犬の歯が黒いのは虫歯?黒くなる原因や対処法、予防方法を解説

犬の歯が黒いのは虫歯?黒くなる原因や対処法、予防方法を解説

犬の歯が黒くなっていたなんて経験ありませんか?もしかしたら虫歯かも?この記事では、そんな犬の虫歯や歯が黒くなる理由についてご紹介します。愛犬のお口に気になることがある方は必見です。

犬の歯が黒いのは虫歯?

犬の歯が黒いのは虫歯?

犬の歯が黒いことに気づいたとき、もしかして虫歯?と、最初に思うかもしれません。しかし犬の虫歯はそんなに多く見られません。虫歯になりにくい理由と、歯が黒い原因をご紹介いたします。

虫歯とは

正式な病名は「齲食(うしょく)」と言います。歯垢中の細菌が炭水化物を発酵させ有機酸を作り出し、その酸が歯を溶かし、進行すると歯に穴が開いて激痛を伴うこともある病気です。

虫歯は前歯に発生するイメージがありますが、奥歯にも発生する可能性はあります。

犬は虫歯になりにくいがまれに発生する

犬は虫歯になりにくく、かつては虫歯にならないとも言われていました。その理由として以下のようなものがあります。

  • 犬のアルカリ性の唾液が細菌の作り出す有機酸という物質を中和する力が強いこと
  • 臼歯のほとんどが上部の尖ったのこぎり状をしていて、食べ物カスが留まりにくいこと
  • 糖が含まれる食べ物を摂取しないこと
  • 口の中に食べ物が入っている時間が短いこと(飲み込むまでが早い)
  • 唾液の中にアミラーゼという物質がないため、食事中のデンプンが糖に変換されにくいこと

ちなみに、人間の唾液はほぼ中性であり酸を中和する力が弱く、臼歯も平たく凸凹な形をしているので口の中は犬に比べて虫歯になりやすい環境です。

しかし、犬も柔らかく甘くておいしいものを食べることが増えて、虫歯のリスクの高い食生活をしています。ですから今は、犬も虫歯にかかることが分かっていて、口の中の病気の10%は虫歯が原因と考えられています。

発生頻度は高くないですが、3歳から7歳ころから始まり老犬に特に多く見られます。

犬の歯が黒い・茶色い理由の多くは歯石や色素沈着

前述したように、犬は虫歯の発生頻度が高くありません。ですから、犬の歯が黒や茶色くなる原因としては、歯石が溜まっていることと、色素沈着があげられます。

歯石とは、食べかすを養分として増えた細菌の塊のことを言いますが、これが歯に付着し、黒く変色していると歯が黒く見えたりします。歯石は放置してしまうと虫歯になりかねないので相応の対処が必要です。

また色素沈着とは、もとは白い歯であったが食べ物の色素が歯に沈着してしまうことで変色することです。

この場合、歯は黒というより茶色っぽく変色します。また、歯自体が黒くなっていると、歯の中心部の神経が通っているところ(歯髄)に異常をきたしている可能性があるので要注意です。

強い痛みを伴うことが多いので、早めに動物病院を受診してくださいね。

犬に黒い虫歯が発生する原因

犬に黒い虫歯が発生する原因

犬は虫歯の発生頻度は低いのですが、なぜ虫歯になっていしまうのか。その理由をいくつかご紹介いたします。

デンタルケアを怠る 

人間は犬に比べて虫歯になるリスクが高いのに、虫歯になっている人はそんなに沢山いるわけではないですよね。人間は毎日歯磨きをして口の中を清潔にしているので、虫歯になりにくいのです。

口の中を清潔にすることは虫歯予防にとても大切なことで、犬にも同じことが言えます。唾液の中には、食べかすや上皮組織や細菌などが含まれていて、それらが唾液から分離し混ざり合うとネバネバした液状の物質に変わります。

これが歯垢(プラーク)です。歯に付着した歯垢をほったらかしにしていると、歯垢の中の細菌が有機酸を発生させ、つくりだされた有機酸が歯の表面を溶かしていき、やがて虫歯になります。

歯垢中に発生した有機酸は唾液で中和されないので、歯ブラシなどで歯垢を落としてあげる必要があります。歯垢を落としてあげることで、虫歯の発生リスクはかなり下がります。

糖を摂りすぎている

有機酸を作り出すやっかいな細菌の大好物は糖ですが、その中でも最も虫歯になりやすくなるものがショ糖です。代表的な食材と言えば砂糖ですね。砂糖は人間の食べ物(特に加工品)にはほとんど含まれています。

ですから、人間の食べものを沢山与えると必然的に糖の過剰摂取となり、虫歯リスクを上げることになります。また、ほとんどの炭水化物は細菌が有機酸を作るための餌になります。

白米やパン、ジュースなどは常に置いてあるという家庭も多く、犬に身近な食べ物であり簡単に犬が口にできる食品です。しかし、それらを犬に与えすぎるとこれも虫歯リスクを上げることになってしまいます。

歯の病気(歯周病)が原因

歯周病とは、歯茎と歯の周辺組織の炎症のことで、ほとんどの犬が生涯に一度はかかる病気です。歯周病が進行し歯茎が縮んでしまうと歯垢が溜まりやすくなり、より虫歯の発生リスクが高くなります。

ほかの犬や人から虫歯菌をもらう 

もともと子犬は有機酸をつくりだす細菌を持っていません。

他の犬のおもちゃや食べ残しなどから細菌をもらうのですが、同じように、人間の食べものを食べることや人間との過度なスキンシップ(キスなど)で細菌をうつしてしまう可能性があります。

犬に虫歯を疑う黒い歯がある時の対処法

に虫歯を疑う黒い歯がある時の対処法

まずは虫歯であるのかを確認し、虫歯を疑う場合は動物病院を受診しましょう。

犬に歯の痛みや違和感による仕草がないか観察する

 犬は歯が痛いときに見せる行動があります。

  • 顔を触らせない
  • 前足で口の周りを触る
  • 食べるのが遅い
  • ご飯をこぼす
  • 食べ方が左右均等でない(片側だけの歯を使う)

このような行動を見せていたら、愛犬のSOSかもしれません。痛みを伴っていることもあるので動物病院を受診しましょう。

歯の黒い点が食べかすやゴミではないか確認する

歯が黒くなっていた時は、それが指や布で拭ってとれるものか確認しましょう。食べかすやゴミ、歯垢であれば簡単に取れますので虫歯ではありません。

色素沈着の場合は簡単に落ちるものではないのでわかりにくいですが、虫歯の場合は歯に穴が開いています。また、口臭などの変化もありますので、お口の中と合わせてチェックしてみてください。

動物病院で歯科検診を受けて適切な治療を行う

虫歯を疑う場合、動物病院を受診しましょう。虫歯の診断は、まずレントゲン検査などで歯の内部まで虫歯が進行してしまっているか状態を確認し、その後に虫歯の進行度合いに合った治療を行います。

虫歯があまり進行していない状態では、エナメル層と象牙質を削り取り、充填剤(象牙質用接着剤)を用いて修復します

次に虫歯が進行してしまっている状況についてです。虫歯が象牙質より内部の歯髄まで進行していたら、歯髄を除去することがあります

また、虫歯がかなり進行し、歯冠部(歯ぐきから出ている歯の頭部分)が削り取られている場合は、抜歯することもあります。

犬の場合、飼い主が虫歯を発見するのが遅い傾向にあるので、病院で治療を始めるころには抜歯しざるを得ない状況になっていることが多いです。

犬に黒い虫歯を発生させないための対策

犬に黒い虫歯を発生させないための対策

飼い主でもできる!虫歯を予防する方法をご紹介いたします。

デンタルケアを行う

デンタルケアを行うことは、虫歯予防で最も大切なことです。その中でも一番効果があるのが歯磨きです。歯ブラシには様々なサイズがありますので、愛犬の口に合った大きさの歯ブラシを使用してくださいね。

一日一回行うことで、虫歯だけでなく、歯周病などの他の歯の病気の予防にもなります。しかし犬は口を触られることをとても嫌がりますので、子犬のうちから口を触られることに慣れさせておく必要があります。

もちろん成犬でもすんなり触らせてくれる子もいますが、ほとんどが難しいでしょう。後の項目で歯磨き以外のデンタルケアも紹介いたしますのでぜひチェックしてみてください。

定期的な検診、歯石の除去をする 

小型犬では1歳の時に、大型犬であれば2歳のときに、口の中の検査と清掃を行い、以後は1年に1回口の中の健康チェックをすることが推奨されています。

日常的にデンタルケアを行っていても、すべての汚れを落としきるのは難しいです。定期的にチェックし、歯石を除去することで虫歯の発生を抑えることができます。

人間の食べ物を与えない

前の項目でも少し触れましたが、人間の食べ物はほとんど砂糖を含んでいます。それらを与えると虫歯リスクを上げる原因になります。また、人間の食べものは犬にとっても美味しいものです。

そんなおいしいものばかり食べていると、ドッグフードを食べなくなってしまうこともあり得ます。ですから、ご飯もおやつも犬用のものを製品規定の量で与えることを強くおススメします。

乳歯の除去 

犬にも乳歯と永久歯があることをご存じでしょうか。実は乳歯がずっと残っていると、永久歯との間に汚れが溜まってしまい虫歯になりやすいのです。犬の乳歯は生後3~4週間で生え始めて生後6~7か月で生え変わります。

乳歯は永久歯が生えてくると自然と抜けるのですが、ときどき永久歯が生えているのに乳歯が抜けないことがあるのです。小型犬によく見られ、切歯や全臼歯が起こりやすいです。

この状態が2週間以上続くと、どんどん隙間に汚れが溜まり虫歯のリスクが高まります。もし、愛犬の歯が同じところから二本生えていたら動物病院を受診し乳歯の抜歯をしてもらいましょう。

犬のデンタルケアの方法

犬のデンタルケアの方法

デンタルケアには歯磨きがもっともよいと前述しましたが、愛犬の歯磨きができない!という飼い主さんは多いかと思います。

そんな愛犬のために、歯磨き以外の簡単に取り入れられるデンタルケアの方法を少しご紹介いたします。

歯磨きシート

ウェットティッシュのような特殊なシートを指に巻いて、愛犬の歯をふき取るように掃除します。歯磨きシートも口を触るので嫌がる子もいるかもしれないですが、歯ブラシよりは簡単で使いやすいものです。

歯磨きガム

歯磨きガムとは噛んで歯垢や汚れを落とすガムです。一日一本愛犬に食べさせてあげればいいだけなので、お口を触るのが難しい子にはおススメです。

歯磨きガムを使用する際は、愛犬に自由に食べさせるのではなく、飼い主が手にもって、前歯から奥歯に噛ませながら食べさせてあげてください。

同じ場所で噛んでしまうと、その部分の汚れしかキレイにできませんから注意が必要です。サイズや硬さも様々なので、愛犬に合ったものを選んで使ってくださいね。

歯磨きジェル

歯磨きジェルは、歯ブラシにつけて歯磨き粉のように使用したり、直接歯に塗ってあげる使い方ができます。中には、酵素入りのなめるだけでOKというものもあります。

お口を触られるのが嫌いな子にはもしかしたら難しいかもしれないですが、犬が好む味になっているものが多く、愛犬のほうから欲しがることがあるかもしれません。

また、ジェルタイプなので歯にとどまる時間が長く、簡単で、高い効果が期待できます。

液体デンタルケア

犬の飲み水に液体を混ぜるだけでお口の環境を整えてくれるものです。もっとも簡単なデンタルケアで、忙しい飼い主さんにはおススメです。

しかし愛犬が水の味を好まない場合もありますので、最初は注意深く様子を見てくださいね。

まとめ

歯 白い 笑顔

今回犬の歯が黒い原因や虫歯についてご紹介させていただきました。犬は虫歯になりにくく、黒い歯があったからといって必ずしもそれが虫歯であるわけではありません。

ですが、油断は禁物です。虫歯に限らず、口の中の病気は見つけにくく、発見したときには進行してしまっているケースも多いのです。

虫歯の治療は全身麻酔下で行い、治療後もしばらくは痛みがあって、愛犬に負担がかかってしまいます。

そうならないためにも、日ごろからデンタルケアをはじめとする虫歯予防を徹底し、少しでもおかしいなと思ったら動物病院を必ず受診してくださいね。

愛犬のお口の健康を守るための正しい知識を身に着けておきましょう。最後までお読みいただきありがとうございました。

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