犬はミニトマトを食べても大丈夫?適量やヘタ・青い実の危険性を解説

犬はミニトマトを食べても大丈夫?適量やヘタ・青い実の危険性を解説

犬はミニトマトを食べても大丈夫?完熟した実なら少量OKですが、ヘタや青い実には中毒成分が含まれるため注意が必要です。1日の適量(何粒まで?)や窒息を防ぐ切り方、誤って危険部位を食べた時の対処法を解説します。

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記事の監修

麻布大学獣医学部獣医学科卒業後、神奈川県内の動物病院にて勤務。獣医師の電話相談窓口やペットショップの巡回を経て、横浜市に自身の動物病院を開院。開院後、ASC永田の皮膚科塾を修了。皮膚科や小児科、産科分野に興味があり、日々の診療で力を入れさせていただいています。

犬はミニトマトを食べても大丈夫?

飼い主が手に持つミニトマトを見ている犬

結論からお伝えすると、犬は完熟した赤色のミニトマトの「果実部分」であれば、少量をおやつとして食べても問題ありません

ミニトマトは水分が豊富で適度な甘みがあるため、犬にとっても嗜好性が高い食材です。ただし、安全に与えられるのは「赤く熟した果実」のみです。

ミニトマトはジャガイモやナスと同じナス科の植物で、未熟な青い実や葉・茎・ヘタには「トマチン」という天然の毒性物質(グリコアルカロイドの一種)が多く含まれています。

トマチンを多く含む部位を犬が大量に摂取すると、嘔吐や下痢、ふらつき、重篤な場合には神経症状などの中毒症状を起こす可能性があります。家庭菜園などで栽培している場合は、愛犬が誤食しないよう十分な管理が必要です。

また、犬にミニトマトを与える際は、窒息防止のために必ず小さく切って与えましょう。特に小型犬や早食いの犬は丸飲みのリスクが高いため注意してください。

ミニトマトに含まれる栄養素と犬への影響

ざるに盛られたたくさんのミニトマト

ミニトマトは犬の健康維持に役立つさまざまな栄養素を含んでいます。以下では主な栄養素と、それぞれの犬の健康への影響を解説します。

ただし、これらの健康効果は主にヒトを対象に研究されたものであり、犬への明確な効果については十分な研究が行われていません。そのため、あくまでも「期待できる効果」として参考にしてください。

リコピン

リコピンはトマトの赤い色素成分であり、抗酸化作用を持つことから、細胞の老化防止や免疫サポートへの効果が期待されています。特にシニア期に入り、健康維持が気になる犬の食事に取り入れることが推奨される場合があります。

βカロテン

βカロテンは犬の体内で必要に応じてビタミンAに変換され、皮膚や粘膜の健康維持、視力のサポート、免疫機能の維持に役立つと考えられています。

ただし、通常のフードに十分なビタミンAが含まれていることが多いため、過剰摂取には注意しましょう。

ビタミンC

犬は通常、自分の体内でビタミンCを合成できますが、加齢や強いストレスなどの状況下では消費量が増える可能性があります。

ビタミンCには抗酸化作用やコラーゲン生成促進の作用があるため、食事から補うことで健康維持をサポートできる場合もあります。

カリウム

カリウムは体内の水分バランスや血圧の調整に関与する重要なミネラルです。

しかし、腎臓病や心臓病などを患っている犬では、過剰摂取が「高カリウム血症(血液中のカリウム濃度が高くなりすぎる状態)」を引き起こすことがあるため、持病のある犬への摂取は慎重に行ってください。

食物繊維

食物繊維は腸内環境を整え、便通を良くする効果があります。適度な量であれば便秘の解消に役立ちますが、一方で摂取しすぎると消化不良を起こし、かえって軟便や下痢の原因になるため注意が必要です。

水分

ミニトマトはその大部分が水分で構成されています。そのため、普段あまり水を飲まない犬や、特に夏場の暑い時期などの水分補給をサポートする食材として利用できます。

犬に与えてもいいミニトマトの量

食器を差し出す飼い主の手と自分の口元を舐める犬

犬にミニトマトを与える際は、愛犬の体重に合わせて適量を守ることが大切です。

ミニトマトは低カロリーですが、水分や食物繊維が多いため、与えすぎると消化器に負担をかけることがあります。犬のおやつは1日の総摂取カロリーの10%以内が望ましいとされています。

以下の表を目安にしながら、愛犬に適した量を与えてください。

犬の体重 ミニトマトの目安量(1日あたり)
超小型犬(約3kg) 1~2粒(5~10g)
小型犬(約5kg) 2粒程度(約10g)
中型犬(約10kg) 2~3粒(10~15g)
大型犬(20kg以上) 3~5粒程度(15~25g)

上記の目安量は、直径約2cm、1粒あたり約3~5gの一般的なミニトマトを基準としています。初めてミニトマトを与える場合は、ごく少量から始め、アレルギー反応や消化不良の有無を観察しましょう。

また、子犬やシニア犬はさらに少なめに調整してください。

犬がミニトマトの危険部位を食べてしまったときの対処法

熟していない青いミニトマト

犬がミニトマトのヘタや青い実、葉や茎などの危険な部分を食べてしまった場合、落ち着いて以下の手順で対応してください。

状況を確認する

「いつ」「どの部位を」「どのくらい食べたか」をメモしておきます。実際に食べた部位が特定できると、獣医師への報告がスムーズになります。

症状を観察する

食後すぐに症状がなくても、数時間経ってから嘔吐や下痢、元気がない、ふらつく、よだれが増えるなどの変化が現れることがあります。注意深く観察を続けましょう。

無理に吐かせない

自己判断で食塩やオキシドールを用いて無理に吐かせるのは大変危険です。誤った処置が粘膜損傷や誤嚥性肺炎につながることがあります。必ず獣医師の指示を仰ぎましょう。

動物病院に連絡する

嘔吐や下痢、ふらつき、よだれが多い、震えなどの症状が現れた場合や、多量摂取した場合はすぐに動物病院へ連絡してください。

連絡の際には犬の状態、摂取した時間・部位・量、犬種や体重、持病の有無を伝えると迅速な対応につながります。

トマチン中毒は少量で重篤化することは稀ですが、症状の出方には個体差があるため、早めの対応が重要です。

犬にミニトマトを与えるときの注意点

床にあるミニトマトに鼻先を近づけている犬

ミニトマトは犬にとって基本的に安全な食材ですが、与え方を間違えると思わぬトラブルにつながることがあります。

愛犬にミニトマトを楽しんでもらうために、以下のポイントを意識して安全を確保してください。

丸飲みによる窒息の危険

ミニトマトは表面が滑らかで丸いため、犬が噛まずに飲み込んでしまうことがあります。特に小型犬や食べ物を急いで食べる癖がある犬では、丸飲みによる喉の詰まりや腸閉塞の危険があります。

消化不良で下痢・嘔吐を起こすことも

ミニトマトの皮は硬く、犬によってはうまく消化できずに便に混じったり、消化不良から下痢や嘔吐を起こしたりする場合があります。胃腸が敏感な犬や消化機能が弱い犬は、皮をむいてから与えると安心です。

持病がある犬には慎重に

ミニトマトにはカリウムが多く含まれているため、腎臓病や心臓病などでカリウム制限が必要な犬に与えると「高カリウム血症(血液中のカリウム濃度が高くなりすぎる状態)」を引き起こすことがあります。

持病がある場合は、事前にかかりつけの獣医師に相談しましょう。

調理済みミニトマトは与えない

サラダやマリネなど、人間用の料理に使われるミニトマトには、犬にとって有害なタマネギやニンニク、塩分、油分、香辛料などが含まれていることがあります。

これらは犬に中毒症状や内臓の負担をもたらすため、人間の料理を取り分けるのは避けましょう。

犬へのミニトマトの与え方

ミニトマトのヘタを取って1/4にカットしている様子

ミニトマトを愛犬に与える際には、安全性を高めるために適切な下処理を行うことが大切です。また、ひと手間加えることで消化吸収が良くなり、犬が安心しておいしく食べられるようになります。

ヘタ取り&丁寧な洗浄が必須

与える前には必ずヘタを完全に取り除き、流水で十分に洗いましょう。特にヘタ周りには農薬や汚れが残りやすいため、念入りに洗うことが重要です。必要に応じてぬるま湯を使って洗うのも効果的です。

小さく切って窒息を防ぐ

丸ごとのミニトマトは犬が丸飲みしてしまう可能性があります。超小型犬であれば1/4〜1/8サイズ、中型犬以上でも半分程度のサイズに切り、喉に詰まる事故を防ぎましょう。

加熱で消化しやすく食いつきアップ

ミニトマトを軽く茹でたり蒸したりすると皮が柔らかくなり、犬にとって消化がしやすくなります。加熱することで甘味が増し、食いつきが良くなる犬も多くいます。ただし、味付けは一切行わないでください。

トッピングで食欲低下時のサポートに

ミニトマトを単独で与えるだけでなく、ドッグフードに細かく刻んで少量トッピングする方法もおすすめです。色味や香りが増えることで食欲が刺激され、水分補給のサポートにもなります。

まとめ

飼い主が持つミニトマトを欲しそうに見つめる犬

犬は完熟した赤色のミニトマトの果実部分であれば、少量のおやつとして安心して与えることができます。ただし、ヘタや葉、茎、未熟な青い実にはトマチンという中毒成分が含まれるため、誤食には十分注意しましょう。

与える量の目安は体重によって異なり、超小型犬で1~2粒、中型犬で2~3粒程度が適量です。窒息防止のために細かくカットし、消化を良くするため軽く加熱するなどの工夫も効果的です。

腎臓や心臓に持病のある犬はカリウム摂取量に注意し、事前に獣医師に相談してください。万が一危険な部分を食べてしまった場合は、無理に吐かせずに症状を観察し、必要に応じてすぐに獣医師に連絡しましょう。

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