犬にチーズを与えても大丈夫?
犬は基本的にチーズを食べても問題ありません。ただし、与えすぎには注意が必要です。チーズは脂肪分とカロリーが高く、肥満の原因になりやすい食材です。特に塩分を多く含む種類は体に負担をかけることもあるため、与える量や種類をしっかり選びましょう。
チーズにはたんぱく質やカルシウム、ビタミンなど、犬の健康維持に役立つ栄養が多く含まれています。少量であれば栄養補助やご褒美として利用でき、嗜好性も高いため食欲が落ちたときのトッピングにもおすすめです。
一方で、チーズは主食であるドッグフードの代わりにはなりません。あくまで「おやつ」や「食事の補助」として与えるのが基本です。また、牛乳に比べて乳糖は少ないものの、乳糖不耐症やアレルギーのある犬には避けましょう。
初めて与えるときはごく少量から始め、下痢・嘔吐・かゆみなどの異変がないかを確認してください。持病がある犬や体調に不安がある場合は、与える前に獣医師へ相談すると安心です。
チーズに含まれる栄養素と犬への影響
チーズには、犬の健康維持に役立つ栄養素が多く含まれています。たんぱく質やカルシウム、ビタミン類は体をつくる材料や代謝を支える働きを持ち、適量であれば栄養補助として役立ちます。
ただし、いずれも過剰に摂取すると健康を損なうおそれがあるため、与える量と頻度に注意が必要です。
たんぱく質
チーズに豊富に含まれるたんぱく質は、筋肉や皮膚、被毛、内臓をつくるために欠かせない栄養素です。特に活動量の多い犬にとって、良質なたんぱく質は体を維持するエネルギー源になります。
ただし、腎臓病などでたんぱく質の摂取制限がある犬には負担となる場合があるため注意しましょう。
カルシウム
カルシウムは骨や歯の健康を保つために重要なミネラルで、チーズはその供給源のひとつです。特に成長期の子犬やシニア犬にとって、適量のカルシウム摂取は骨格維持に役立ちます。
ただし、過剰に与えると高カルシウム血症や尿石症の原因となることがあるため、摂りすぎには注意が必要です。
ビタミンA
ビタミンAは皮膚や粘膜を健やかに保ち、目の健康維持にも欠かせない脂溶性ビタミンです。
免疫力を支える働きもありますが、体内に蓄積しやすいため、過剰に摂取すると骨格異常や肝機能への影響が出るおそれがあります。バランスを意識して摂ることが大切です。
ビタミンB2
ビタミンB2は水溶性ビタミンで、摂取した栄養を効率的にエネルギーへ変換する役割を持っています。
エネルギー代謝が活発な犬にとっては、元気な体を維持するのに欠かせない成分です。水溶性のため体内に蓄積しにくく、チーズから適度に補うことで健康維持に役立ちます。
このように、チーズは犬にとって栄養価の高い食品ですが、与えすぎると脂肪や塩分の過剰摂取につながります。主食ではなくあくまで「おやつ」や「補助」として、少量を与えるのが理想的です。
犬にとって比較的安全なチーズの種類
犬にチーズを与える場合は、塩分・脂肪分・乳糖の含有量が少ないタイプを選ぶことが大切です。特に食塩が添加されていないフレッシュタイプのチーズは、犬が食べても比較的安心できる種類といえます。
以下に代表的な種類を紹介します。
カッテージチーズ
カッテージチーズは製造過程でほとんど食塩が加えられず、脂肪分も乳糖も非常に少ないため、犬に与えるには最も安全性が高いチーズです。特に食塩不使用タイプが推奨されます。
リコッタチーズ
リコッタチーズも脂肪分が比較的少なく、塩分量も控えめなため、犬にとって安全性の高いチーズです。ただし、メーカーによって塩分量に差があるため、成分表示を確認しましょう。
モッツァレラチーズ
モッツァレラチーズは一般的に塩分が少なく、犬に比較的安心して与えられるチーズですが、製品ごとに塩分量に差があります。購入時は成分表示をよく確認してください。
これらのチーズでも与えすぎは肥満や健康トラブルの原因となるため、適量を守ることが重要です。また、プロセスチーズやハードタイプのチーズは塩分が多いため犬に与えるのは避けましょう。
犬にあげてよいチーズの量
犬にチーズを与える場合、「1日に必要なカロリーの10%以内」に抑えるのが適量の基準です。これは、犬の体重によって異なりますので、以下の表を参考に、適正な量を守って与えましょう。
表では最も安全性が高いとされる「カッテージチーズ(食塩不使用)」を例にしています。
| 犬の体重(犬種例) | 1日の摂取カロリー目安 | チーズの適量 (1日あたりの上限) |
|---|---|---|
| 3 kg(チワワ、トイ・プードルなど) | 約230 kcal | 約22 g(大さじ1.5杯程度) |
| 5 kg(ミニチュア・ダックスフンド、シーズーなど) | 約330 kcal | 約31 g(大さじ2杯程度) |
| 10 kg(柴犬、フレンチ・ブルドッグなど) | 約560 kcal | 約53 g(大さじ3.5杯程度) |
| 20 kg(ラブラドール・レトリバーなど) | 約940 kcal | 約89 g(大さじ6杯程度) |
※上記は目安量です。チーズ以外のおやつを与える場合は、その分のカロリーも考慮して調整しましょう。
※カッテージチーズ(食塩不使用)は約105 kcal/100 gで計算しています。
※子犬や高齢犬の場合は、表の半分以下の量を目安に様子を見ながら少量ずつ与えてください。
犬にチーズを与えるときの注意点
犬がチーズを好むからといって無条件に与えてしまうと、健康トラブルを招く可能性があります。チーズを犬に与える際には、アレルギーや体質、健康状態などをよく確認し、以下のポイントを守るようにしましょう。
アレルギー体質の犬には与えない
チーズの原料である乳製品(牛乳)にアレルギーがある犬に与えると、皮膚のかゆみや湿疹、下痢、嘔吐などの症状を引き起こすことがあります。乳製品へのアレルギーがある場合は絶対に与えないようにしましょう。
消化不良を起こしやすい犬は控える
成犬の多くは牛乳に含まれる乳糖を分解する酵素が少なくなっています。チーズには牛乳ほどではありませんが乳糖が含まれており、乳糖不耐症の犬に与えると下痢や嘔吐、腹部の張りなどの消化不良症状を引き起こすことがあります。
高脂肪・高塩分のチーズは健康リスクが高い
塩分や脂肪分を多く含むチーズを頻繁に与えると、犬の肥満や膵炎を引き起こす恐れがあります。特に膵炎は激しい腹痛や嘔吐などを伴う重篤な疾患です。人間向けの味付けの濃いチーズは与えないようにしましょう。
持病がある犬はチーズを与える前に相談を
腎臓病、心臓病、膵炎、肥満など持病を抱える犬にチーズを与えるのはリスクが高いため、避ける必要があります。どうしても与えたい場合は必ず獣医師に相談し、許可を得てからにしましょう。
青カビや香辛料入りチーズは危険
ブルーチーズなど青カビ系のチーズは、犬に震えなどの神経症状を起こす毒素を含んでいる可能性があります。また、ガーリックやオニオンなどの香辛料、マカダミアナッツやレーズンが入った加工チーズも、犬にとっては危険な食材です。絶対に与えないようにしましょう。
愛犬の安全を最優先に考え、健康状態を確認しながら慎重にチーズを選び、与えることが大切です。
まとめ
チーズは犬にとって魅力的なおやつであり、適量なら栄養補助としても役立ちます。
ただし、塩分・脂肪分・乳糖を多く含む種類は健康を害するおそれがあるため、食塩不使用のカッテージチーズなど、安全なものを選びましょう。与える量は犬の体重を基準に「1日の摂取カロリーの10%以内」が目安です。
乳製品へのアレルギーや乳糖不耐症の犬、持病がある犬には与えないでください。少量ずつ試し、健康状態をよく観察しながら与えることが大切です。不安な場合は獣医師に相談しましょう。



