犬にカレーは絶対NG!中毒の危険性と症状、誤食した際の緊急対応を紹介

犬にカレーは絶対NG!中毒の危険性と症状、誤食した際の緊急対応を紹介

犬にカレーを与えるのは絶対NG!玉ねぎ中毒や香辛料による危険な症状、体重別の致死リスクを解説。愛犬がカレーを食べてしまった時の正しい対処法、病院受診の目安、自宅でやってはいけないNG行動について詳しくまとめました。

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記事の監修

麻布大学獣医学部獣医学科卒業後、神奈川県内の動物病院にて勤務。獣医師の電話相談窓口やペットショップの巡回を経て、横浜市に自身の動物病院を開院。開院後、ASC永田の皮膚科塾を修了。皮膚科や小児科、産科分野に興味があり、日々の診療で力を入れさせていただいています。

犬にカレーを食べさせてはいけない理由

器に盛られたカレーライス

犬にカレーを与えることは絶対に避けるべきです。人間にとっては一般的で身近な食べ物ですが、犬にとっては重大な健康被害を引き起こす恐れがあります。

その主な理由として、犬は人間とは異なる代謝能力を持ち、私たちが安全に食べられる食材でも中毒を起こす可能性があるためです。

玉ねぎ・にんにくの毒性は加熱しても残る

特に犬にとって危険なのが、玉ねぎやにんにくなどのネギ類です。これらに含まれる有機チオ硫酸化合物は、犬の赤血球を破壊し、重度の貧血や腎障害を引き起こすことがあります。

これらの成分は加熱調理しても分解されず、煮込んだ後のルウやスープにしっかりと残ってしまいます。そのため、具材だけを取り除いても安全性は変わりません。

香辛料の刺激で嘔吐・下痢を引き起こす

カレー特有の香辛料は犬の消化器官に強い刺激を与えます。唐辛子、コショウ、ナツメグなどが原因となり、激しい嘔吐や下痢を引き起こすことがあります。

特にナツメグは大量に摂取すると神経症状を起こすリスクもあるため注意が必要です。

塩分と脂質が内臓へ強い負担を与える

人間用のカレーは犬にとっては塩分や脂質が多く、少量でも過剰摂取につながります。

たとえば一般的なレトルトカレーは1皿(約200 g)で約2.5 gの塩分を含みますが、小型犬にとっては負担となる量です。塩分の摂り過ぎは心臓や腎臓に負担をかけ、脂質の過剰摂取は急性膵炎を引き起こす恐れがあります。

カレーパンやスナックも同様に危険

カレーライス以外にも、カレーパンやスープカレー、カレー味のスナック菓子などにも玉ねぎエキスや刺激の強いスパイスが含まれていることが多く、同様の危険性があります。

犬の健康を守るためにも、カレー関連食品全般を与えないよう徹底しましょう。

犬がカレーを食べた場合に現れる症状

体調が悪そうな様子で横向きに寝転ぶ犬

犬がカレーを食べてしまった場合、食べた量や犬の体格、体質によって症状や発症タイミングが異なります。飼い主さんが早期に異変に気づき適切な対応を取れるよう、症状の特徴や発生のタイミングを詳しく解説します。

食べてすぐに起こる消化器症状

カレーに含まれる香辛料や油脂の刺激が原因で、食べてから数時間以内に消化器系の症状が現れることが多いです。具体的には繰り返しの嘔吐、下痢、過剰なよだれ、腹痛による震えなどが挙げられます。

嘔吐や下痢が続くと短時間で脱水を起こす可能性があるため、早期の対処が重要になります。

貧血と尿の変色

玉ねぎやにんにくによる中毒症状は、摂取後すぐに出るわけではありません。通常は摂取してからしばらくして体内で赤血球の破壊が進行した頃に症状が現れます。

反応には個体差や食べた量に関係があり、即日反応がある個体もいれば、数日にわたって血色素尿が見られる場合もあります。

犬が急に元気を失ったり、散歩を嫌がったり、少し動いただけで呼吸が荒くなる場合は注意が必要です。さらに尿が赤茶色や赤ワイン色に変色する血色素尿がみられたら、深刻な状態を示しています。

貧血が進行すると腎臓にも負担がかかり、急性腎障害を起こすこともあります。

神経症状が出る場合も

カレーに含まれるナツメグや、大量の香辛料を摂取した場合、あるいはカカオ成分が含まれる場合、中枢神経に影響が及ぶことがあります。

興奮状態が続いたり、足元がふらついて歩けなくなったり、体の一部が痙攣を起こしたりする症状が現れます。このような神経症状が見られる場合、一刻を争う緊急処置が必要です。

カレーに含まれる犬にとって危険な食材とその摂取量

カレーが入った鍋からお玉で具材をすくい上げている様子

カレーには、犬にとって中毒や体調不良の原因となる食材が複数含まれています。ここでは、特に危険性が高い成分と、どれくらいの量でリスクが生じるのかをわかりやすくまとめました。

実際には体質や体格によって影響が大きく異なるため、少量であっても注意が必要です。

玉ねぎ・にんにく

玉ねぎやにんにくなどのネギ類は、犬にとって最も危険な食材のひとつです。これらに含まれる有機チオ硫酸化合物は、犬の赤血球を破壊し、溶血性貧血を引き起こします。

この成分は加熱しても毒性が残り、ルウやスープにも溶け込むため、具材を取り除いても安全にはなりません。

中毒量の目安としては、玉ねぎは体重1kgあたり15〜30 g程度、にんにくは1kgあたり数gでも赤血球への影響が出る可能性があります。特に超小型犬では、ごく少量でも危険な状態になることがあります。

カカオ類

カレーの隠し味としてチョコレートやココアが使われている場合、テオブロミンによる中毒の危険が生じます。テオブロミンは犬が分解しにくい物質で、神経系や心臓に作用します。

中毒の目安は、体重1kgあたり20 mgで軽度症状、40〜50 mgで重度、100〜200 mgで致死量とされています。調理用の高カカオチョコレートは含有量が高く、少量でも危険です。

香辛料

唐辛子・コショウ・ナツメグなどの香辛料は、犬の胃腸に強い刺激を与え、嘔吐や下痢を引き起こします。特にナツメグは、大量に摂取すると幻覚やけいれんなどの神経症状が現れることがあります。

明確な中毒量は定められていませんが、犬の体は香辛料に非常に弱いため、極めて少量でも体調を崩す恐れがあります。

塩分・脂質

人間用のカレーは犬にとって塩分や脂質が多く、少量でも摂りすぎになりやすい食品です。たとえばレトルトカレー1皿(約200 g)に含まれる約2.5 gの食塩は、小型犬には大きな負担です。

塩分の過剰摂取は心臓や腎臓の負担につながり、脂質の摂りすぎは急性膵炎を引き起こす危険性があります。カレーパンやカレー味のお菓子なども同様に塩分・脂質が高く、犬には不向きです。

これらの理由から、カレーに関わる食材や加工品は、ごく微量でも犬には与えないことが安全です。

犬がカレーを食べたときの対処法

犬を抱きかかえたまま携帯電話を操作する飼い主

万が一愛犬がカレーを食べてしまった場合、飼い主さんが冷静かつ迅速に行動することが重要です。

中毒症状は摂取後すぐには現れないこともあり、「大丈夫そうだから」と様子を見てしまうのは非常に危険です。適切な初期対応と病院への受診が、愛犬の命を守る鍵となります。

まずは動物病院に連絡し指示を仰ぐ

犬がカレーを食べたことに気づいたら、ただちにかかりつけの動物病院または夜間救急病院に電話で相談しましょう。

このとき、具体的に「いつ」「どのくらいの量」「カレーの種類や具材」などを正確に伝え、可能であれば食べ残しやパッケージを手元に準備しておくと、獣医師の対応がスムーズになります。

無理に吐かせると危険が増すため避ける

自宅で自己判断により犬に無理やり吐かせることは絶対に避けてください。特に食塩で吐かせようとすると、塩中毒というさらに深刻な状態を招く恐れがあります。

また、獣医師の指導がない状態でオキシドールを使って吐かせる行為も、胃粘膜に重度の障害を引き起こすため厳禁です。必ず獣医師の指示のもとで対応を行いましょう。

見た目が元気でも早めの受診が安全

カレーに含まれる玉ねぎやにんにくの毒性は、摂取直後には無症状であることが多く、症状が出た時にはすでに重篤な状態である場合があります。

特に玉ねぎ換算で体重1kgあたり15 g以上を摂取した可能性がある場合や、小型犬が具材をはっきりと食べてしまった場合、症状がなくてもすぐに病院を受診する必要があります。

緊急受診が必要なサイン

夜間や休日であっても、以下の状況では翌朝まで待つことなく救急病院を受診してください。

  • 嘔吐や下痢が繰り返し起きている
  • 尿の色が赤茶色や赤ワイン色に変化している
  • 震えやふらつき、けいれんなどの神経症状が現れている
  • 摂取した量が不明だが、明らかに食べている量が多い場合

これらの場合、迅速な受診が救命につながります。 犬の健康を守るため、自己判断は避け、早期に獣医師の診察を受けましょう。

まとめ

キッチンのそばのダイニングテーブルにつく2頭の犬

犬にとってカレーは、玉ねぎやにんにくによる貧血や腎障害、香辛料による胃腸障害、カカオ成分による神経症状や心臓への負担、塩分や脂質の過剰摂取による膵炎など、あらゆる面で危険を伴う食品です。玉ねぎなどの毒性は加熱しても失われず、一見元気でも数日後に重篤な症状が現れることがあります。

万が一犬がカレーを食べてしまった場合は、自己判断で吐かせることは避け、摂取量に関わらずすぐに動物病院に連絡し、獣医師の指示を仰ぎましょう。

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