犬がティッシュを食べた!危険性や対処法・やめさせるコツまで解説

犬がティッシュを食べた!危険性や対処法・やめさせるコツまで解説

犬がティッシュを誤食すると、腸閉塞や窒息などの危険性があります。なぜティッシュを食べてしまうのか、その理由を理解し、誤食直後の適切な対応や日頃からの予防方法を実践することで、愛犬を守ることが大切です。

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記事の監修

麻布大学獣医学部獣医学科卒業後、神奈川県内の動物病院にて勤務。獣医師の電話相談窓口やペットショップの巡回を経て、横浜市に自身の動物病院を開院。開院後、ASC永田の皮膚科塾を修了。皮膚科や小児科、産科分野に興味があり、日々の診療で力を入れさせていただいています。

犬がティッシュを食べても大丈夫?

ティッシュの箱

犬がティッシュペーパー(以下、ティッシュ)を食べてしまう行動は、飼い主さんにとって心配の種です。結論から申し上げると、犬がティッシュを食べることには一定のリスクがあります。

少量なら便と一緒に排出される場合もありますが、誤食した量やティッシュの種類、犬の体格や体質によっては、消化器系のトラブルや、場合によっては命に関わる深刻な事態を引き起こす可能性もあります。

ティッシュは犬が消化できるものではないため、胃や腸で詰まってしまうことがあります。特に日常的にティッシュを口にする場合は、何らかの健康上や心理的な問題の兆候かもしれません。飼い主は注意深く愛犬の行動を観察し、異常があれば早めに獣医師へ相談することが重要です。

犬がティッシュを食べる主な理由

叱られている犬

愛犬がなぜティッシュを食べてしまうのか、その理由を理解することは対策を立てる上で非常に重要です。主な理由として、次の5つが挙げられます。

ストレスや退屈による誤食

犬もストレスや退屈を感じると問題行動を起こすことがあります。留守番が多かったり運動不足だったりすると、ティッシュを破壊して食べることで欲求不満を解消しようとします。犬は本能的に探索や狩りを好むため、ティッシュを引き裂く行為がその本能のはけ口になっている場合があります。

食べ物の匂いが残っている

使用済みティッシュには食べ物の匂いが付着することがあります。犬の嗅覚は非常に鋭いため、人間には感じられない微かな匂いにも反応し、ついティッシュを口にしてしまいます。特に食欲旺盛な個体は注意が必要です。

子犬の好奇心と経験不足

子犬は好奇心旺盛で、何でも口に入れて確認することがあります。ティッシュの柔らかい感触や破る時の音が面白く感じ、遊び道具として食べてしまうことも。特に生後数ヶ月の子犬など、経験の少ない犬に起こりやすいです。

飼い主の気を引きたい行動

犬は非常に賢く、飼い主の関心を引くためにティッシュを食べることがあります。過去にティッシュを食べた際に飼い主が慌てたり声をかけたりした経験から、犬が意図的にティッシュを口にする「学習性行動」をとる場合があります。

異食症や栄養不足などの健康問題

頻繁にティッシュを食べる場合、異食症という病的な状態の可能性があります。異食症は栄養不足だけでなく行動学的要因や消化器疾患、寄生虫感染など多因性であるため、動物病院での総合的な診断が必要です。

犬がティッシュを食べたときに考えられる危険・リスク

診察中の犬

ティッシュは消化されないため、犬が誤食するとさまざまな健康上のリスクを引き起こす可能性があります。具体的に考えられる危険は以下の通りです。

腸閉塞による消化器系トラブル

ティッシュは犬の消化酵素では分解できず、水分を吸って胃や腸内で膨らんで塊になり、腸閉塞を引き起こすことがあります。腸閉塞になると、嘔吐、腹痛、便秘、食欲不振などの症状が現れ、放置すると命に関わるため、迅速な獣医師による診断と治療が必要になります。特に小柄な体格の小型犬は腸が細く、少量でも危険性が高まります。

大量摂取や精油付きティッシュによる中毒の危険

一般的なティッシュに含まれる香料や漂白剤、蛍光増白剤はごく微量であり、1〜2枚程度の摂取で重篤な中毒症状が起こることはまれです。しかし、大量に食べたり、アロマオイルや殺菌剤などが染み込んだウェットティッシュなどを摂取すると、嘔吐や下痢、よだれ、けいれんなどの中毒症状を引き起こす可能性があります。これらのティッシュは犬の届かない場所に保管しましょう。

窒息や喉・食道への損傷

ティッシュを急いで飲み込もうとしたり、大きな塊で飲み込んだ場合、喉に詰まって窒息の危険性があります。また、無理に引きちぎって飲み込もうとすると、喉や食道の粘膜を傷つけることがあります。特に子犬や老犬は飲み込む力が弱く、リスクが高いため注意が必要です。

少量の場合の経過観察ポイント

ごく少量のティッシュであれば、通常数日以内に便とともに排出される可能性があります。しかし安全と安易に判断せず、ティッシュを食べたことが分かったら以下の点を観察しましょう。

  • 普段と同じく元気か、食欲はあるか
  • 嘔吐や下痢など消化器症状がないか
  • お腹を痛がる様子がないか
  • 排便の頻度や便の状態は正常か
  • 便にティッシュが混ざって排出されているか

普段と違う様子が見られたり、2〜3日経ってもティッシュが排出されない場合は、速やかに動物病院を受診してください。

犬がティッシュを食べた直後の対処法

健康診断中の犬

犬がティッシュを食べてしまった場合、飼い主さんは慌てずに冷静に対処することが重要です。次のポイントを参考にしてください。

無理に吐かせるのはNG、獣医師に相談を

ティッシュを食べた後、飼い主が自己判断で吐かせようとするのは危険です。特に、塩水を飲ませたり指を喉に入れたりすると、犬の喉や食道を傷つける可能性があり、嘔吐物が気管に入って誤嚥性肺炎を引き起こすこともあります。

また、オキシドール(3%過酸化水素水)は獣医師の指示のもとで催吐に用いられることもありますが、自己判断での使用は非常に危険です。必ず獣医師に連絡をとり、指示を仰ぎましょう。

症状のセルフチェック

ティッシュを食べた後は、犬に以下の症状がないか注意深く観察しましょう。

  • 嘔吐:繰り返し吐く、吐き気があるが何も出ない、血が混ざっている
  • 下痢:水状便、血便、粘液便が見られる
  • 便秘:数日排便がない、いきんでも便が出ない
  • 食欲不振:食事をほとんど食べない、完全に食欲がない
  • 元気消失:ぐったりしている、反応が鈍い
  • 腹痛:お腹を触ると嫌がる、お腹を丸めて震える、頻繁にお腹を見る動作がある

これらの症状が一つでも現れたら、すぐに動物病院を受診してください。

動物病院に伝える情報と応急処置

動物病院を受診する際には以下の情報を伝えると、迅速で適切な処置につながります。

  • ティッシュを食べた時間
  • ティッシュの種類(香り付き・ウェットタイプなど)とおおよその量
  • 犬の現在の状態(症状・元気さ・食欲など)
  • 犬種、年齢、体重、持病やアレルギーの有無
  • 普段与えているフードの種類

自宅でできる応急処置としては、犬を落ち着かせて、それ以上ティッシュを口にしないように注意します。獣医師の指示があるまで、食事や水を控えた方がよい場合もあります。

犬にティッシュを食べさせないための予防策

しつけ中の犬

犬のティッシュ誤食は日常的な注意と適切な予防策で防ぐことができます。次のような対策を実践しましょう。

ティッシュを犬の届かない場所へ保管

物理的にティッシュへのアクセスを防ぐことが最も効果的です。

  • ティッシュは棚の上や引き出しなど犬の届かない場所に置く
  • ゴミ箱は蓋付きや犬が開けられないタイプを使用する
  • 食卓やローテーブルにティッシュを置いたままにしない

基本的なしつけ「離せ」「待て」を教える

万が一ティッシュを口に入れてしまった際に備え、「離せ」や「待て」などのコマンドを日頃から教えておきましょう。ポジティブ・レインフォースメント(望ましい行動をした時に褒めて報酬を与える方法)を活用し、犬が自然に覚えられるよう工夫します。

運動や知育玩具を使ってストレス発散

犬がストレスや退屈を感じてティッシュを食べるのを防ぐため、毎日の十分な運動と遊びの時間を確保しましょう。散歩やボール遊びなどを通じて、エネルギーを適切に発散させます。知育玩具(中におやつを隠して犬が取り出す玩具)も効果的です。

栄養バランスの見直しと獣医師への相談

異食症が疑われる場合、栄養不足や健康問題が背景にある可能性があります。食事のバランスを見直し、年齢や犬種に合った総合栄養食を与えましょう。自己判断でサプリメントを与えるのではなく、まずは獣医師に相談してください。

多頭飼いや長時間の留守番時の工夫

多頭飼いの場合は、一頭がティッシュを食べ始めると他の犬が真似する可能性があります。各犬の行動を観察し、個別の対策をとりましょう。長時間留守番させる場合は、安全な知育玩具やおもちゃを与え、ペットシッターや犬の保育園などを利用するのもおすすめです。

まとめ|愛犬のティッシュ誤食を防ぐために

犬がティッシュを誤って食べてしまうのを防ぐには、飼い主の日常的な注意と環境づくりが非常に重要です。まずは犬がティッシュに触れないよう、保管場所を徹底することが基本です。また、犬がストレスや退屈からティッシュを口にすることがないよう、十分な運動や遊びの時間を設けるとともに、必要に応じてしつけを行いましょう。

万が一、犬がティッシュを食べてしまった場合は、決して自己判断せず、落ち着いて犬の様子を観察し、症状が現れたらすぐに動物病院を受診しましょう。日頃から愛犬の行動に気を配り、異変を早期に発見できるよう心がけ、かかりつけの動物病院の連絡先も常に控えておくようにしましょう。

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