手術前に既往症の確認とワクチン摂取を済ませる
わんこに既往症や別の疾患があると、手術をはじめとした治療方針に変更が必要になる場合もあります。
手術前には既往症の有無を確認し、獣医師に申告するようにしましょう。手術前に血液検査などを行い麻酔をかけることが可能かどうかの確認を行います。
また、定期ワクチンの摂取が済んでいない場合には、できる限り、手術前に摂取しておくことをおすすめします。タイミング等が不安な場合には、獣医師に相談してください。
手術前の飲食制限を確認する
手術を行う際には、胃の中を空っぽにするため、飲食制限が必要になります。いつから制限が必要かは、手術の内容や獣医師の判断によってさまざまですが、その都度指導に従うようにしましょう。
ただ、実際、目を離したすきにわんこがつまみ食いしてしまったり、愛犬のおねだりに飼い主さんが屈してしまったり、飲食制限を知らない家族が勝手におやつを与えてしまったりと、飲食制限に失敗してしまうケースは多いといいます。
手術を行う際に胃の中に内容物が残っていると、手術の妨げになったり、麻酔や検査の際にわんこが嘔吐してしまい、誤嚥する原因になったりします。
愛犬の安全のためにも、手術前はわんこや家族の行動に特に注意を払い、この制限は絶対に守らなければなりません。
手術後は興奮させすぎない
手術に耐えるには体力を使います。手術を終え、飼い主さんとの再会に喜ぶわんこの姿は一見、元気そうに見えるかもしれませんが、実際にはとても衰弱しています。
わんこを動物病院から連れ帰る際には、わんこが興奮しすぎないよう、キャリーケースやスリングに入れて運んであげたり、リードにつないでゆっくり誘導してあげるようにしましょう。
また、当然のことですが、術後しばらくは過度な運動は避けるようにします。あまり激しく動きすぎると、嘔吐してしまったり傷口が開いてしまったりする可能性があります。
飲食についても同様で、わんこが求めるからといって大量のごはんや水を与えてしまうと、腹痛や嘔吐の原因になります。徐々に増やしていくようにし、とにかく安静を心がけてあげましょう。
手術後は清潔な環境を整える
手術後のわんこの身体は体力や免疫力が低下しているため、感染症にかかりやすくなっています。手術を終えたわんこを迎え入れる際には、室内をしっかり掃除し、ベッドも可能であれば洗濯したり干したりして、清潔な環境を整えてあげましょう。
冬の寒い時期であれば、暖房機器を使ったり、布団を置いてあげたり、しっかりと暖がとれるようにしてあげてください。麻酔後は体温が下がる傾向があります。手術後の回復には安静が何より大切です。そのためには、愛犬がゆっくり休んで静養できる環境を飼い主さんが整えてあげることが必要なのです。
手術後の傷口のようすに注意を払う
手術で縫合した傷口の抜糸を行うまでは、傷口に異常がないか、毎日確認してあげましょう。傷口が開いてしまう場合や、赤みや腫れ、膿が出る場合は、すぐに獣医師に連絡して処置をしてもらってください。
また、わんこは本能的に、傷口を舐めて傷を治そうとしてしまいます。ところが、これは傷の治癒のためには逆効果になってしまいます。そのため、手術後にはエリザベスカラーなどをつけて傷口を舐められないようにするのが一般的です。傷口に舌が届かないようカラーのサイズが合っているかを確認してあげることも大切です。
基本は獣医師の指示に従うこと!
その他にも、手術の種類によっては、手術前から服薬が求められたり、特別な療法食が処方されたりと、いろいろな処置が必要になります。手術を受ける際に何よりも大切なのは、そういった獣医師の指示を飼い主さんがしっかりと理解し、きちんと従うことです。
目的が病気や怪我の治療であれ避妊であれ、全身麻酔を使って行う手術は、愛犬の命にも関わる重大な処置です。わからないことや疑問に思うことがあれば、事前に質問してはっきりさせておくようにしましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?愛犬が手術を受けるとなれば、術前も術後にも飼い主さんの心配は尽きませんよね。
ですが、そういった飼い主さんの不安な気持ちもわんこは察してしまいます。特に手術前にはあまり不安を表に出しすぎず、いつも通りの態度で「大丈夫だよ」と安心させてあげてください。また、手術後には、愛犬をねぎらってあげることも忘れないでくださいね。