犬は小麦粉を食べても大丈夫
加熱した小麦粉であれば、犬が口にしても問題にならない場合が多い食材です。
小麦粉の主成分はでんぷんとたんぱく質で、加熱によってでんぷんが消化しやすい形に変化するため、食べること自体が直ちに危険になる食材ではありません。
ただし、小麦は食物アレルギーの原因になり得る原材料のひとつです。小麦を食べたあとに皮膚の赤みやかゆみ、嘔吐、下痢などの体調変化が見られる犬もいるため、初めて与える場合は必ず少量から始め、体調を確認しながら判断してください。
また、生の小麦粉や加熱前の生地は与えないでください。加熱前の粉や生地は消化に負担がかかりやすく、衛生面のリスクも否定できません。与える前提は「しっかり火を通したもの」に限ります。
小麦粉は主食として与える食材ではなく、ドッグフードの代わりに置き換える用途にも向きません。与える場合は、主食の栄養バランスを崩さない範囲で取り入れることが基本です。
小麦粉に含まれる栄養成分と犬への影響
小麦粉は栄養補助的に利用される食材であり、主な栄養素は炭水化物とたんぱく質です。総合栄養食の代わりになるものではありませんが、成分の特徴を理解しておくことで、体への影響を把握しやすくなります。
ここでは、小麦粉に含まれる代表的な栄養成分と犬への作用について整理します。
炭水化物(でんぷん)
小麦粉の大部分を占めるのが炭水化物です。加熱するとでんぷんが消化しやすい状態に変化し、体内でエネルギー源として利用されます。
一方で、摂取量が多くなると余剰分は脂肪として蓄積されやすく、体重増加につながります。活動量が少ない犬ではエネルギー過多になりやすいため、エネルギー源のひとつであることを理解したうえで扱う必要があります。
たんぱく質
小麦粉には小麦たんぱくが含まれており、水と混ざることでグルテンを形成します。たんぱく質は筋肉や皮膚、被毛など体を構成する重要な栄養素です。
ただし、小麦由来のたんぱく質は一部の犬でアレルギー反応を引き起こすことがあります。体質によっては皮膚トラブルや消化器症状が見られる場合があるため、栄養価だけでなく体質との相性も考慮することが大切です。
ビタミンB群
小麦粉にはビタミンB1やB2などのビタミンB群が含まれています。これらは体内のエネルギー代謝を助ける働きを担います。
ただし、精製された小麦粉では含有量は多くありません。全粒粉のほうが比較的豊富ですが、いずれにしても必要量の大部分は主食から摂取することが前提となります。
ミネラル
リンやマグネシウムなどのミネラルも含まれています。これらは骨や歯の健康維持、体内機能の調整に関わる栄養素です。
含有量は決して高いわけではありませんが、特定の栄養管理が必要な犬では全体のバランスを考えることが重要です。小麦粉単体で栄養を補うというよりも、食事全体の中でどのような位置づけになるかを意識しましょう。
食物繊維
とくに全粒粉には不溶性食物繊維が含まれています。適量であれば腸の動きをサポートする働きがあります。
しかし、犬は大量の食物繊維を消化するのが得意ではありません。摂りすぎると便が硬くなったり、逆に軟便になったりすることがあります。量の調整が重要な成分といえます。
犬に与えてもいい小麦粉の量
小麦粉そのものを量るよりも、実際には食パンなど小麦粉を使った食品として与えるケースが多いでしょう。
ここでは、一般的な6枚切り食パン(1枚約60g前後)を基準にした「1回あたりの目安量」を示します。あくまで間食としての量であり、主食の代わりにはなりません。
おやつは1日の総摂取カロリーの10%以内が目安です。食パンを与えた場合は、その分だけフードの量を調整し、与えすぎにならないようにしましょう。
| 犬の体重 | 1回の目安量 |
|---|---|
| 〜5kg(小型犬) | 5〜10g(6枚切り食パン 約1/8枚程度) |
| 5〜10kg(小型〜中型犬) | 10〜15g(6枚切り食パン 約1/6枚程度) |
| 10〜20kg(中型犬) | 15〜25g(6枚切り食パン 約1/4枚弱) |
| 20kg以上(大型犬) | 25〜40g(6枚切り食パン 約1/3枚程度) |
初めて与える場合は、上記の半分以下から始めて体調を確認してください。また、毎日与えるのではなく、週に1〜2回程度の間食にとどめることが望ましいでしょう。
体格や活動量によって必要なカロリーは異なるため、愛犬の体型や体重の変化を見ながら調整することが大切です。
犬に小麦粉を与える際の注意点
小麦粉を使った手作りフードやおやつを与える場合は、体質による反応や調理状態によるリスクを想定しておくことが大切です。ここでは、与える前後で特に確認したいポイントをまとめます。
小麦アレルギーが疑われたらすぐ中止
小麦は犬の食物アレルギー原因として挙がることがある食材です。
摂取後に目や口の周りをかゆがる、皮膚が赤くなる、耳をしきりに掻く、足先を噛むように舐めるといった変化が見られた場合は、小麦が合っていない可能性があります。
消化器症状として嘔吐や下痢が出ることもあります。少量でも症状が出た場合は与えるのを中止し、症状が続く・強い場合は動物病院で相談してください。
生の小麦粉や加熱前の生地は与えない
生の小麦粉や加熱前の生地は与えないでください。加熱前の粉や生地は消化しづらく、胃腸に負担がかかりやすくなります。また、衛生面のリスクも否定できないため、与える前提は「十分に加熱されていること」です。
とくにイースト(酵母)が入った生地は、犬の体内で膨らんだり、発酵が進んでアルコールが生じたりする可能性があります。誤食しないよう、調理中の管理にも注意しましょう。
砂糖や塩や油脂を加えたものは控える
犬用として作る場合は、砂糖や塩、バターなどの油脂を多く加えないようにしてください。人向けの味付けに近づくほど、カロリーや塩分が増え、日常の食事バランスが崩れやすくなります。
甘味料を使う場合は成分を必ず確認し、キシリトールは使用しないでください。犬では少量でも重い体調不良につながるおそれがあります。
持病がある犬は自己判断で与えない
腎臓病・膵炎・心臓病などで食事管理が必要な犬は、自己判断で小麦粉を使ったおやつを取り入れないでください。治療方針や食事内容によっては、体調や数値の管理に影響する可能性があります。
また、糖尿病で食事療法をしている犬では、高糖質なおやつが血糖コントロールを悪化させる可能性があります。与えてよいか、与える場合の内容やタイミングは主治医に確認しましょう。
初回は少量にして体調を確認する
初めて与えるときはごく少量にとどめ、食後の様子を確認してください。嘔吐、下痢、元気がない、皮膚をかゆがるなどの変化があれば与えるのをやめ、落ち着くか観察します。
同じ日に新しい食材を複数試すと原因が特定しづらくなります。初回は小麦粉を使ったものだけに絞り、体調に問題がないことを確認してから次に進めると安心です。
犬にパン(菓子パンなど)やうどんなど加工品を与えても大丈夫?
小麦粉そのものとは異なり、人が食べることを前提に作られた加工品には、塩分や糖分、油脂、添加物などが含まれている場合があります。
与える場合は原材料や味付けを確認し、犬の体に負担がかかりにくいかどうかを判断することが重要です。
食パン
味付けの少ないシンプルな食パンであれば、少量を間食として与えることは可能です。ただし、市販の食パンには塩分や砂糖、油脂が含まれています。
バターやジャムを塗った状態で与えるのは避け、そのまま小さくちぎって与えるようにしてください。日常的に与えるのではなく、あくまで時々の間食にとどめます。
菓子パン
あんパン、クリームパン、チョコパンなどの菓子パンは、糖分や脂質が多く含まれているため適していません。チョコレートやレーズンが使われている製品は、犬にとって危険な成分を含む可能性があります。
さらに、マーガリンやショートニングなどの油脂が多い商品はカロリーが高く、体重管理の妨げになります。菓子パンは基本的に与えないほうがよいでしょう。
うどん
ゆでたうどん自体は小麦粉と水が主原料ですが、製造過程で塩が使われています。人用のうどんを与える場合は、味付けやつゆをかけず、十分に水で洗って塩分をできるだけ落としてから少量にとどめます。
だしやつゆには塩分が多く含まれるため、そのまま与えることは避けてください。
クッキー・ケーキ
市販のクッキーやケーキは砂糖やバターを多く含みます。香料や保存料などの添加物が含まれていることも少なくありません。
とくにキシリトール入りの商品は、犬では少量でも重い体調不良につながるおそれがあります。人用のお菓子は基本的に与えず、与える場合は犬用に作られた製品を選びましょう。
いずれの加工品も「人と同じものをそのまま与える」のではなく、原材料と味付けを確認したうえで、必要最小限にとどめることが前提です。体重や体調の変化を見ながら慎重に判断してください。
まとめ
犬は加熱した小麦粉であれば口にできる場合がありますが、主食として与える食材ではなく、あくまで間食や手作りおやつの材料として少量にとどめることが基本です。
小麦粉には炭水化物やたんぱく質などが含まれる一方、体質によっては小麦アレルギーや消化不良が起こることもあります。初めて与えるときはごく少量から始め、皮膚のかゆみや嘔吐、下痢などの変化があれば中止しましょう。
生の粉や発酵中の生地は避け、人用のパンやうどんなど加工品は塩分・糖分・油脂や原材料に注意し、犬用を選ぶのが安心です。持病がある場合は主治医に確認してください。



