犬は納豆を食べても大丈夫
結論から言うと、犬は納豆を食べても問題ありません。納豆は無添加であれば犬の体に悪影響を与える成分を含まず、安心して与えられる食品です。
ただし、人間用の納豆に付属しているタレやからし、薬味などは犬の健康を害する恐れがあるため、与える際は必ず無味付けの納豆を選びましょう。
納豆は発酵食品のため、消化吸収が比較的良く、ドッグフードでは補いきれない栄養を適切に摂ることができます。さらに腸内環境を整える成分も含まれており、犬の健康維持をサポートする効果が期待できます。
ただし、初めて納豆を与える場合は少量から始め、アレルギー反応や消化不良などが起きないか、最低でも24時間は注意深く様子を観察してください。
納豆に含まれる栄養素と犬への影響
納豆には、犬の健康維持に役立つさまざまな栄養素が含まれています。
主に、筋肉や臓器の材料となるたんぱく質<、骨の形成を助けるビタミンK2、血液の流れを保つ働きがあるとされるナットウキナーゼ、そして腸内環境を整える食物繊維などが代表的です。
これらは総合栄養食であるドッグフードを補う形で、少量をトッピングとして与えると健康面でのプラスが期待できます。
たんぱく質
納豆に含まれる植物性たんぱく質は、犬の筋肉や皮膚、被毛の健康維持に欠かせない栄養素です。比較的消化しやすく、疲労回復や免疫機能の維持にも役立ちます。
ただし、与えすぎるとカロリー過多になることがあるため、あくまで補助的に取り入れることが大切です。
ビタミンK2
ビタミンK2は、カルシウムを骨に定着させる働きがあり、丈夫な骨格を維持するために重要です。また、血液が正常に固まるためのサポートもします。
主にビタミンK1が血液凝固に関与し、K2は骨や血管の健康を支える補助的な役割を果たしています。成長期や老犬の健康維持にも有効な栄養素です。
ナットウキナーゼ
納豆特有のネバネバ部分に含まれるナットウキナーゼは、人では血流をサポートする働きがあることで知られています。
犬においても循環機能を助ける可能性があるといわれますが、現時点では科学的根拠が十分に確立されていません。そのため、健康維持の一助として少量を与えるに留めましょう。
食物繊維
納豆には水溶性・不溶性の食物繊維がどちらも含まれており、腸内環境を整える効果が期待できます。善玉菌のエサとなって腸内フローラを活性化し、便通の改善や体内の老廃物排出をサポートします。
ただし、急に多く与えると軟便やお腹の張りにつながることがあるため、少量から慣らすようにしましょう。
大豆イソフラボン
大豆由来のポリフェノールであるイソフラボンは、抗酸化作用を持ち、細胞の老化を防ぐ働きがあります。これにより、犬の若々しい体を維持するサポートが期待されます。
ただし、ホルモンに似た作用を持つため、甲状腺や乳腺の疾患がある犬に与える場合は、必ず獣医師に相談してください。
犬に与えてもいい納豆の量
納豆は健康に良い食品ですが、犬の体格や体重に応じて適切な量を与えることが重要です。下記の表を参考に、1日に与える納豆の量を調節してください。
初めて与える際は目安量よりさらに少ない量(1〜2粒程度)から始め、犬の体調に問題がないか24時間は慎重に様子を見ましょう。
犬の体格(体重) | 1日の適量の目安 |
---|---|
超小型犬〜小型犬(〜10kg) 例:チワワ、トイ・プードル |
約3g(小さじ1杯程度) |
中型犬(10〜20kg) 例:柴犬、ウェルシュ・コーギー |
約6g(小さじ2杯程度) |
大型犬(20kg〜) 例:ラブラドール・レトリバー、ゴールデン・レトリバー |
約9g(大さじ1杯程度) |
子犬や老犬など、消化器官が敏感な犬にはさらに少量から与えることをおすすめします。与える際は粒の細かいひきわりタイプを選ぶか、通常の粒納豆を細かく刻むなどして、食べやすく工夫しましょう。
犬に納豆を与える際の注意点
納豆は犬にとって健康的な食品ですが、与え方を誤ると体調不良やアレルギーなどを引き起こすおそれがあります。安全に与えるためには、原材料の確認や量の管理、体調の観察など、いくつかのポイントに注意することが大切です。
ここでは、犬に納豆を与える際に特に気をつけたい点を詳しく解説します。
大豆アレルギーに注意する
納豆の原料である大豆は、犬によってはアレルゲンとなる場合があります。初めて与えるときはごく少量(1〜2粒程度)から始め、かゆみ、発疹、下痢、嘔吐などの症状が出ないかを24時間程度観察しましょう。
もし異常が見られた場合は、すぐに与えるのをやめ、動物病院を受診してください。
タレ・からし・薬味入り納豆はNG
人間用の納豆に付属しているタレやからし、薬味(ネギ・玉ねぎ・ニラなど)は犬にとって有害です。タレには塩分や糖分が多く、甘味料としてキシリトールが使用されている製品もごくまれにあります。
ネギ類の成分は赤血球を酸化させ、貧血を起こす可能性があるため、絶対に与えないでください。納豆を与える際は、必ず味付けされていないプレーンタイプを選びましょう。
持病や服薬中の犬には与えない
心臓病や腎臓病などの慢性疾患を抱えている犬に納豆を与える場合は注意が必要です。納豆に含まれるカリウムやリンが臓器に負担をかけることがあります。
また、ワルファリンなどの抗凝固薬(血を固まりにくくする薬)を服用している犬には絶対に与えないでください。納豆のビタミンK2が薬の作用を妨げるおそれがあります。必ず事前に獣医師に相談しましょう。
与えすぎは肥満や消化不良の原因に
納豆は栄養価が高い反面、カロリーも低くはありません。50gあたり約90kcalあり、与えすぎると肥満や消化不良につながることがあります。
トッピングやおやつの一部として少量を与える程度にとどめ、主食であるドッグフードの栄養バランスを崩さないようにしましょう。
消化を助けるための工夫
納豆をそのまま与えると、粒が大きく消化しにくい場合があります。ひきわり納豆を選ぶか、通常の納豆を細かく刻む・軽くすりつぶすなどしてから与えると消化吸収がスムーズになります。
フリーズドライ製品を利用する場合は、無添加のものを選び、与える前に少量の水でふやかすと安全です。
まとめ
納豆は犬にとって安全で栄養価の高い食品であり、適量を守れば健康的なおやつや食事のトッピングとして活用できます。
筋肉や皮膚の健康を保つ植物性たんぱく質をはじめ、骨の形成を助けるビタミンK2や、腸内環境を整える食物繊維などの栄養素が豊富です。
ただし、タレや薬味は犬にとって有害なため必ず無味付けのものを選びましょう。また、アレルギーの可能性や持病への影響も考慮し、初回は少量から与えて犬の体調を慎重に観察してください。不安な場合は獣医師への相談をおすすめします。