犬の血液検査では何が分かる?費用・見方・頻度を分かりやすく解説

犬の血液検査では何が分かる?費用・見方・頻度を分かりやすく解説

「犬に血液検査は必要なの?」そう思っている飼い主さんも少なくはないと思います。愛犬の身体に異常があったときや健康診断で血液検査をしたことのある子も多いと思います。ですが、専門的な言葉やアルファベットが並んでいてよく分からないという方も多いはず。そんな犬の血液検査に対する疑問を解決出来る内容になっていますので、ぜひ読んでみて下さい。

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記事の監修

  • 獣医師
  • 平松育子
  • (AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター )

獣医師・AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター
山口大学農学部獣医学科(現:共同獣医学部)卒業。2006年3月~2023年3月 有限会社ふくふく動物病院 取締役・院長。ジェネラリストですが、得意分野は皮膚疾患です。
獣医師歴26年(2023年4月現在)の経験を活かし、ペットの病気やペットと楽しむアロマに関する情報をお届けします。

犬の血液検査とは

注射

犬の血液検査をするうえで、頭に入れておくと役に立つこと

我々人間の場合もそうですが、体調不良などから病気が疑われる時に血液検査をすることで病気を発見することができますが、その血液検査がどのような仕組みなのかをご存知でしょうか?犬の場合も、血液検査は人と同じように静脈から血をとって検査をします。

血液検査で判別する内容としては、大まかに分けると2種類となります。

血球検査

この検査では赤血球、白血球、血小板、血しょうの量を測ることが出来ます。血液検査のメリットは正常の数値と比べておかしい数値の時に、病気を早期に発見出来ることです。これは、人間の血液検査と同じです

生化学検査

この検査によって、血液中に含まれるたんぱく質や糖質の量を検査、内蔵の状態を調べて、異常を見つけます。病気の他にも、交通事故に遭った時などの内蔵系の損傷が分かることも特徴です。

犬の血液検査で分かること

当たり前のことですが、血液検査の意義についてしっかりと理解しておきましょう。そうすることで、検査結果を獣医さんから聞いた時に、疑問点を質問して治療に役立てることが出来ます。

血液検査でわかる主な症状

  • 脱水
  • 肝機能障害
  • 栄養失調
  • 出血

など、多くの状態を知ることが出来ます。身体に異常がある場合も、数値にずれが生じてきます。

ここで注意したいのが、その時の犬の体調などで数値がぶれることがあるので、確認のためにも1週間程度時間を空けて再度検査をすることがあります。ただし、これは治療していく上でも、経過を見るために血液検査を何回かはすることになりますので、一過性の数値なのか、病気によるものなのかを判断することは続けて通院することで判別できます。

犬の血液検査項目

実際に結果を貰ってからの見方です。多くの検査結果に正常値が記載されているので、それと比較しながら検査結果を見ることになります。飼い主さんがこの数値について詳しくなる必要はありませんが、 数値が高くても少なくても、何かを疑う要素が出てきますので、気になる点があれば獣医さんに質問しましょう。

赤血球

通常値より増加している場合は、脱水、ショック、赤血球増加症が疑われ、減少している場合は、貧血が疑われます。

白血球

増加の場合は炎症性疾患、白血病、ストレスが疑われ、減少の場合は、ウイルス感染症、重度の細菌感染といった、急を要する事態になっていることが多いです。治療の過程で数値が上がっている場合は、薬の成分で数値が上下している可能性もあるため、薬やワクチンなどの接種制限が出ることもあるので、慎重にならなくてはなりません。

血小板

血小板が減少している場合、内出血が起きている、または血が止まりにくい状態になっています。この数値は怪我などで出血したときに影響が出てくる部分なので、数値に異常があった時はすぐに対応しましょう。

AST/ALT

AST/ALTが増加している場合、肝機能障害、心筋梗塞の可能性が考えられます。肝機能が老化や病気で機能低下もしくは炎症を起こしている時はもちろん数値に異常が出てきますが、事故に遭った犬など外傷を負った時にも数値が上がります。

アルカリフォスファターゼ

アルカリフォスファターゼの増加している場合、副腎皮質機能亢進症、腫瘍の可能性があります。ステロイド投与があった際は、定期的に確認する項目となっていますので、飼い主さんもしっかり見る必要があります。

血液検査をして結果をさらっと見るだけでなく、しっかり数値が正常範囲内に入っているかを確認することが大切です。こうすることで、万が一獣医さんと飼い主さんとの間で意見が違った際に、しっかり理解をお互いに深めることが出来ます。

犬の血液検査内容は人間とほぼ同じ

検査イメージ

人間の健康ブームと同時に、犬についても人間と同じように「健康」に気を使う時代になってきました。それによって、長寿にも繋がってきました。その影響もあってか、現在の動物病院の医療では、人間とほぼ同じ内容の血液検査が出来るようになってきていますね。

まずは、犬も人と同様、一般的な血液検査をして異常がない場合は1年程度を目安に定期的に検査して状態を確認し、異常があった場合はすぐに治療できるように、検査を通して総合的に判断します。

ここで問題になってくるのは検査費やその後の治療費です。人間と違って犬には健康保険制度がないので、(ペット保険に加入している場合は除く)全額飼い主の負担になります。小型犬でも高度な治療を選ぶと医療費が高額になってしまいますが、大型犬はさらに費用がかかるので、ペット保険に入ることや、治療内容を家族が選択する必要があります。

犬の血液検査費用

病気の疑いがある為に血液検査をした場合と、健康診断のような形で検査をするのかの2種類に分かれますが、ペット保険に入っている場合、前者の検査は保険が適用になり、費用が少し抑えられます。

保険対応でない場合

東京、大阪、福岡などの大都市では、人口に比例して動物病院の数も多く、価格競争が激しい地域とも言われています。さらに、高度医療が発達している地域も都市圏が多いようです。

逆に価格競争の無い地方の動物病院の医療費は高くなってしまう傾向にありますが、費用の高い所では、人間で言う先進医療や高度な医療が受けられる確率が高いようです。

私は、栃木在住で犬を飼っていて、自宅の周りに2~3件の動物病院がありますが、動物病院によって治療費に差があります。

調べる項目にもよりますが、かかりつけの病院は少し安い価格設定になっているのですが、血液検査だけで4000円以上かかるようで、他の病院だともっと費用はかかってしまうことが多いようですね。価格が良心的な動物病院でこの価格なので、値段の高い病院では1万円程度の出費を見込んだ方が良いかと思います。

保険対応の場合

上記の料金に保険でかけている保証のパーセンテージをかけた数字が、実際に負担する料金と言えます。ですが、獣医さんが何かの症状を疑って検査をした場合に保険が適用になるので、健康診断としての検査は実費となりますので、そこは注意が必要です。ですが、それでも身体の不調を見分けるツールとして有効に活用していくといいでしょう。

犬の血液検査をする頻度

カメラ目線の犬

基本的に、成犬と言われる5~6歳までは通常1年に1回、シニア犬と呼ばれる7歳以降は、1年に2回行うことで早期に病気を発見出来ます。

年齢に関わらず、定期的に治療を行っている場合はこの頻度に限らず、しっかり獣医さんと相談して検査を行っていく必要があります。健康な状態の犬であっても、あらかじめ検査をしていることで、病気の早期発見に役立つことがあります。

まとめ

血液検査をしていることで、犬の身体の異変に気がつくことが出来ます。ですが、血液検査のみでは見逃してしまう病気ももちろん存在します。

症状が出た時の様子をしっかり説明すること、説明出来ない時は写真や現物を持っていくなどして、出来るだけ多くの情報を持っていると、診断の一助になる場合もあります。その結果、レントゲンなどの他の検査を勧められることがある可能性もありますので、必要な検査は出来る限りしてあげましょう。

血液は正直です。何かがおかしいと感じたら、検査をお勧めします。

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ユーザーのコメント

  • 投稿者

    20代 女性 すず

    わんちゃんの血液検査はとても重要です。わんちゃんの足などから血液を抜き色々調べます。なぜ血液検査をするのかというと、血液を調べることによってからだの様々な数値を知ることが出来、それが正常値であるのが異常があるのか知ることができるからです。わんちゃんの1年は人間に例えると4?6年とされています。当然歳を人間より早く取っていくのでそれに伴い病気などを患うこともあります。この血液検査をすることによって、何かのサインを見つけ病気の早期発見にも繋がります。大切なわんちゃんを救うチャンスになるかもしれないのです。血液検査は大切です。
  • 投稿者

    30代 女性 ぽてち

    愛犬の血液検査というと一瞬身構えてしまうかもしれませんが、ワクチン等を投与するよりも痛みも感じないようで、更に少量しか採血しないので気分を悪くする事もありません。
    そして血液検査を行うことによりフィラリアの判定や内臓の数値によって異常が無いかが分かるので、毎年一回は行うべきだと思います。
  • 投稿者

    30代 女性 ちびまま

    愛犬のチビは、すぐに体調を崩してしまいます。なので、食事量・運動量・寒暖差の変化・フィラリアなどの予防薬の健康管理、フレンドリーな性格の為犬同士の触れ合いなどを多めにストレスの軽減などに注射をして生活をしています。4月で1歳になり今後、健康診断の項目に血液検査も含めて行いたいです。
  • 投稿者

    20代 女性 芽衣子

    この記事を読んで、私も納得する事ばかりです。

    私も現在飼っている愛犬が、7ヶ月の頃に去勢手術を行う関係で血液検査をしました。
    元気だから、何も異常はないだろうと思っていましたが、肝臓の値が異常に高い事が分かり、手術の2ヶ月後に健康診断をする事になりました。
    検査の結果は、去勢手術を行った日よりも肝臓の値が高くなっていました。肝臓が悪く脂肪が分解できていない事も分かったので、翌日からパピー食を止めて、低脂肪食へと変えました。

    今回は、去勢手術を行った事がきっかけですが、もし去勢手術や健康診断に連れて行ってなかったら、肝臓が悪いことに気付いてあげれなかったので、定期的な血液検査は幼犬、成犬問わずに、とても大事な事だと思います。
  • 投稿者

    30代 女性 xoxo

    先日愛犬が皮膚が赤くなり、脱毛も見られたのでアレルギー検査を血液を採取して行いました。
    結果いろいろな食材にアレルギー反応が出たのですが、獣医さんの話によると、炎症を起こしている最中はそれに引っ張られて普段は大丈夫な食材でも陽性反応が出やすいということでした。
    なので、もし飼われている犬のアレルギーが気になるという方は、何か異常が起きてから検査をするよりも健康な状態で検査をした方が良さそうですよ。
    しかし、体調に異変をきたしてやる検査なら保険が適用されることがほとんどですが、健康な状態だと保険が適用されないので高額になってしまうデメリットがありますが。
    うちの犬は、先日の検査で陽性反応が出た食材とグレーゾーンだった食材を除いたらほとんど食べられるものがなくなってしまいそうなので、体調が落ち着いたら再度やろうと思います。
  • 投稿者

    女性 あずき

    以前、愛犬の定期健診に行った際に獣医さんから血液検査を薦められました。特に夏は体調を崩す犬が増えるようです。(人間も同じですよね)やはり、血液検査はフィラリアなどの症状があるかないかも正確に出るようなので、血液検査をさせることに興味があります。愛犬も今年で9歳です。ここまであっという間でした。しかし、最近は犬のヒゲが白くなったり、長時間歩きたがらなくなったりと老化現象も始まってきているので、なんだか切なくなります。長生きして欲しいので、健康には特別気を付けるようにしています。我が家では犬の保険に入っているので、血液検査は多少保険でカバーされるようです。やはり保険があると違うなと思いました。病気の早期発見のためにも、血液検査を定期的に行うと良いのですね。
  • 投稿者

    女性 きゃらめるみるくてぃー

    愛犬たちも年に1度は健康診断を受けています。〝人間ドッグ〟ならぬ〝ドッグドッグ〟と言う健康診断のコースがあり、血液検査、超音波、レントゲン、触診、採尿、採便などの検査をし、異常がないか見てもらっています。
    健康診断なので保険は使えませんが、初期の病気や病気の傾向がある場合、健康診断で気をつけることにより病気を防ぐ意味で受けています。

    春になりフィラリアが体内にいないか血液検査をしますが、そのタイミングで同時に血液の検査をお願いする方も多いそうで、病院によりフィラリアプラス血液検査をするなら普段より安くできる場合もあります。

    血液検査でも項目が複数あり、健康診断であればざっくり全項目調べてもらうと思いますが、通院して毎月血液検査をする先住犬は全項目するときもあれば、調べたい項目だけ見る場合もあり、その時々で料金は変わりますよね。
    院内での血液検査以外にも、院外(専門機関)に血液を送りさらに詳しく調べてもらう場合は高額になりやすいと思います。
    定期的に健康診断で血液検査をするメリットとしては、もともと健康体の頃の数値を知れることです。
    病気で数値が下がっているのか、もともと低かったのかなど、些細なことなのですが健康体のころの血液検査の結果も、病気になった際には参考にされる先生もいます。(見ても何かあるのかはわかりませんが)
    なので毎年血液検査をされるならば、結果の紙を残しておくと良いと思います。

    血液検査の項目や数値に関しては異常がなければ特に覚える必要はありませんが、知っておくとなんとなく説明されているときに頭に入りやすいです。

    血液検査は、必要に応じてする場合もあるし、健康診断でもする方も最近は多くいらっしゃいます。
    うちの犬は健康だから大丈夫!と思うのではなく、見えない部分に関しては検査し、うちの犬は健康だ!と言えるように定期的に検査はしてあげてほしいなぁと思いました。
    その際、尿や便の検査などついでにしてもらうと、ストルバイトの傾向があったり早めに気づける事があるかもしれません。
    料金に関しては、病院のホームページに載せられていたり、電話で問い合わせると教えてくれます。
    口コミや料金を比べながら、診察を受ける病院を選ぶと良いと思います。
  • 投稿者

    女性 あんず

    愛犬もシニアになり初めて尿検査を受けました。結果は細胞が尿に入り通常の二倍ありました。タンパクは1+。深刻な状態ではありませんが、抗生剤を飲ませる事になりました。
    フードを低タンパク低脂肪の物に変え、おやつをあげないようにと言われました。
    愛犬が美味しいと感じるフードをあげるようにとも言われました。シニアだから老いが見られても仕方なく思う反面、まだまだ元気に散歩に行き食欲もあるので長生きできると思っています。
    次はフィラリアの注射の前に血液検査をします。
    愛犬は至って元気です。物言わぬ犬なので気をつけてあげなくてはいけませんね。
    何事も無い事を願います。
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