【獣医師監修】犬は桃を食べても大丈夫!安全な与え方と量、種や皮のリスクを解説

【獣医師監修】犬は桃を食べても大丈夫!安全な与え方と量、種や皮のリスクを解説

犬は桃を食べても大丈夫? 実の部分なら食べていい果物です。ただし種や皮は中毒や窒息の危険がありNG。この記事では、犬に与えてもいい桃の量(体重別)、アレルギー症状や下痢の注意点、缶詰やゼリーなど加工品がダメな理由まで詳しく解説します。

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記事の監修

麻布大学獣医学部獣医学科卒業後、神奈川県内の動物病院にて勤務。獣医師の電話相談窓口やペットショップの巡回を経て、横浜市に自身の動物病院を開院。開院後、ASC永田の皮膚科塾を修了。皮膚科や小児科、産科分野に興味があり、日々の診療で力を入れさせていただいています。

犬は桃を食べても大丈夫?

敷物の上に伏せて桃を抱き込んでいる犬

結論として、犬は桃を食べても大丈夫です。実の部分を適量であれば問題ありません。桃は水分が豊富で、夏場のおやつとしても人気があります。

安全に与えるには、桃の種と桃の皮を必ず取り除き、実の部分だけを少量にとどめてください。種には中毒の原因となる成分があり、皮は消化しにくいため避けたほうが安心です。

ただし、甘みが強く糖分を多く含むため、与えすぎは下痢や肥満の原因になります。特に子犬や老犬など消化が弱い犬にはごく少量から始め、体調を見ながら与えるようにしましょう。

また、初めて与えるときは慎重に。与えた後にかゆみや赤み、嘔吐などアレルギー症状が見られた場合はすぐに中止し、症状が続くようなら獣医師に相談してください。

桃に含まれる栄養素と犬への影響

ざるの上にのった4個の桃

桃は水分が多く、甘みの中にも犬の健康を支える栄養素を含む果物です。少量であればおやつとして安全に与えられ、夏の水分補給にも役立ちます。

ここでは、桃に含まれる主な栄養成分とその働きを解説します。

水分補給

桃の約90%は水分でできています。水をあまり飲まない犬や、暑い季節の水分補給を補助したいときに、冷やしすぎない常温の桃を少量与えるのがおすすめです。

ただし、与えすぎると下痢を起こす場合があるため注意しましょう。

カリウム

桃にはミネラルの一種であるカリウムが含まれています。カリウムは体内の余分なナトリウムを排出し、血圧や水分バランスを保つ働きを持ちます。

健康な犬であれば問題ありませんが、腎臓や心臓病を患っている場合、カリウム制限が必要なケースもあるため注意が必要です。特に腎臓病の犬は、自己判断で与えないようにしましょう。

ペクチン

桃に含まれるペクチンは水溶性食物繊維の一種で、腸内の善玉菌を増やして腸内環境を整える働きがあります。

便通の改善が期待できますが、過剰に与えると軟便や下痢の原因になることもあります。与える量を守ることが大切です。

ビタミンE

ビタミンEは抗酸化作用を持ち、細胞の老化防止や健康な皮膚・被毛の維持を助けます。桃にはこのビタミンが少量含まれており、シニア犬の健康維持にも役立ちます。

ただし、含有量は多くないため、効果を過信しすぎないようにしましょう。

アスパラギン酸

アスパラギン酸はアミノ酸の一種で、エネルギー代謝に関わる成分です。犬の体の疲れをやわらげ、代謝をサポートする働きがあります。ただし、桃に含まれる量は少ないため、主な栄養源として期待するほどではありません。

白桃だけでなく黄桃にも同様の栄養素が含まれており、与え方の基本は変わりません。果肉がややかためで甘みが強い品種ですが、可食部のみを少量与えれば問題ありません。

このように桃には、水分・ビタミン・ミネラルなど、犬の健康を支える栄養素がバランスよく含まれています。果物である以上、糖分も多めです。

犬に与えてもいい桃の量

食器の前に座っておねだりするように片足をあげている犬

桃は犬にとって主食ではなく、あくまで「おやつ」として与える食べ物です。どのくらい与えればよいか迷う方も多いでしょう。

基本的には、犬が1日に摂取する総カロリーの10%以内にとどめるのが理想です。与えすぎは下痢や軟便、肥満の原因になるため注意しましょう。

以下の表は、体重別に見た与える量の目安です。これは健康な成犬を基準とした数値であり、活動量や体質によって調整が必要です。初めて与えるときは、記載量よりさらに少なくして様子を見てください。

犬のサイズ(体重目安) 1日の目安量(可食部) おおよそのカロリー
超小型犬(〜4kg) 小さじ1杯程度(約10g) 約4kcal
小型犬(〜10kg) 一口大の1切れ程度(15〜20g) 6〜8kcal
中型犬(〜20kg) 一口大の2切れ程度(30〜40g) 12〜16kcal
大型犬(21kg〜) 一口大の3切れ程度(約50g) 約20kcal

老犬や子犬は消化機能が弱いため、上記の量よりさらに控えめにしましょう。

特に子犬がいつから、何歳から桃を食べられるかについては、発育や体調により異なります。初めて与えるときは小さじ半分以下のごく少量から始め、体調や便の様子を確認してください。

また、桃の量は1日にまとめて与えるよりも、食後やおやつタイムなどに小分けにして与えると消化に負担をかけません。与える前に必ず種と皮を取り除き、細かく刻んで喉に詰まらないようにしましょう。

犬に桃を与える際の注意点

まな板の上で桃をカットしている様子

桃は犬にとって魅力的な果物ですが、与え方を誤ると危険を伴うことがあります。安全に楽しむために、次のポイントを必ず守りましょう。

桃の種は絶対に与えない

桃の種にはアミグダリンという成分が含まれており、犬の体内で分解されると有害物質を生じる恐れがあります。

噛み砕いた場合は中毒を起こす危険があり、丸ごと飲み込むと誤飲による窒息や腸閉塞のリスクもあります。桃を与えるときは必ず種を取り除き、犬の手の届かない場所で管理してください。

桃の皮は必ずむく

桃の皮は繊維が多く、犬にとって消化しづらい部分です。与えると嘔吐や下痢などの消化不良を起こす可能性があります。

また、表面には農薬が残っている場合もあるため、与える際は皮をむき、果肉のみを使うようにしましょう。

アレルギー症状が出ることがある

桃はバラ科の果物に分類され、犬によってはアレルギー症状を起こすことがあります。

顔や口まわりの赤み、かゆみ、腫れ、嘔吐、下痢などが代表的な症状です。初めて与えるときはごく少量から始め、数時間〜1日ほど体調を観察してください。異常が見られた場合はすぐに与えるのをやめ、獣医師に相談を。

桃の加工品は避ける

桃の缶詰やゼリー、ジュース、ドライフルーツ、アイスなどの加工品は、砂糖やシロップ、香料、保存料などが多く含まれています。

過剰な糖分は肥満の原因になるだけでなく、人工甘味料(特にキシリトール)が含まれていると中毒を起こす危険があります。

持病のある犬には獣医師の判断が必要

桃に含まれるカリウムは、健康な犬にとっては問題ありませんが、腎臓病や心臓病などの疾患がある犬には負担になることがあります。

また、尿路結石やストルバイト(リン酸アンモニウムマグネシウム結石)などの病気がある場合も、果物の糖分が症状を悪化させる可能性があります。持病がある犬は、自己判断で与えず、必ず獣医師の指示を受けてください。

冷凍や冷やしすぎた桃は避ける

冷たい桃は犬の胃腸を刺激し、下痢や嘔吐を起こすことがあります。冷凍桃を与える場合は完全に解凍し、室温に戻してから与えましょう。冷やしすぎない常温の果肉が最も安全です。

桃の花や葉も口にさせない

意外と見落とされがちですが、桃の花や葉にも中毒性のある成分が含まれています。観賞用の枝や花瓶の花を犬がかじらないよう、手の届かない場所で管理しましょう。

まとめ

満足そうに口元を舌で舐めている犬のアップ

犬は桃の実の部分なら食べても大丈夫です。ただし、桃の種や桃の皮は中毒や誤飲、消化不良の原因になるため必ず取り除きましょう。

缶詰やゼリー、ジュースなどの加工品も糖分や添加物が多く、犬には不向きです。腎臓病や結石などの持病がある犬は特に注意が必要です。

初めて与えるときは少量から始め、体調を観察してください。基本を守れば、桃は犬にとって安心してあげても大丈夫なおやつになります。

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