犬の歯と人間の歯の違いは?
愛犬があくびをした時やご飯を食べている時、または夏の暑い時期にパンティング(喘ぎ呼吸)をしている時など、愛犬の歯を見る機会は多いと思います。そんな時、犬の歯と人間の歯が全く違う事に気付きませんか?
人間の歯は成人ですと親知らずを含めて32本になり、歯の形は臼の様な形で、これは食べ物をすり潰すためにこの様な形をしています。それに対して、犬の歯は成犬で42本と、人間より10本も多くなり、また歯の形状も全然違います。
犬は人間と出会う前は完全な肉食動物として生きて来ましたので、主として肉を切り裂いたり噛み砕いたりする事に適した歯の形になっています。具体的に言いますと、ちょうどハサミで紙を切る様に、間に挟んだ肉を切り裂きます。
ですので、犬は上顎の第四前臼歯と下顎の第一後臼歯は特に大きく、肉を切り裂くのに適した歯に作られています。
犬の歯の種類と構造
犬の歯には、下記の4種類があり、それぞれ役割が違います。
- 門歯(もんし)
- 犬歯(けんし)
- 前臼歯(ぜんきゅうし)
- 後臼歯(こうきゅうし)
門歯(もんし)は『切歯』とも言い、数は上6本と下6本の計12本で、これらの歯は食物を噛み切る役割をします。
犬歯(けんし)は上2本と下2本の計4本で、これらの歯は食物や獲物を固定する役割をします。
前臼歯(ぜんきゅうし)は上8本と下8本の計16本あり、こちらの歯は物を切ったり固定したりする役割をします。
後臼歯(こうきゅうし)は上4本と下6本の計10本で、これらの歯は物をすり潰す役割をしますが、かなり退化しています 。
これら歯の噛み合わせや歯並びが悪いと、将来的に高い確率で歯周病になります。そのため、そう言ったワンちゃんを家族として迎えるには、歯に関するトラブルをある程度は覚悟しておきましょう。
愛犬を歯の病気にしない様に日頃から歯磨きをして口腔ケアすると、歯のトラブルとそれ以外のお口トラブルのリスク軽減に繋がるでしょう。
犬の噛み合わせや歯並びが悪いとどうなるの?
歯のかみ合わせが悪い、歯並びが悪いと、歯が当たって痛みを生じている場合もあります。犬は口の中に痛みを感じると、ご飯を食べなくなるケースが多々あるとされています。ですので、犬は噛み合わせや歯並びが悪いと体調が悪くなると言われています。もし愛犬の噛み合わせや歯並びなどの不具合を発見したら、早めの治療、矯正が必要になります。
恐らくほとんどの飼い主さんが、『犬の歯の噛み合わせ』と聞いてもピンと来ないのではないでしょうか。
通常は犬が口を閉じた際、歯の上下が僅かに重なりますが、稀に噛み合わせの悪い犬がいます。これをそれぞれ『オーバーショット』と『アンダーショット』呼びます。
オーバーショットは犬の上歯が下歯よりも少し前に出ている状態で、これが人間で言う【出っ歯】の様な噛み合わせになります。次にアンダーショットですが、オーバーショットとは逆に下歯が上歯よりも前に出ている噛み合わせになります。
犬のオーバー・アンダーショットの影響としては、ご飯食べる時に口から零れてしまうため、上手く食べられない事があります。しかし軽度であれば食べるのに支障はありません。
犬が歯周病になりやすい理由と危険性
犬の歯は結構密集して生えていますので、歯と歯の間隔が狭くなっています。そのため歯周病になり易いのです。特にペットとして人と暮らすようになった犬は、口腔系の病気に掛かるリスクが多い様ですので、少しでもリスクを軽減させる様に、愛犬の歯の状態などをチェックしてあげて下さいね。
犬が歯周病になる原因
- 不十分な口腔衛生
- 犬種(小型や短頭犬など)
- 年齢(老化)
また、シニア犬の8割が歯周病に掛かるとされています。犬は年齢と共に歯垢・歯石も溜まりやすくなり、抵抗力が落ちて行くことから細菌の感染リスクが高くなって歯周病に掛かってしまいます。
またシニア犬以外にも、歯垢が溜まり易い小型犬や短頭種に歯周病が多く見られます。
歯周病が悪化した時の危険性
犬の歯周病が悪化すると、歯が抜け落ちたり感染症を引き起こす可能性があります。 そして更に悪化すると、犬種によっては下顎の骨が薄くなって、そこに何らかの力が加わると『骨折』してしまうケースもあるそうです。
因みに歯周病による下顎骨骨折を起こし易い犬種は、
- チワワ
- ヨークシャーテリア
- トイプードル
などです。
歯周病が原因で起きる犬の病気
最初は比較的症状が軽い歯肉炎から始まって、進行すると歯周病になります。歯周病が更に進むと、その先は非常に怖いことが待ち構えています。
⇓
食事の際に痛がり歯を気にする
⇓
くしゃみ、鼻水、鼻血が出る
⇓
顔が腫れて皮膚が破れ膿が出る
犬の歯周病がここまで進行すると、麻酔を掛けての抜歯が必要になります。この状態が『根尖膿瘍(こんせんのうよう)』という非常に怖い病気です。
根尖膿瘍とは、歯の根である根尖部やその周辺に化膿性炎症が起きて膿の袋が形成される事で、この病気は比較的シニア犬に多いとされています。※ 犬の根尖膿瘍の詳しい情報:http://www.apricot-ah.jp/blog/2016/06/post-1-259404.html
この状態から更に悪化すると、菌が増殖して炎症を起こし、犬の歯肉が膨らんで来ます。そののち徐々に下顎の骨が薄くなり下顎を骨折してしまいます。
最終的には心臓、腎臓、肝臓などが侵されて、犬の命に関わる程の全身性疾患に見舞われる場合があります。
そうならない様に、日頃から歯磨きなどをしてオーラルケアを怠らない事が最も大切です。
まとめ
『芸能人は歯が命』と言うCMが以前放送されていたのを憶えていますか?実は、犬も歯が命なのです。歯磨きなどのオーラルケアを怠ると最後は怖い病気が待っています。
たとえお口にトラブルがあっても、犬は自分で訴える事が出来ません。大切な愛犬を口腔系の病気にさせないためには、毎食後に歯を磨いてお口のケアしてあげる事です。
もし犬がお口のトラブルになってしまったら、飼い主さんが早く気づいてあげなければなりません。そのためには愛犬の口の中や仕草に注意しましょう。普段から行動や仕草を良く観察し、気になる事があれば早めに動物病に行って診てもらう様にして下さい。
因みに我が家では毎食後(1日2回)、ペット用ウェットティッシュで愛犬の歯を磨いてやっています。少し嫌そうな顔をしますが、そんな事お構いなしで『ゴシゴシ』やります。そして2ヶ月に1度、体重測定を兼ねて動物病院で歯のチェックをしてもらっています。
愛犬に痛い思いをさせたら可哀想です。万が一、それが原因で愛犬の命を奪う様な事にでもなってしまったら、罪の意識が頭から離れずに生きて行く事になります。
『たかが犬の歯くらいで』などと侮らずに、真剣に向き合って行きましょう。
ユーザーのコメント
女性 もふころ
ですが、歯並びを検査した際、歯垢や歯石に注意しなくてはいけないと言われたので、定期的に口内チェックしています。歯茎を強くするため、少し硬めなおやつもいいそうですよ。