と違うため、運動量は1日3時間以上必要になります。狭い敷地で飼育すると、運動不足からストレスを感じ攻撃性が強く出るので危険です。狼犬が満足するだけの運動や散歩をさせてあげられるかが、狼犬を飼う際の大事な条件になります。
餌
- 食事量はとても多い。
餌代は毎月20万~30万円程度といわれている - 主食は、鹿肉や羊肉などの生肉。
もしくは、カルシウムの配合率が高めのドッグフード
狼犬は体が大きく食事量が多いので、餌代は毎月20万~30万円程度かかると言われています。主食は鹿肉や羊肉などの生肉ですが、ドッグフードで大丈夫です。しかし狼犬は体質が肉食寄りなため、個体によってはドッグフードを消化しにくい犬もいます。運動量の多い狼犬には、カルシウムの配合率が高めのドッグフードが適しています。肥満になると股関節や脊椎などの病気になりやすいので、低コレステロールで栄養バランスがとれる餌を用意してあげましょう。
狼犬のしつけ
信頼関係を築くことが重要
野生の血が濃い狼犬と暮らすためには、飼い主さんと信頼関係をしっかり築き、関係性をはっきりさせておく必要があります。狼犬は集団で行動し、リーダーに従いながら生きてきました。飼い主さんが狼犬にとっての信頼できるリーダーになることが、良好な生活を送る鍵になります。
社会性を身につけさせる
警戒心が強く内向的な狼犬には、子犬期のうちに社会性を身に着けさせることが大切です。生後3週~16週の間に多くの人や犬に関わらせ、社会化訓練を行いましょう
根気よくしつける、初心者には難しい
狼犬はしつけが難しく、根気が必要です。犬のしつけの経験が豊富な中級者、上級者向けの犬と言われているので、初心者にはおすすめできません。それでも狼犬を飼いたい場合は、飼い主さんに的確なアドバイスをくれるトレーナーさんと共に、繰り返ししつけることが大切です。
散歩は周囲に注意する
狼犬は、ほかの犬や車などからは一定の距離を保ちながら散歩させてください。神経過敏で、警戒心もある狼犬は、散歩中に他の犬や人に向かって吠えることも少なくありません。力も強いので飼い主さんが引っ張られて、制止できなくなることもあります。飛びかかったり、咬みついたりする可能性が高い犬種なので、散歩する時は十分注意しましょう。
まとめ
狼犬は野生味に溢れるかっこいい犬ですが、ペットとしては上級者向けと言えるでしょう。ほかの犬よりも注意が必要で、飼育が大変なことも事実です。飼いたいと思っている方は、まずはドッグショーに出向くなどして、狼犬に詳しい方から直接お話を伺うことをおすすめします。飼うための注意点、危険性、苦労話など、全てを聞いたうえで、飼育する覚悟を持てるかどうか、考えてみてみましょう。狼犬は一度信頼関係を築ければ、終生最良のパートナーとして寄り添ってくれる魅力的な犬です。希少な犬なので、狼犬を家族として迎えたいと考えている方は、しっかりと情報収集して、家族全員が覚悟を持って迎え入れるようにしましょう。