犬にアロエを与えてはいけない
結論として犬にアロエを与えてはいけません。
人間にとっては健康や美容に役立つ植物として人気がありますが、犬にとっては有害な成分を含むため、誤って食べると嘔吐や下痢などの中毒症状を起こすおそれがあります。
アロエには「キダチアロエ」や「アロエベラ」など多くの種類がありますが、どの種類であっても犬には危険です。特にアロエの葉の皮や、その直下にある黄色っぽい乳液（ラテックス）には、犬の胃腸を強く刺激する成分が含まれています。
一方、透明な果肉部分（ゲル）は比較的毒性が低いとされていますが、ラテックスが混入するリスクがあるため、犬に安全な部位はありません。
また、小型犬や子犬、高齢の犬は少量でも重い症状につながる可能性があるため、特に注意が必要です。家庭でアロエを育てている場合は、犬が届かない場所で管理しましょう。
犬にとって危険なアロエを含む製品
アロエそのもの以外にも、日常的に使われる食品や美容品の中には、犬にとって健康リスクになる製品があります。
これらはアロエ成分だけでなく、添加物や人工甘味料など犬に有害な物質を含んでいる場合が多く、誤食や接触に注意が必要です。
アロエヨーグルト、ジュースなど
人間用に販売されているアロエヨーグルトやアロエジュースには、犬に有害なキシリトールなどの人工甘味料や大量の砂糖が含まれている場合があります。
また、アロエ成分自体も微量ながら残存するため、犬が食べると中毒症状や肥満、消化器障害につながる恐れがあります。少量であっても決して与えず、犬専用のオヤツを与えるようにしてください。
アロエ入りクリーム、軟膏など
ハンドクリーム、化粧水、軟膏など、アロエ成分を含む美容品や外用薬にも注意が必要です。
犬がこれらの製品を舐めると、アロエエキス以外に含まれる保存料、香料、アルコールなどが刺激となり、胃腸障害を起こす可能性があります。
また、継続的に接触すると皮膚炎やアレルギー症状を引き起こすこともあります。製品を使用した後は、犬に舐められないよう手袋をするか、しばらく犬との接触を避けましょう。
アロエに含まれる危険な成分と症状
アロエには、犬の健康を害する可能性がある成分が含まれています。特に葉の皮や、皮のすぐ内側にある黄色い乳液（ラテックス）には、犬の胃腸を強く刺激する有害な成分が含まれています。
犬がこれらの成分を摂取すると、さまざまな症状が現れることがあります。
バルバロインが引き起こす消化器障害
アロエの皮と葉の間にある苦味成分であるバルバロインは、強力な下剤作用を持っています。
人間では便秘薬として使われることがありますが、犬が摂取すると激しい下痢や腹痛を起こし、重度の場合には脱水症状や衰弱を招く恐れがあります。
特に体の小さい子犬や高齢犬では、少量でも深刻な症状を引き起こすリスクが高く注意が必要です。
サポニンで起こる嘔吐・胃痛
アロエに含まれるサポニンは、界面活性作用により犬の胃腸粘膜を強く刺激し、摂取直後に激しい嘔吐や胃痛、よだれが出るといった症状を引き起こします。
また、大量に摂取した場合には、理論上赤血球を破壊する溶血作用を起こす可能性も指摘されています。通常の誤食では消化器症状が中心ですが、大量摂取した場合や元々体調不良の犬では、貧血や血尿などの深刻な状態につながる恐れもあるため、決して軽視できません。
犬がアロエを食べてしまったときの対処法
愛犬が万が一アロエを口にしてしまった場合、飼い主が慌てて間違った処置をすると症状が悪化することがあります。まずは冷静になり、落ち着いて適切な対応を取ることが重要です。
口や体についたアロエは洗い流す
犬がアロエの葉や乳液（ラテックス）を口にしたり、アロエ成分を含むクリームを舐めてしまった場合は、口の中や体についたものをまずぬるま湯で丁寧に洗い流してください。
このとき無理に吐かせようとすると、誤嚥（ごえん）や食道を傷つける危険があるため、自己判断で吐かせてはいけません。
すぐに動物病院へ連絡する
犬がアロエを食べた場合、摂取した量が少量であっても、症状が後から出る可能性があります。自己判断は禁物ですので、速やかに動物病院へ連絡し、獣医師の指示を仰ぎましょう。
その際は「いつ」「どの部位を」「どのくらい食べたか」を明確に伝えることが重要です。食べてしまったアロエや製品のパッケージが手元にあれば、診察時に持参すると診断がスムーズになります。
アロエ以外の犬にとって危険な観葉植物
室内に飾られる観葉植物の中には、アロエ以外にも犬にとって危険なものが多数存在します。犬がこれらを口にすると、嘔吐や下痢などの体調不良を起こすことがあるため、注意が必要です。
特に次の植物は代表的な例として知っておきましょう。
ポトス
ポトスの葉や茎にはシュウ酸カルシウムの針状結晶が含まれており、犬が噛むと口の中に激しい痛みを感じます。口の中が腫れたり、よだれが大量に出たり、嘔吐を起こしたりすることもあります。
室内で飾る際は、犬が届かない場所に置く必要があります。
アイビー（ヘデラ）
インテリアとして人気のあるアイビー（ヘデラ）にも注意が必要です。アイビーにはサポニンという有害成分が含まれており、犬が葉や茎を食べると嘔吐や下痢、腹痛などの中毒症状を起こすことがあります。
特に垂れ下がったツル状の葉は犬の興味を引きやすいため、届かない位置に配置しましょう。
ユリ科植物
チューリップやヒヤシンスなど、ユリ科やそれに近い種類の球根植物にも注意が必要です。犬がこれらを食べると嘔吐や下痢などの胃腸症状を起こします。
特に球根部分は毒性が高く、大量に摂取した場合には重篤な症状につながるおそれがあります。犬が掘り出したり口にしたりしないよう、置き場所や管理に配慮しましょう。
犬がアロエを口にしないようにする予防策
犬がアロエを誤って口にしないためには、犬の生活範囲にアロエを置かないことが最も確実です。自宅でアロエを育てている場合は、犬が入れない部屋に置くか、高所の棚など犬が飛びついても届かない場所に移動させましょう。
また、アロエを含む食品や美容品、軟膏などの医薬品についても保管場所に注意が必要です。
犬は好奇心旺盛で、テーブルやゴミ箱を漁ってしまうことがあります。蓋付きのゴミ箱を利用する、使用後の容器は速やかに処分するといった工夫で誤食を防ぎましょう。
愛犬が安全に暮らせるよう、飼い主自身が家の環境を見直して管理を徹底することが大切です。
まとめ
犬にとってアロエは有害な植物であり、特に葉の皮やその内側にあるラテックス（黄色の乳液）は、嘔吐や激しい下痢、胃腸炎を引き起こします。
また、人間用のアロエ入りヨーグルトや美容クリームなども、犬には中毒症状や皮膚炎の原因になるため与えてはいけません。犬が誤って食べてしまった場合は無理に吐かせず、すぐに動物病院に連絡し獣医師の指示を仰ぎましょう。
普段から犬がアロエを口にしない環境作りが、何よりも重要な対策です。
