【獣医師監修】犬は片栗粉を食べても大丈夫!与え方と栄養成分、適量と注意点を解説

【獣医師監修】犬は片栗粉を食べても大丈夫!与え方と栄養成分、適量と注意点を解説

犬は片栗粉を食べても大丈夫?結論として、中毒性はなく少量ならOKです。本記事では、手作りごはんの「とろみ付け」に役立つ片栗粉の適切な量や注意点、持病がある犬へのリスクを解説。小麦・砂糖不使用の簡単おやつレシピも紹介します。

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記事の監修

麻布大学獣医学部獣医学科卒業後、神奈川県内の動物病院にて勤務。獣医師の電話相談窓口やペットショップの巡回を経て、横浜市に自身の動物病院を開院。開院後、ASC永田の皮膚科塾を修了。皮膚科や小児科、産科分野に興味があり、日々の診療で力を入れさせていただいています。

犬は片栗粉を食べても大丈夫?

舌で口元を舐めながら上を見上げる犬

片栗粉(主に馬鈴しょでん粉)は、犬にとって中毒性のある成分が報告されていないため、加熱してごく少量を与える範囲であれば基本的に問題ありません。

ただし、体質によっては合わないこともあるため、初めて与えるときは慎重に進めましょう。

片栗粉は「粉もの」なので、粉のまま与えるのは避け、必ず加熱して消化しやすい状態にしてから与えるのが前提です。また、原材料は商品によって異なる場合があるため、念のため原材料表示を確認してください。

初回は、犬の体質に合うかを確かめる目的で、ひとつまみ程度のごく少量から始めます。与えたあとは、便の状態や嘔吐、かゆみなどの変化がないかを確認し、少しでも気になる症状が出た場合は中止して獣医師に相談しましょう。

片栗粉に含まれる栄養成分と犬への影響

じゃがいもと器に盛られた片栗粉

片栗粉は、犬の健康維持に役立つ栄養が豊富に含まれている食材ではありませんが、成分の特徴を理解して使えば、手作りごはんやおやつ作りの補助として活用できます。ここでは、片栗粉に含まれる主な栄養成分と、それぞれが犬の体にどのような影響を与えるのかを整理します。

でんぷん(炭水化物)

片栗粉の主成分は、ほぼすべてがでんぷんです。でんぷんは加熱されることで消化されやすくなり、体内で糖質として分解され、エネルギー源のひとつとして利用されます。

ただし、犬にとって炭水化物は必須栄養素ではありません。エネルギー補給の役割はありますが、片栗粉自体に積極的な栄養価を期待するものではなく、主食や主要なたんぱく源の代わりにはなりません。

たんぱく質

片栗粉に含まれるたんぱく質はごく微量です。筋肉や臓器、皮膚の健康維持に必要な量を補えるほどではなく、栄養源として評価できる成分ではありません。

そのため、片栗粉を使う場合でも、犬に必要なたんぱく質は肉や魚、総合栄養食などから十分に確保することが前提となります。

脂質

片栗粉には脂質もほとんど含まれていません。脂質はエネルギー効率が高く、犬の被毛や皮膚の健康にも関わる重要な栄養素ですが、片栗粉からそれらを補うことはできません。

脂質が少ないという点は、調理の補助として使う際に食事全体の脂質バランスを大きく崩しにくい、という側面にとどまります。

ミネラル類

片栗粉には、カリウムやリンなどのミネラルが微量に含まれていますが、その量はごくわずかです。ミネラル補給を目的として与える意味はほとんどありません。

あくまで栄養価の高い食材ではなく、食感を調整したり、料理をまとめたりするための補助的な材料として位置づけることが重要です。

犬に与えてもいい片栗粉の量

スプーンに盛られた片栗粉

片栗粉は主食やおやつとして「食べさせる」ものではなく、料理のとろみ付けや形を整える目的で少量を補助的に使う食材です。

そのため、量の目安も「与える量」ではなく、1回の調理で使用する乾燥片栗粉の量として考えることが大切です。

下記は、犬の体重ごとに見た1回あたりの使用目安量(乾燥状態の片栗粉)です。実際には体質や食事内容によって調整が必要なため、初回はこの目安よりさらに少なめから始めてください。

犬の体重 1回の目安量
〜3kg(超小型犬) 0.3g前後(ひとつまみ程度)
〜5kg(小型犬) 0.5g前後(小さじ1/8弱)
〜10kg(中型犬) 1.0g前後(小さじ1/4程度)
25kg以上(大型犬) 1.5〜2.0g前後(小さじ1/2程度)

片栗粉は炭水化物が凝縮された食材のため、使いすぎると食事全体のカロリーバランスに影響します。目安としては、1日の総摂取カロリーの1割以内に収まる範囲で、必要な場面に限定して使うのが安心です。

また、同じ体重でも消化の得意・不得意には個体差があります。便がゆるくなる、逆に硬くなるなどの変化が見られた場合は量を減らすか、使用を中止してください。

犬に片栗粉を与える際の注意点

床に伏せて眠っている犬

片栗粉は使い方を誤ると、犬の体に負担をかけることがあります。安全に取り入れるために、調理方法や体調面で特に気を付けたいポイントを確認しておきましょう。

粉のまま与えるとむせや下痢につながる

片栗粉を乾燥した粉の状態で与えると、吸い込んでむせたり、喉に張り付いたりするおそれがあります。また、生のでんぷんは消化されにくく、下痢などの消化不良につながることもあります。

必ず水で溶き、加熱してとろみが付いた状態にしてから使用してください。加熱することで消化しやすくなり、体への負担を減らせます。

使いすぎは下痢や体重増加の原因に

片栗粉は炭水化物が主体のため、使いすぎると消化が追いつかず下痢を起こしやすくなります。体質によっては、便がゆるくなる、逆に硬くなるなどの変化が見られることもあります。

また、少量でもカロリーはあるため、日常的に多用すると体重増加の一因になることがあります。必要な場面に限り、控えめに使うことが大切です。

持病のある犬は獣医師に相談する

腎臓病や糖尿病などの持病がある犬では、食事内容の変化が体調に影響することがあります。特に糖尿病の場合、炭水化物の追加によって血糖コントロールが乱れる可能性があります。

治療中や食事管理が必要な犬に使う場合は、自己判断せず、かかりつけの獣医師に相談したうえで可否を判断しましょう。

味付けされた料理は与えない

とろみの付いた人間用の料理には、塩分や油分、香辛料のほか、ネギ類やニンニクなど犬に適さない食材が含まれていることがあります。

片栗粉自体が使える場合でも、味付けされた料理のお裾分けは避け、犬用として調理したものだけを与えるようにしてください。

犬におすすめの片栗粉を使った簡単おやつレシピ

シェフ帽をかぶって調理器具のそばに座る犬

片栗粉は、加熱して使うことで食感を調整しやすく、犬用おやつ作りにも活用できます。

ここでは、犬に使える食材のみを使い、家庭で作りやすいレシピを紹介します。いずれも主食ではなく、少量を楽しむ目的のおやつとして取り入れてください。

片栗粉ボーロ

《材料》
  • 片栗粉:50g
  • 卵黄:1個分
  • 蒸してつぶしたカボチャ(またはサツマイモ):15g
《作り方》
  1. すべての材料をボウルに入れ、なめらかになるまで混ぜる
  2. 耳たぶほどの硬さになったら、小さく丸める
  3. 180℃に予熱したオーブンで10〜15分、薄く色づくまで焼く
  4. しっかり冷ましてから与える

サクッとした食感になりますが、水分を吸いやすいため、丸呑みしないサイズにすることが重要です。

卵を使用しているため、卵に合わない犬には向きません。焼き色が薄くても中まで火が通っているかを確認し、完全に冷ましてから与えてください。

保存する場合は湿気を避け、短期間で使い切るようにしましょう。

鶏ささみと野菜のとろみスープ

《材料》
  • 鶏ささみ(皮・脂を除く):15g
  • キャベツまたはニンジン:少量
  • 水:150ml程度
  • 片栗粉:小さじ1/2
《作り方》
  1. 鶏ささみと野菜を細かく刻む
  2. 水から煮て、具材にしっかり火を通す
  3. 水溶き片栗粉を加え、軽く煮立たせてとろみを付ける
  4. 人肌程度まで冷ましてから与える

とろみを付けることで喉越しがよくなり、食欲が落ちているときのトッピングとして使いやすくなります。

必ず無塩・無調味で作り、ネギ類や香味野菜は使用しないでください。とろみが強すぎる場合は、水で薄めて調整すると安心です。

片栗粉のもちもちミルクゼリー

《材料》
  • 犬用ミルク(無糖):100ml
  • 片栗粉:大さじ1
《作り方》
  1. 鍋に材料を入れ、弱火で混ぜながら加熱する
  2. 透明感と粘りが出たら火を止める
  3. 容器に流し入れ、冷蔵庫で冷やし固める
  4. 小さく切り、常温に戻してから与える

もちもちした食感は嗜好性が高い一方、丸呑みしやすいため必ず小さく切って与えてください。

乳製品が体質に合わない犬には向かないため、初めての場合は少量で様子を見ることが大切です。冷えすぎた状態は避け、必ず常温に戻してから与えましょう。

まとめ

水で溶いた片栗粉をスプーンですくっている光景

片栗粉は、加熱して少量を使う範囲であれば、犬に与えても一般的に大きな問題は起こりにくい食材です。ただし、主な役割はとろみ付けや形を整えるための補助であり、栄養補給を目的とするものではありません。

使用する際は粉のまま与えず、必ず加熱し、体重や体質に合わせてごく少量にとどめることが大切です。また、与えすぎは消化不良や体重増加につながる可能性があり、持病がある犬では体調や血糖コントロールに影響する場合もあります。

犬用として無調味で調理し、体調の変化が見られた場合は中止して獣医師に相談するなど、慎重な姿勢で取り入れましょう。

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